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レーヴァティン

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第四十五話 傾奇者その一

               第四十五話  傾奇者
 英雄達はその派手な服の男が入ったという風呂に自分達も入った、そうして脱衣場で服を脱ぎつつだった。
 風呂の状況についてだ、英雄はこんなことを言った。
「いい風呂の様だな」
「そう言われる理由は」
「広い、そして脱衣場もだ」
 その中を見ての言葉だ。
「奇麗に掃除してある」
「だからでありますか」
「いい風呂だな」
「脱衣場が汚いとでありますか」
「少なくとも俺は嫌だ」
 そう思ってというのだ。
「この風呂はいい人だと思った」
「左様でありますか」
「そして風呂もだ」
 その脱衣場から見えるそこも見て言う。
「岩場で奇麗でな」
「広くてでありますな」
「風情がある、いい温泉だな」
「ではその温泉にこれより入りまして」
 峰夫も服を脱ぎつつ応える、見れば山での修行の結果かその肉体は実に逞しく引き締まったものである。
「酒をです」
「抜くか」
「いや、かなり飲んだでありますので」
 それでとだ、実際に痛そうな顔で言う峰夫だった。
「こうした時はであります」
「風呂でだな」
「早く入りたいであります」
 こう英雄に言うのだった。
「是非共」
「そうか、ではな」
「入るであります、そして」
「その派手な奴ともな」
「会うであります」
 このことも忘れていない峰夫だった。
「早速」
「そうしなければな、そしてだ」
「その御仁をでありますな」
「仲間に入れたい」
 英雄ははっきり言った、脱いだその身体は峰夫のそれの様にがっしりとはしていないがやはり引き締まっている。それは他の面々も同じだった。
「是非な、そしてだ」
「その後で、でありますな」
「甲賀だ」
 本来の目的地のそこに行くというのだ。
「そのうえでな」
「そうですね、予定とは違いますが」
 良太も言ってきた、褌も脱いでいる。
「これはいいことです」
「新たに仲間が入るのならな」
「僥倖、奇貨と言うべきか」
「思わぬ幸運だな」
「そうです、そしてその幸運を活かし」
「これからの旅もだな」
「新たに増えた仲間と共に」
 そのうえでというのだ。
「甲賀に行きますが」
「その途中に魔物と遭ってもな」
「一人増えた分さらにです」
 これまで以上にとだ、良太はそこも考えていた。
「有利に戦えます」
「そういうことだな」
「ですから」
「幸運だな」
「そしてその幸運をです」
「活かすということだな」
「そうです、ではです」
「これから中に入るか」
 英雄も褌を取っていた、全員そのうえで脱衣場の扉を開けて湯の中に入りに行った。そうしてその湯舟の中にだ。 
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