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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  2010話

 学園祭の準備が本格的に始まって数日……その間も、当然ながら順平や幾月、タカヤといった面々の姿を探したりしていたのだが、それでも見つける事は出来ないでいた。
 取り合ず俺達のクラスは鉄板焼きと決まり、そうなると次に何を焼くのかという事になる。
 お好み焼きや焼きそばといった定番メニューは問題ないとして、それ以外にもイカやエビ、ホタテのような魚介類。それに野菜や肉……牛モツの炒め物も食いたいと言ってみたが、それはさすがに却下された。
 ……まぁ、俺は好きなメニューだが、基本的に酒のツマミ的な感じだしな。
 さすがに学園祭で酒のツマミを出す訳にはいかないと、そう鳥海が判断したのだろう。 ともあれ、そうして学園祭の準備を進めているのだが……

「タルタロスの中は、全然変わらないな」
「はぁ、はぁ、はぁ……そ、そうですね」

 タルタロスの1階、エントランスで天田が床に倒れて荒い息を吐きながら、何とかそれだけを返す。
 天田の側には、槍が1本転がっている。
 その槍は、当然のように天田が使っている槍で、つい先程俺のゲイ・ボルグに大きく弾かれて天田の手からすっぽ抜けた代物だ。

「校舎の中でも学園祭の準備で色々な物が色々な場所に置かれてるんだから、エントランスとかも普段と違ってもいい筈なんだけどな」
「そ、そうですね……」
「ああ、でもタルタロスになって妙な場所に妙な物が置かれてるよりはいいのか? もしかしたら、学園祭用に作ってる道具とかを壊してしまう可能性もあるし」
「そうですね」
「いや、さっきからお前、そうですねしか言ってないぞ?」

 天田に視線を向けながら、そう告げる。
 ちなみに、そうですねしか言ってはいないが、この短時間で大分荒れていた呼吸が元に戻ってきている辺り、それなりに鍛えている証だろう。

「アクセル、天田を鍛えるのはいいが、あまり無茶はしてくれるなよ?」

 俺と天田の訓練を見ていた美鶴が、少し呆れたようにそう言ってくる。
 ちなみに、今日エントランスに残っているのは、俺、美鶴、天田、山岸の4人だけだ。
 それ以外の面々は、全員がタルタロスに挑戦している。
 ゆかりとコロマルはそれぞれ有里達と一緒に臨時のパーティを組んでの戦いとなっていた。
 たまには気分転換代わりにこういうのもいいだろうと、そんな風に思っての事だったが……さて、これが吉と出るか、凶と出るのかは戻ってきた時の結果次第といったところか。
 俺としては、ゆかりやコロマルの強さに自信をなくさないで欲しいと思ってるんだが。
 ああ、でも荒垣が一緒に行動するようになったんだから、そういう心配はあまりいらないのか?

「どうする? 少し休むか? それなら、俺は別にそれでもいいけど」
「いえ、大丈夫です。僕はまだ……やれます!」

 そう言い、天田は手を伸ばして少し離れた場所にあった槍を掴むと、立ち上がる。
 小学生なだけあって、天田の体力は決して高いものではない。
 いや、小学生の中でだけという限定で考えれば、それなりに体力も高いのかもしれない。
 だが、結局それは小学生としてでしかないのだ。
 俺達の……そしてシャドウが集まるタルタロスの中で戦うとなれば、天田の体力では非常に不安が残るのも事実だ。
 短期決戦とか、そういうのであれば問題はないのだが……タルタロスの中で、1戦だけしか行わないというのは滅多にない。
 そうである以上、やはり体力というのはどうしても必要なのだ。
 ……まぁ、天田をお客さん扱いしてもいいというのであれば、それはそれで構わないのだが。本人がそれを望んでいない以上、こちらとしては相応に鍛える必要があった。
 勿論、無理をさせない……訓練で身体を壊すような事がないようにする必要はあるが。

「疲れて、動けなくなった時からこそが本当の訓練の始まりだ……って、誰かが以前言ってたような気がするな」
「は、ははは。それは随分と含蓄のある言葉ですね」

 そう言いながら、天田は槍の穂先を俺に向けて構える。
 明らかにその動きは訓練を始めた時よりは鈍っているが、だからこそ天田にとっては俺の言葉通り、ここからが本当の訓練になるのだろう。

