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レーヴァティン

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第四十六話 忍の者その一

               第四十六話  忍の者
 甲賀の里に入ってだ、まず言ったのは智だった。
「一見すると普通の里でござるな」
「はい、田畑も民家もあり」
 峰夫も言う。
「ごく普通の」
「里でござるな」
「おかしいところはないです」
「忍の里だとわかる様なものは」
 そうしたものはというのだ。
「ないであります」
「左様でござるな」
「しかしそれは」
「そう、表向きのこと」
「忍者は忍ぶもの」
 文字通りというのだ。
「だからであります」
「隠しているでござる」
「そうでありますな、では」
「そうしたことは頭の中に入れておいて」
 それが忍の里だということをだ。
「そうしてでござる」
「六人目を探すであります」
 峰夫も応えそうしてだった、一行は甲賀の里の中を進んでいった。一行はそうしつつ里の者達普通の百姓達の様にのどかに働いている彼等を見た。するとその一見のどかなその日常の動きが違っていた。
 素早い、そして隙がない。常に何かを隠している感じだ。幼子ですらそうなっている動きを見てだった。
 当季もだ、笑ってこう言った。
「まさに忍ぜよ」
「そうした動きですね」
「ここのモンは皆な」
 そうだとだ、当季は良太に話した。
「そうじゃ」
「そうですね、まことに」
「のどかな動きがな」
「実は隙がない」
「忍ぜよ」
「全くですね、やはりここは忍の里です」
 良太もこのことがわかった。
「誰もが忍です」
「小さな子でもな」
「生まれてから常に修行をしている」
「暮らし自体がそうなんじゃろうな」
 今彼等がしている農作業もというのだ。
「その中にな」
「忍の修行があるのですね」
「そうじゃな、これはちょっとでも攻めようとするとな」
 そう思い中に入ると、というのだ。
「すぐにえらいことになるぜよ」
「四方八方から狙われて」
「あっという間に終わりじゃ」
 その命を奪われてしまうというのだ。
「そうなってしまうのう」
「その通りですね、手裏剣なり吹き矢なりで攻められます」
 そうした忍の武器でというのだ。こうしたものには毒が塗られているのが常だ。僅かな傷で殺せるからだ。
「そうなります」
「敵に回すべきじゃないぜよ」
 これが当季の結論で他の者達も同じ結論だ。
「無闇にのう」
「誰であってもです」
「敵にはじゃな」
「回すものではありません」
 まさにというのだ。
「敵が多くていいことはありません」
「何一つとしてな」
「はい、ですから」
「忍でも誰でもじゃな」
「敵に回すべきではありません」
 決してとだ、良太も話す。 
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