おぢばにおかえり
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104部分:第十四話 騒がしい中学生その九
第十四話 騒がしい中学生その九
「だから。ゆっくりと一つずつ」
「夫婦揃ってな」
「夫婦揃って」
よく言われることですけれど。まだ高校生ですし。それでもまあ一応は考えはしています。
「だから千里は旦那様を照らすのよ」
「日様になって」
「そういうこと。それが肝心なんだから」
「女の子が日様なら」
「何?」
ここでふと思うことがありまして。私はそれも言いました。
「何か天理高校って日様が少ないような」
「それは気にしないの」
これで終わりでした。
「女子青年や婦人会もあるし」
「婦人会ね」
「そう、婦人会よ」
天理教では婦人会はかなり大勢の人達がいます。教会長さんや信者さんの奥さんやお母さん達です。うちのお母さんもそうですけれど物凄い力があります。
「だからいいのよ」
「そういえば天理教って他の宗教より女の人の割合多いしね」
確かめたことはないですけれど半分以上でしょうか。おぢばを歩いていても女の人の方が多いんじゃないかしらって思ったりもします。
「だから。教祖は女の方よ」
「ええ」
このことがやっぱり大きいんですけれど。女の人が強い宗教なのは。
「だからそれでいいのよ」
「女の人が多くて」
「少ないのは学校だけだし」
それもそうです。先生は女の人もかなりの割合です。やっぱり確かめたことはないですけれど半分位でしょうか。そんな感じです。
「大学は多いでしょ」
「ええ、まあ」
天理大学は女の人が目立ちます。それも奇麗な人が。
「天理高校だけだからね。それは」
「そうなのね。それじゃあ」
「わかったらその女の子のところへ帰りなさい」
それを言われると急に気分が暗くなります。お父さんやお母さんと別れるだけじゃなくて東寮に帰るというのが。これは東寮におられたことのある方なら誰でもおわかりですよね。
「暫くしたらね」
「あまりそれは」
「ふそくは言ったら駄目よ」
お母さんもその東寮にいたことがあるのでわかっていますけれど。そのお母さんにこう言われました。わかったうえで、でした。
「いいわね」
「うん。それにしても」
「辛いでしょ、かなり」
「あれでかなりリベラルになったの?」
「そうよ、かなりね」
また言われました。
「私のいた頃よりもね。かなりだと思うわ」
「そうなの」
「そうよ。あの時は本当に軍隊みたいだったわ」
「軍隊って」
「それも帝国海軍よ」
海軍のことはよく知らないんですけれど何故かとんでもなく怖い響きを感じます。
「凄かったんだから。特に二部はね」
「ああ、二部はきついって聞くけれど」
これは本当によく聞きます。二部というのは所謂夜間の部です。私達はお昼で一部と言われます。二部にはおみちの子しか行けないです。一部は普通に高校から天理教を知ることになる子も入ることができます。奈良から通っている子は天理中学出身の子の他は大抵そうです。
「昔は特にそうだったのね」
「そうよ。私達だって凄かったけれどね」
「ふうん」
「まあ今でもあれよね。毎朝四時半起きで朝御飯食べるのも必死でしょ」
「うん、そうなの」
本当のことですから隠したりはしません。
「凄いところよ。まだ慣れていないところあるし」
「それも一年の時だけだけれどね」
その一年が凄く長いんですけれど。いえ、本当に。
「二年からはかなり楽になるわよ」
「そうかしら」
とてもそうは思えません。だってあんまりにも厳しいから。一見すると校舎みたいな東寮ですけれどその中は監獄だって言われていたとか。
「そうよ。だから頑張りなさい」
「まあ私の部屋は先輩も優しいけれど」
「だったら最高じゃない」
長池先輩にはこうした面でも凄く感謝しています。
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