提督はBarにいる。
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艦娘とスイーツと提督と・EX3
~照月:ヨーグルトバーク~
艦娘は怪我はすぐに治せるが、病気にはかかるし病気は修復剤を使ってもすぐには治せない。そんな話をしていた矢先、照月が熱を出してで倒れた。検査の結果はインフルエンザ……予防接種を奨励していて、ウチの連中も殆どが受けていたが強制ではなく任意の為、忙しさにかまけてしていなかったらしい。バカ野郎が。
「……で?症状は」
「今のところ激しい倦怠感と40℃近い発熱、それに伴う脱水症状が見られます。取り敢えず私は予防接種してあるんで、引き続き治療に当たります」
「あぁ、頼んだぞ明石。……ってな訳で当分の間照月は面会謝絶だ。特に予防接種受けてねぇ奴は絶対に駄目だ」
インフルエンザは、拗らせると厄介な病気だ。適切に治療すれば1週間ほどで治るが、悪化すれば今のところ脳症等を引き起こして最悪の場合死に至るケースもある。
「秋月・初月・涼月は暫く駆逐艦梁の別の部屋に間借りしろ。接触は極力避けるんだ」
「て、照月大丈夫なんですよね!ちゃんと治りますよね!?」
初めての事態に秋月は狼狽えている。
「安心しろ、インフルエンザはちゃんと対処すりゃあ怖い病気じゃねぇ。明石を始め医療スタッフはしっかりしてっから」
「明石さん、くれぐれも……よろしくお願いします」
秋月達3人は、深々と頭を下げていた。
それから3日程が経過した。明石の報告によれば照月の経過は順調らしく、あと2~3日もすれば戦線に復帰できるだろうとの事だ。そんな折、明石に『照月に届け物がある』と連絡を入れて見舞いの許可を貰った。
「照月、入るぞー?」
「あ、提督……ゴメンねこんな忙し、ゲホッゴホッ!」
「いいから寝てろお前……まだちゃんと治ってねぇんだからよ」
まだ本調子ではないというのに、上体を起こそうとして噎せる照月。年度末で忙しい時期ではあるが、幸いにもウチは人手には困らない程度には事務作業も戦闘も出来る奴が揃っている。1人や人体調不良でダウンしても問題はない。
「ところで、何か用があって来たんだよね?提督」
「あん?用ってお前……あ~、あん時朦朧としてたからなぁ。自分でやった事覚えてねぇのか」
~3日前~
「提督!照月ちゃんがうなされながら提督を呼んでます!」
「何?」
照月がピークで具合が悪かった三日前、照月の看病をしていた明石に呼び出された。
「どうした?照月」
「て……とく、これ………」
布団の下から照月に差し出されたのは、スイーツチケットだった。
「そっかそっか、何が食いたい?」
「ヨー……グルト、の……お菓子」
「ヨーグルトを使った菓子だな。任せろ。取り敢えず普通の飯が食える位まで回復したら持ってきてやるから、今はしっかり休め」
「うん……」
そう言って照月はスゥスゥと寝息を立て始めた。それから俺は明石に照月の体調の回復を聞き、リクエストだったヨーグルトを使った菓子を作ってきたってワケさ。
「う~ん……チケット持ってたのは確かなんだけど、ちゃんと覚えてないや」
「まぁなぁ。意識も朦朧としてたし、何よりあんな状況で正確に記憶してる方がおかしいわな」
「ところで、何を作ってきてくれたの?提督」
「ヨーグルトバークだ」
「ヨーグルトバーク?何それ」
ヨーグルトバークってのは、アメリカで生まれた低カロリーな冷たいスイーツでな。水切りしたヨーグルトにベリーやドライフルーツ、砕いたクッキー、ナッツ、グラノーラなんかを混ぜて板状に凍らせた物でな。その薄い板をバリバリと手で割ったその形がバーク……木の皮とか樹皮って意味なんだが、そいつに似てるってのが名前の由来だ。