「行きます!」

 そう言い、床を蹴って前に出てくる天田。
 その槍の穂先は、躊躇う事なく俺の胴体に向けられていた。
 今まで一度も俺に攻撃が当たっていない以上、躊躇いとかがなくてもおかしくはないが……けど、これを普通の相手にやったら、色々と不味い事になりそうだ。
 それこそ、下手をすれば殺人事件発生的な。
 ああ、でも影時間なら殺人事件にはならないのか。
 そんな風に思いながら、俺はゲイ・ボルグを使って天田の槍を捌いていく。
 なるべく衝撃を与えないように、そして天田の持っている槍を吹き飛ばさないように注意しながらの訓練。
 最も、天田にしてみれば槍同士がぶつかり合った衝撃という時点でかなりの衝撃なんだろうが。
 ともあれ、そうして天田との訓練を再開し……やがて、5分程が経つと、再び天田の体力の限界が来る。
 いや、寧ろ体力の限界が来た時点から再び模擬戦を始めて、よくここまで動けたと、そう褒めるところか?
 もっとも、それも限界だろうが。
 マジックアイテムで回復させてもいいが、今はそこまでする必要はない。
 なら……

「取りあえず今日の訓練は終わりだ。後は休んでおけ」
「……はい……」

 最後にそれだけを言うと、天田はそのまま眠り出す。
 全力で動いて、電池が切れたように寝る。……小学生というか、幼稚園児のような感じだな。
 もっとも、それをやらせた俺が言うべき事じゃないだろうが。
 空間倉庫の中から毛布を取りだし、眠ってしまった天田の身体に掛けておく。
 9月は、日中はまだ十分に暖かいが、夜になればそれなりに寒くなってくる。
 ……全力で動いた後だと考えれば、毛布では暑いかもしれないが、それでも身体を冷やして風邪を引くよりはいいだろう。

「すまなかったな、無理を言って」

 天田をそのまま寝させておいて、俺は美鶴の側に行く。
 美鶴は山岸の護衛としてここに残っている以上、当然のように近くには山岸がいるのだが……その山岸は、現在仲間に対して色々と細かな指示を送っていた。
 バックアップ型のペルソナの本領発揮といったところか。
 まぁ、バックアップしている中に恋人の有里がいるというのも大きいのだろうが。

「気にするな。天田みたいな奴が下手にシャドウと戦って力及ばず……なんて事になったら、後味悪いしな」

 それ以外にも、同じ槍使いとして共感を持っているというのもある。
 大昔……それこそ戦国時代とかだと、刀よりも間合いの長い槍の方がメジャーな武器だった筈なんだが、今のペルソナ世界で槍はそこまでメジャーな武器じゃない。
 剣道とかは普通にあるが、槍というのは……それこそ一部の武術道場で教えているくらいじゃないか?
 棍とかなら、まだ中国武術とかでもあるし、薙刀はそれなりに残ってるが……どっちも長物という意味では同じでも、結局槍じゃないしな。

「そう言ってくれると、私も助かるよ。……それで、天田の槍の腕はどうだ?」

 そう尋ねてきたのは、まだ小学生の天田を心配するというのもあるが、同時に天田が戦力として使えるかどうかというのもあるのだろう。

「そうだな。槍の技術だけで言えば、そこそこ……タルタロスでも10階程度までならいけるか? ただ、天田は小学生で体力がないから、連戦はきついし。それに……」

 そこで一旦言葉を切った俺は、美鶴から視線を逸らして山岸の方に……正確には山岸を自分の身体に呑み込んでいる形のルキアに視線を向ける。

「お前達はペルソナ使いだ。勿論生身での戦いを疎かにしてもいい訳じゃないが、最も重要なのは、やはりペルソナでの戦いだろう?」

 そう告げると、美鶴は小さく笑みを浮かべて頷く。

「そうだな。ペルソナ能力というのは、私達にとって大きな意味を持つ。であれば、アクセルの言う事も正しいだろう」
「寧ろ天田の場合は、体力的な問題もあるから槍を鍛えるじゃなくて、ペルソナ能力の方を鍛えた方がいいかもしれないな」

 そう言いながらも、俺は恐らく天田が槍を使った戦闘訓練を止める事はないだろうと、そう判断していた。
 天田がペルソナ能力を身につけ、タルタロスに挑むのは、母親の復讐をする為だ。
 まだその相手が荒垣だとは気が付いておらず、シャドウだと思っているようだが……ともあれ、天田は出来ればペルソナではなく自分の手で復讐をしたいと思っている筈だった。
 そうなると、やはり天田は今の状況のままで変わらないだろう。

