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レーヴァティン

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第四十五話 傾奇者その二

 大柄で髪を後ろで荒々しい大きな髷にした男がいた、やはり身体つきは逞しい。顔立ちはアジア系のものだが彫があり眉も太い、逞しく豪快な感じだ。
 その男がだ。英雄達が湯に入ったのを見て笑って言ってきた。
「おお、この風呂はええきにのう」
「そう思ってきた訳ではない」
 英雄は仲間達と風呂に入ってから男に返した。
「風呂には入りに来たがだ」
「わしにか」
「会いに来た」
 これが第一の目的であることも話した。
「今な」
「そうか、ということはおまん達は」
「外の世界から来た」 
 英雄は男にはっきりと答えた。
「おそらく御前と同じだ」
「ああ、わしもじゃ」
 男は湯舟の中でにやりと笑って答えた。
「起きたらじゃ」
「現代の日本にいるな」
「二十一世紀にのう」
「八条大学にいるな」
「そうじゃ」
 その通りとだ、男は笑ったまま答えた。
「おまん達もじゃな」
「同じだ」
「そうか、ほんま同じじゃのう」
「そうだな、そしてだ」
「あの話じゃな」
 男の方から言ってきた。
「この世界を救うっちゅう」
「それだ」
「やっぱりそうぜよ」
「それでだが」
「実はわしもぜよ」
 男が自ら言った。
「この世界に元からいる人間じゃないぜよ」
「俺達と同じだな」
「根てこっちの世界に来ているぜよ」
「やはりそうか」
「それで、ぜよ」
 男の方から言って来る。
「おはん達のことも聞いていたぜよ、それでぜよ」
「俺達を探していたか」
「都にいると聞いてきに」
 高知の言葉で英雄に言っていく。
「それでぜよ」
「都に向かう途中でか」
「会ったぜよ」
 この温泉街でというのだ。
「そうなったぜよ」
「そうなのか」
「そしてぜよ」
 さらに話す男だった。
「わしはこれまで旅をして魔物を倒していたが」
「これからはか」
「あんた達と旅をして戦ってじゃ」
「生きていくか」
「そうじゃ、何か海の魔神っちゅうのは強いらしいのう」
 顎に手を当てて笑みを浮かべての言葉だった。
「そうじゃな」
「そうらしいな」
「わしは傾奇者じゃ、傾奇者はじゃ」
「傾いてこそだな」
「その究極の傾きはじゃ」
「強い奴と戦うか」
「それじゃ、だからじゃ」 
 そう思うからこそというのだ。
「わしはあんた達と共に行くわ」
「そうか、ならな」
「ここから一緒じゃ」
「宜しく頼む」
「それではな、ただのう」
「ただ?」
「わし等はまだまだじゃな」
 男は英雄に自分から言った。 
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