レーヴァティン
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第四十七話 海はなけれどその十
「クラーケンの生態系ですが」
「何かあるのかよ」
「はい、何月も食事をして」
そしてというのだ。
「その後何月も排泄したかと」
「スケールが違う話だな」
「排泄したものの香りで魚達が集まり」
「またその魚を食うのかよ」
「確かそうでした」
「じゃあそいつが食われたらか」
「出るのはです」
排泄されてだ。
「それはです」
「何ヶ月も後か」
「そうなるかと」
「じゃあ暫くクラーケンの胃の中か」
「食べられますと」
「それじゃあ胃の中に入って助け出すか?」
若し食べられていたらと言う久志だった。
「そうするか」
「それも手でしょうか」
「どうして出るかを考えないといけないがな」
「そうですね、その場合は」
「というかクラーケンって本当に凄いな」
久志は順一の話を聞いてあらためて思った。
「何月も食って何月も出すんだな」
「書にはこう書いてありました」
「クラーケンのことも読んでおくべきだったな」
久志はこのことに後悔も覚えた。
「やっぱりな」
「そうしていればですか」
「こうしたこともわかったからな」
それでというのだ。
「読んでおくべきだったな」
「クラーケンのことはですか」
「相当な数の書読んだけれどな」
「未読だったのですね」
「ああ、デルフォイじゃな」
この街のことを思い出しつつの言葉だった。
「色々な書を読んだんだがな」
「モンスターについてもですね」
「クラーケンについてはな」
「一つの書になっています」
クラーケンのことはというのだ。
「ですから私は読んでです」
「知ってたんだな」
「そうでした」
「ドラゴンの本は読んだけれどな」
このモンスターの書はというのだ。
「しっかりとな、けれどな」
「クラーケンについては」
「ああ、忘れたぜ」
「そうでしたか」
「そんなすげえモンスターなんてな」
読んでいなかったので知らなかったというのだ。
「迂闊だったな、しかしな」
「しかし?」
「クラーケンって数多いモンスターなのかよ」
「いえ、個体数はです」
それはとだ、順一は久志に話した。
「非常に少ないです」
「やっぱりそうなんだな」
「巨大な身体で非常に強力なせいか」
「食物連鎖の頂点に立っているからね」
源三がここで言った。
「どうしてもね」
「そうしたモンスターはな」
「うん、少ないよ」
「ドラゴンもそうだしな」
「若し多いとね」
「食物連鎖のバランスが崩れるな」
「そうなるからね」
それでというのだ。
「クラーケンにしてもドラゴンにしてもね」
「数は少ないんだな」
「それもかなりね」
「そういうことだな」
「湖にもモンスターはいるけれど」
「その中でも食物連鎖はあってな」
「普通の生きものと一緒にね」
その中に入ってというのだ、混ざっていると言ってもいいだろうか。
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