「体力は、地道に鍛えるしかないからな」

 しみじみとそう呟く美鶴は、当然自分でも体力を鍛える為のトレーニングを続けているのだろう。
 桐条グループ令嬢、生徒会長、シャドウや影時間の解決……それに加えて、体力トレーニング、か。
 いやまぁ、体力トレーニングは大きな意味でいえば、シャドウや影時間の解決に含まれるのかもしれないが。
 しかも、今の美鶴はそれらに加えて幾月の件でも色々と動いているのだ。

「身体、大丈夫か?」
「む? 何がだ? 私が大丈夫ではないように思えるのか?」
「……傍目から見れば、特に何かあるようには思えないけどな。ただ、疲れてるんじゃないかと思ったんだよ。幾月の代わりはどうなってるんだ? 月光館学園の方も、いつまでも理事長不在って訳にはいかないんだろ?」
「うむ。お父様もその辺については色々と考えている。現在は最後の人選を行っているところだ。……ただの理事長というだけであれば、幾らでも候補者はいるのだが、影時間が関わってくるとなると、色々と複雑になるのでな」

 そう言う美鶴は、幾月の件で既にショックを受けているようには見えない。
 勿論、本当に幾月の一件で何も思っていない訳ではないが、それを表に出すような真似はもうしなくなった……そういう事なのだろう。
 取りあえず美鶴の負担が多少でも軽くなった……というのは、俺にとっても嬉しい限りだ。

「そうか、美鶴がそう言うなら、俺は構わないけどな。元々巌戸台分寮の方は俺にはあまり関わり合いがないし」
「ふふっ、そうだな。……お父様に料理の美味い人を頼んで、寮の食事を充実させるというのはいいかもしれないな」
「ぬぅ……」

 俺が最近料理をしているというのが分かっているからこその、美鶴の言葉なのだろう。
 また、俺のクラスでは鉄板焼き屋台を出す事になり、その研究もしているというのが大きい。
 ちなみに、鉄板に関してはしっかりと用意する事が出来た。
 この辺は、長鳴神社の夏祭りで夜店を開いている人物から、借りる事が出来た為だ。
 そのおかげで、取りあえず屋台が出来ないという心配はない。
 問題は、クラスで誰が調理するのかという事だろう。
 ……取りあえず、その調理する中に俺が入ってるのは、仕方がないから納得するしかないか。

「ふふっ、もしそういう事になったら、その、アクセルも寮に食事をしに来ても構わないのだぞ?」
「寧ろ、荒垣が新しい管理人から料理を教えて貰いたいと思ってるんじゃないか?」

 荒垣は、あの見た目に関わらず料理が得意だ。
 俺にも多少、本当に多少ではあるが、料理を作らせる事が出来るようになったというのを考えれば、それが俺達と同年代としてはかなりの腕だと理解出来るだろう。
 勿論世の中には、そんな荒垣よりも料理の上手い高校生というのは幾らでもいるだろうが。
 だが、少なくても今俺達の側にいる中で、もっとも料理が上手いのは間違いなく荒垣なのだ。
 それでも普通に料理が趣味という程度の高校生より若干腕が良いといった程度なので、そこまで大袈裟な事ではないのだが。

「取りあえず……本当に料理が上手い奴が来たら、食べさせて貰いに行くよ」
「ふふっ、そうしてくれ。……伊織も、帰ってきたら喜んでくれるだろうし、な」
「そうか? 順平の場合、何だかんだとそこまで味が分かるとは思えないけど。いやまぁ、俺がそういう事を言うのもどうかと思うが」

 簡単な料理を作るようになった俺だが、それでも味覚が優れているという訳ではない。
 勿論味覚音痴……といった程ではないが、それでもグルメレポートとかを任されれば出来る筈もない。
 その分、少し不味い料理でも普通に食えたりするんだが。

「伊織……か。正直、どこにいるのかさっぱり分からん。色々と探してはいるのだが、な」
「まぁ、ここは東京だ。隠れるような場所なんて、それこそ幾らでもある」

 正直な話、それこそ池袋とか渋谷とか、新宿とか……この辺りから離れて人の多い場所に隠れられるような真似をすれば、それを見つけるのは非常に困難だ。
 そう考えつつ、俺はターミナルからゆかり達が戻ってくるまで世間話を続けるのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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