ガンダム00 SS
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epilogue in 2314 ⑹
某国空域
輸送艦のブリッジで、俺はオペレーターとしてMS部隊との交信を取っていた。
モニターに映る1番機のパイロットーー角刈りがMS起動シークエンスを続けている。
『GNドライヴ、機体に同調。全システムオールグリーン』
「了解。0020でハッチが開き、出撃です。ご武運を」
『ELSのときに母艦を守り抜いた。あれをまたやってやるさ』
角刈りはモニター越しにニヤリと笑った。やがて、輸送艦のハッチが開き、彼は出撃の合図を取る。
『ノーヘッド1番機、防衛行動に入る!』
1番機が先に出て、2番機が後に続いた。コークマン大尉が2機へ回線を開き、声を発する。
「敵はジンクスⅣ4機1個小隊。その中に長距離用ライフルを持っているやつがいる。注意してくれ」
『了解』
『俺がやつともう1機を引きつける』
そう答えたのは小太りの方だった。2番機は1番機とほぼ横並びになると、GNビームライフルの銃口にビームを集中させる。やがて高出力のビームが放たれた。
それは長距離ライフルを装備したジンクスⅣの右腕を吹っ飛ばした。これで遠くからの狙撃は回避できる。
『まだだ、これから!』
小太りの力強い声が聞こえる。戦闘になるとよく喋るタイプのようだ。
敵部隊は1機と3機に分かれる。3機の方が1番機に向かい、1機が2番機と戦う構図だ。
コークマン大尉が指示を出す。
「2番機は敵1機だけに構うな!1番機と離れず、援護だ。我々は戦闘空域を全速で脱出する。この空域を抜けてX国に入れば、敵も手出しできなくなる!」
輸送艦の速度が上がり、戦闘空域から離れていく。しかし、その動きは敵を敏感にさせた。
ドンッ、という鈍い音と大きな振動で身体が飛び出しそうになる。艦がまた被弾したのだ。
別のオペレーターが被弾箇所を報告する。
「MS格納庫に被弾!収納できません!航行に支障はありません」
敵はX国に入られるまでに潰そうとしている。その手はすぐ後ろにまで迫っていた。
そのとき、ブリッジにけたたましい音が鳴り響いた。先ほどのオペレーターが若干上ずった声で言った。
「右後方より敵機!こちらにきます!」
その言葉に引き寄せられたかのように、敵のジンクスⅣがブリッジ正面に現れた。ライフルの銃口がこちらに向いている。無機質で黒い銃口の奥に、凶悪な煌めきを捉えるーー。
だが、ビームが我々を葬ることはなかった。左方より、ジンクスⅣを狙った狙撃が行われたからだ。近距離での爆発は輸送艦を大きく揺さぶる。
今、我々を助けたのは誰だ?俺は慌てて各モニターを確認していく。
だが、それよりも早くモニターの角刈りが答えを口にした。
『……ガンダム?』
その単語にブリッジのメンバー全員が言葉を失った。俺はその正体が映った2つのモニターを見つけ、正面にアップする。
地上にいる緑色のガンダムと、空を飛ぶオレンジ色のガンダム。それらが戦闘に参加してきたのだ。
ブリッジの正面モニター右側に、通信が送られてきた。コークマン大尉が開くと、緑色のパイロットスーツを着た者が現れる。
『こちらソレスタルビーイング。X国、Y国の代理戦争に介入させてもらうぜ。あんたたちはこの場を早く脱出するんだ』
「ソレスタルビーイング……。武力介入するのか?」
『ああ、そうだよ。とはいえ、あんたたち連邦の機体には手出ししないつもりだが?7年前とは武力介入の意味が違うんでね』
西暦2307年の武力介入を言っているのだ。先のELS地球圏防衛戦では、彼らも連邦軍と共闘していた。確かに意味合いは変わっている。
「承知した。協力を感謝する」
『あいよ。おっとそうだ、言っておきたいことがある』
ソレスタルビーイングのパイロットは飄々とした口調を抑えて、やや声を低くして忠告する。
『俺たちの存在は上に話すなよ?この世界を不安に落とさないためにもな』
「分かっている。我々とて、貴様らを制圧する余力があるわけでもない」
『助かるよ。それじゃあな』
相手が通信を切った。その直後、オレンジ色のガンダムが輸送艦の真横を通り過ぎる。
角刈りから指示を出してくれと通信が入っていた。回線を開き、コークマン大尉に通す。
角刈りがコークマン大尉に指示を求める。
『大尉、我々はどうしますか』
「ソレスタルビーイングが我々を逃がしてくれる。この場を離れるぞ。ただ、格納庫が使えない。X国までの飛行はできるか?」
『はい。距離的には問題ありません』
「よし。輸送艦と相対速度合わせ、現空域を離脱する」
『了解』
ノーヘッド2機が輸送艦に並走する形を取る。コークマン大尉はそれを確認すると、声を大にして言った。
「現空域を脱し、X国に向かう。出力をケチるな!」
全てはまだ始まっていない。X国に着かなければ話にならないのだ。
無傷とは言えない俺たちは、予想外の救援を受けてX国への空路を急ぐ。
続
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