ONEPIECE 空の王者が海を征す
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空の王者、覚醒の一端を遂げる
以前にもこんな体験をした事がある気がする、酷い倦怠感と痛みと苦しみが全身を包んで離そうとしないこの感覚を自分は知っている。一体何処で感じたのだろうか……そうだアラバスタで感じた死の感覚に酷く似ている。いやそれと全く同じと言っても過言ではない。混濁する意識の中で小船を漕ぐかのように蕩い続けているのが分かるのが何処か恐ろしく思えてしまった、だが逆らおうとしても引き摺りこまれるかのように引き寄せられている感覚があり続けている。このまま身を委ねてしまおうかという時に身体を電流が駆け抜けた。
『がぁっ!!!?』
激痛と電撃によって強制的に覚醒させられた意識と身体、瞳が動かないのに周囲の景色が分かるような気がする。幻覚なのか分からないがそこにいたのは全身に大火傷を負いながら、折られてしまった自らの尊厳さを誇張していた角の代わりに雷撃で形を整えている幻獣キリンがそこに立っていた。キリンは死んではいなかった、あれだけの攻撃をしかけたのに未だ健在だった。
『マジかよ……流石は古龍種……』
素直に賛美を贈った、ランブルボールを使用してでの攻撃は自分が持てる最大限の物だった。それを受けて尚立っている圧倒的上位種の存在に何の言葉も出てこずやむを得ず賛美を贈った。その強さに何処か嫉妬しつつも此方を見下すようにしているキリンへと意識を向けるとよろける身体を建て直しながら空を見上げるキリン、かの古龍は同じ先を見ろと言わんばかりに見ているように見えた。必死に其方へと目を向けるとそこには巨大な箱舟のような物が漂っていた。そしてその上には異常なほどの大きさの雷雲。
『おいおい……なんだそりゃ……?おれに、何をしろってんだ……?』
一体何を言いたいのか全く理解が及ばないがその直後に消えていく光と身体を強く引っ張ってくる感覚が再び強まっていく。まだ、古龍に問いただしたい事があるのに薄れていく意識に怒りを覚えつつもそれは待ってくれない。
―――待てよ、おい……待てってんだよ……!!ドス、ケルビィィィィッッ!!!!
『―――竜は竜らしくするがよい』
ドグンッッッ!!!ドグンドグンドグン!!!
死と生は同一である、生があるからこそ死がある。死があるから生があると誰かが言った。常に何かが死に何かが生きるのが自然の掟。しかしそれを正しく同一の物とする生き物がある、それこそが竜である。
転がっていく石ころ、瓦礫の中に埋もれていた男は重圧など関係無しに身体を持ち上げていた。少しずつ持ち上がっていく身体、雷によって折れ落ちてきた大樹など容易く跳ね除けながら起きた男はゆっくりとを空を見上げる。同時に身体の中の組織が切り替わっていく、燃え上がって行く体内の機関に呼応するように浮彫りになっていく甲殻や鱗。
―――……グオオオオオオオオオッッッ!!!!!
天へと向けくべられた咆哮、大地を揺らし天へと劈く凄まじい音量と気迫は周囲の雷すら捻じ曲げるように登っていく。睨め付けられた天は脅えたかのように雷を更に降らせていく、しかし覚醒した竜の一喝は天を震わせ思わぬ方向に雷を降らせて行く。上げられる咆哮と共に地面に食い込んでいく力、身体その物を固定するかのような力に地面が悲鳴を上げていく。
―――ウゴゴゴオガアアアアアア!!!!
放たれた咆哮は本能に任せたかのような荒々しくも誇りに満ち溢れた一喝。暫しの時を置きながら広げられていく翼、同時に羽ばたき瞬時に加速する音が周囲に響き渡った、目指すは空。快晴・・の空の海へと竜は飛んでいく。それを見つめる一匹の古龍は嘶きを上げるとゆっくりと森の奥へと消えて行った。
「ルフィィィィッッッ!!!」
神の国、スカイピアを治める神に君臨するゴッド・エネル。神を名乗るに相応しい力、最強種自然ロギア系ゴロゴロの実の雷人間という常軌を逸した存在となっている者に向かうのは海賊王を夢見て海を旅するルフィ。空島には存在せず電気を通さないゴム人間という特性を活かし唯一エネルとまともに戦える存在となったルフィは必死に戦い続けていた。
仲間を助ける為にエネルの箱舟に乗り込み激闘をしながらも一度は船から落下したが再びエネルが待つ空へと舞い上がり、皮肉にもエネルが与えた巨大な黄金によって雷雲を破壊した。そして最後の一撃を加えようと下がエネルのしぶとさと強さに再び地面へと叩き落とされようとしていた。力なく落下していくルフィへとナミが叫ぶ。
折角此処まで来たのに、下の仲間達が折角あんな巨大な蔓を倒してくれたお陰でエネルに肉薄出来る所まで来たのに此処までなのかと一瞬顔を覗かせた絶望に全てが食い尽くそうとした時落下したルフィへと猛スピードで向かう影が見えた。
「なにっ!?」
「エネルゥゥゥゥゥゥ!!!!」
「ッッ……!!ウォォォォオオオ!!!!」
大きく弧を描くように移動しつつも再び上昇してくるそれをナミは確りと目に焼き付けた、そう麦わらの一味の中で唯一空を自在に移動する出来る頼りになる男がいた。
「レウスゥゥ!!」
「レウスこのまま、いっけぇぇぇぇっっ!!!!」
「分かったキャプテンッッ!!!」
突然覚醒した意識、背中に乗っているルフィと尾が担ぐように置かれている巨大黄金。此方を見て希望と勝機を見出したナミ、頭上を回遊するように浮遊する巨大な箱舟とそこにいる巨大な雷神。突然のことで混乱しそうだがそこへ掛けられた船長からの命令に身体が動いた。これで良いと勇気付けられるかのようなルフィの言葉と気迫が身体を突き動かした。更に加速して箱舟と同じ高さまで到達した。
「レウス、思いっきり黄金を尻尾で後ろに弾けっ!!」
「千切れても知らないぞ!!」
「構わねぇ!!」
「おうらぁぁ!!」
巨大な黄金を尾で後方へと弾く、レウスの力で弾かれたそれは凄まじい速度で後ろへと飛んで行く。その反動でルフィも持って行かれそうになるがレウスの身体にもう片腕をぐるぐるに巻き付けて必死に耐えつつ腕を回転させていく。そしてきついのはレウスも同じ、船長と共に必死に耐える。そして限界まで伸びきった腕をエネルへと照準に向けた。
「お前ごと鳴らしてやる!!ゴムゴムのぉぉ……!!!黄金竜ライフルゥゥゥ!!!」
渾身の力を持って放った一撃、回転とゴムの伸縮する勢いとルフィの腕力が組み合わさった事で尋常ではない速度と勢いを生み出しながら嵐のような気流を纏いまるで竜のような一撃を雷神に向けた。戻ってきた腕はレウスを通り過ぎる頃には音速を超えてエネルの元へと到達しながら箱舟を抉りながらその後方に合った巨大な黄金の金へと炸裂した。
「おっさん!!黄金郷はあったぞ!!400年間ずっと、黄金郷は……空にあったんだぁぁぁぁっっっ!!!!!」
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