おぢばにおかえり
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57部分:第九話 座りづとめその五
第九話 座りづとめその五
「何かあまり」
「顔いいんだし」
「小さいし可愛いし」
「小さいのは余計よ」
それを言われると弱いです。気にしていますから。
「それがいいんだけれど」
「小さいのが?」
「ええ」
むすっとした顔を作って言い返しました。
「気にしてるの、本当に」
「まあ確かに小さいけれど」
「あのね、だから」
「けれどそれがいいんじゃない」
そうしたらこう言われました。
「その小さいのがね」
「どういうことよ、それ」
「だから言ったままよ」
何か言葉の意味がわかりません。何それ、って感じです。
「そういう方が好きな男の子も多いのよ」
「そうなの?」
私にとっては信じられない話です。ずっと背の高いモデルさんとかに憧れていましたから。伊東美咲さんなんか凄く好きだったりします。
「人それぞれじゃない、そういうのって」
「ううん、そうかしら」
その言葉には腕を組んで考え込みました。
「私はそうは思えないけれど」
「思えないのね」
「そうよ、キャンノット」
冗談めかして英語を入れました。
「そういうふうになるかしら、本当に」
「信じる信じないは別だけれどそうよ」
また言われました。
「それはわかってよね」
「あまりわからないけれど」
すぐにこう答えました。
「そう言われても」
「それで彼氏がいないとか思ってないわよね」
「別にそれはないわ」
そんなことは特に思っていません。というか彼氏が欲しいと積極的に思ってもいないです。その辺りは結構いい加減かも知れません。
「だって。私別に今欲しいとかは」
「ちっちってそういうとこ無欲よねえ」
「ねえ」
横から皆に言われました。
「ちょっとはそこも努力すればいいのに」
「したら?」
「そんなの私の勝手でしょ」
少しムッとした顔になって皆に言い返しました。
「別にそんなのは」
「そうだけれどね」
「けれどちっちに合う彼氏っていったら」
何か勝手に皆で話をしだします。私の意見は完全に無視して。
「年下!?」
「あっ、それいいかも」
そうしてこんな答えが出ました。
「ちっちには似合うわよね」
「ええ、しっかりしているし」
「だから何でそうなるのよ」
またむすっとした顔を作ってクレームを入れました。
「私は年下の子には興味ないのよ。それでどうしてそうなるのよ」
「だってねえ」
「似合うんだし」
「どうして似合うのかもわからないけれど」
それに今話していることがどうにも現実のものになりそうで。幾ら何でも中学生と付き合うなんてできません。やっぱり少し年上の人の方が。・・・・・・けれどあれですよね。それでも弟みたいな子の側にいてあげて色々としてあげるのも悪くないかなあ、なんて思ったりも。
「だから、ちっちがお姉さんだからよ」
「性格的なものなのよ」
「そうかしら。私ってどちらかというと」
お父さんやお母さんには甘えていますし妹達の面倒を見てはいますけれどそんなに五月蝿くはないですし。甘えん坊で妹に近いかな、と自分では思っています。
「妹だけれど」
「外見はね」
「けれど中身は」
「中身かしら」
「自分ではそういうのはわからないのよ」
「そうそう」
皆の顔が笑っていました。
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