「ふ~ん……話を聞く限りとっても美味しそう!」
「俺も初めて作ったんでな。味の保証はあんまり出来んが……ま、食ってみてくれ」
そう言って照月に割る前の状態のヨーグルトバークを手渡す。こういうのは自分の手で食べやすい大きさにバリバリと割って食べるのも楽しみな部分だからな。照月に渡したのはミックスベリーと砕いたオレオが混ぜてあるヨーグルトバークだ。皿の上でバリバリと自分の手で割り、一口パクリと頬張る。瞬間、冷たさと共に口の中に広がるのはヨーグルトとベリーの酸味と甘味に、仄かなオレオのカカオの苦味。それらが混じり合って溶けていく。
「ちべたいけど、美味しいねぇこれ!」
「だろ?ほらほら、お代わりもあるからもっと食え」
「うん!」
照月が堪能している間に、ヨーグルトバークのレシピをまとめておこうと思う。
《簡単お手軽!低カロリーアイス!ヨーグルトバーク》※分量は作りやすい量にしてあります
(ベリー&オレオ味)
・プレーンヨーグルト:1000g
・ハチミツ:大さじ2~お好みで
・ミックスベリー:30g※冷凍がオススメ
・オレオ:5枚
まずは水切りヨーグルトを作る。ヨーグルトを耐熱容器に移し、600wの錬次で1分30秒加熱する。取り出したらキッチンペーパーで包んで20分程置いて水を切る。
水切りヨーグルトをボウルに移し、ハチミツを加えてムラが無いようによく混ぜる。混ぜ合わせたらバットに移し、ゴムへらで平らに均す。
ミックスベリーとオレオを砕いて散らす。その際、散らした後で軽く押して沈めてやると凍らせた後でもポロリと落ちにくくなり、安定する。
冷凍庫で2~3時間凍らせれば完成!
「……ふぅ、食べ終わっちゃった」
小さめに作ったとはいえ、丸々1枚ペロリと平らげた照月。しかし、まだ少し物足りなさそうだ。
「もう少し食うか?実は、別の味も作ってあるんだが……」
「食べる!」
「へいへい、現金な奴め」
このヨーグルトバーク、ベースが牛乳や生クリームでは無い為に脂肪分が少な目で全体的にカロリー低めの氷菓になる。また、水切りヨーグルト、ハチミツ、混ぜる具材の3つさえ抑えていれば大体美味い物が作れるのでバリエーションも豊富にしやすい。
(チョコバナナ風味)
水切りヨーグルトとハチミツを混ぜる工程に、無糖のココアパウダーを適量プラス。ミックスベリーではなく輪切りにしたバナナをトッピングすればチョコバナナ風味のヨーグルトバークに。ヨーグルトの酸味はココアとバナナの風味で然程感じないので違和感はあまりない。グラノーラも加えてスティック状にカットすると、食べ応えもアップ。
(グリーンヨーグルトバーク)
今度は見た目にも鮮やかなグリーン尽くしのヨーグルトバークをご紹介。ヨーグルトとハチミツに、抹茶とバニラエッセンスを数滴加えてよくまぜる。トッピングは色と香りを重視してピスタチオ。少しオトナ味な仕上がりに。
(アップルシナモン)
水切りヨーグルトとハチミツ混ぜるのはお約束、今度はそこにドライアップルとシナモン、グラノーラをプラス。ヨーグルトにシナモンが合うのか?と疑問に思うかも知れんが意外や意外、ドライアップルが上手い具合に両者の橋渡し役を果たしてくれる。シナモンとリンゴの爽やかな香りがさっぱりとした味わいを醸し出す。グラノーラも入れてあるので朝ごはんの代わりにもOK。前の晩に仕込んでおいて、暑い時期の朝ごはん代わりに。
「ふぅ……ごちそうさま!」
「お粗末さん。そんだけ食えりゃあ安心だな」
結局持ってきた5枚、全部平らげやがったよコイツ。やっぱりデカい奴はよく食うのか?
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