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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません

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第九十六話 芸術家と重臣


やっとこさ、更新です、
仕事で連続5日夜勤とかで気力が、更新で手一杯です。


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第九十六話 芸術家と重臣

帝国暦481年1月10日

■オーディン ローエングラム伯爵邸 

 帝国暦475年にローエングラム伯爵家が断絶して以来利用されていなかった伯爵邸がこの日久しぶりに利用される事になった。ローエングラム記念劇場の建設設計家と絵画制作家の任命式典が行われるのである。

 昨年オーディンへ帰還していたエルネスト・メックリンガーもこの日は流石に緊張を見せて控え室で待っていた。そしてあの変人シルヴァーベルヒですら、汗を拭きながら水を何杯も飲みながら部屋をウロウロしていた。

「シヴァーベルヒ君、落ち着かないね」
そう言うグルックも汗をかいているから50歩100歩であるが。
「卿も落ち着いて居ないようだがね」
「違いないな」

今回は皇女殿下、御自ら辞令を渡すとのことであるから、緊張するのである。
シルヴァーベルヒのハンカチが汗で重くなった頃、式典参加者を会場へと案内する為に侍従が案内に来た。

「ブルーノ・フォン・シルヴァーベルヒ殿、ライナー・グルック殿、エルネスト・メックリンガー殿、フランツ・オットー・レイトマイエル殿、会場へご案内致します」

一斉に侍従を見て立ち上がる。
4人は緊張の趣で侍従の後を着いていく。
大ホールの扉が開くと、眩いばかりの部屋が現れるかと思いきや、ごく普通の飾りをした部屋が現れた。
その部屋の一番奥にテレーゼ皇女が立った状態で待っていのを見て驚く4人。

「ブルーノ・フォン・シルヴァーベルヒ卿、ライナー・グルック卿、エルネスト・メックリンガー卿、フランツ・オットー・レイトマイエル卿、参りました」
侍従が声高に4人の登場を伝える。

「シルヴァーベルヒ、メックリンガー、グルック、レイトマイエルよう参った。妾は卿等に会えて嬉しいぞ」

全員が頭を垂れて挨拶を行う。
「「「「御意」」」」
「頭を上げてくれ」

テレーゼがにこやかに微笑みかける。
「卿等が参加してくれるお陰で立派な劇場が出来そうじゃ、そして立派な絵画も飾れるであろう、此ほど嬉しい事はない。是非卿等の力を妾に貸して欲しい」

「「「「御意」」」」
皆が畏まって返答を行うが、テレーゼは笑顔で話しかける。
「卿等その様な畏まった挨拶は無用じゃ、我らは同じ道を歩む仲間じゃ、柔らかい挨拶で十分じゃ、その為に今日は豪華絢爛な飾りなどをせずに、妾のありのままを見て貰いたくてこのような宴にしたのじゃ」

4人は、非常に驚きを見せる。
「妾としては、卿等に協力して貰い立派な劇場を造ってもらいたいのじゃ」
「「「「御意」」」」

「また言ったの、はっで十分じゃ」
「「「「はっ」」」」
テレーゼの言葉ににこやかになる4人達。

「シルヴァーベルヒ、グルック、卿等は協力して劇場及び付属施設の設計を行い。施工の監督も行うように、その間の身分はローエングラム伯爵領内務局所属となる」
「「はっ」」

「メックリンガー、レイトマイエル、卿等は劇場に展覧する絵画を描いて貰いたい、劇場の内装設計が終わったところで、内装の絵画を描いて貰いたい。その間のメックリンガーの身分はローエングラム伯爵領オーデイン事務局所属になる。レイトマイエルは事務局嘱託となる」
「「はっ」」

「さあ、本日は皆の為の宴じゃ、十分に楽しみ語り合って貰いたい」
「「「「はっ」」」」

テレーゼの元へ皆が順番に挨拶に訪れその際に気さくに話す姿を見て4人は驚きを隠せない。
今まで会って来た貴族令嬢は大半が高慢ちきで居丈高ばかりだったからである。
この姿を見ても、このお方に協力して劇場を作るのが楽しみに思えてくるのであった。

「殿下、この度の設計に参加させて頂き、恐悦至極にございます」
「シルヴァーベルヒ、期待しているぞ、卿の持てる限りの力を持って今までにない建築を行ってくれ」
「はっ、この才能を殿下に捧げましょう」

シルヴァーベルヒらしくない挨拶をしてしまうが、それだけ自分の才能を認めてくれた、テレーゼに好感を持っているのである。

「殿下、私ごときの絵画を見初めて頂きありがたき幸せ」
「メックリンガー、会うのは初めてじゃな、ケルトリングからは話は聞いておるぞ。先年の帰還兵送還によくぞ尽くしてくれた、兵達に代わり礼を申すぞ」

メックリンガーは、その言葉に驚きを隠せない。
「殿下、勿体のうございます。小官は手伝いをしただけでございます」
「メックリンガー、良いのじゃ。多くの民を救う手助けをしてくれたのは代わり有るまい」
「殿下・・」
メックリンガーは、少し涙ぐむ。

「さらに、画家としてだけではなく、散文詩人、ピアノ演奏も素晴らしいそうじゃな、是非今度聞かせて欲しいものじゃ。演奏会が有れば招待して欲しいの」
「殿下、喜んでお誘い致します」

メックリンガーはにこやかに答える。
「楽しみにしているぞ」
「はっ」

メックリンガーは、殿下が一介の士官に過ぎない自分を此処まで知っていてくれて、期待してくれることに、敬愛と忠誠を感じていた。そして芸術家の血が騒ぎ殿下の御成長を是非とも見て見たいと思っていた。


「殿下、この度の設計に参加させて頂き、恐悦至極にございます」
「グルック、期待しているぞ、卿の持てる限りの力を持って今までにない建築を行ってくれ」
「はっ、誠心誠意尽くす所存です」

グルックも殿下の直接のお言葉に緊張して、上がりまくりであったが忠誠心が出来ていった。

「殿下、この度は絵画作成に参加させて頂き、ありがとうございます」
「レイトマイエル、男爵夫人から、話は良く聞いておるぞ、しかし依怙贔屓したつもりはない、卿の実力で残れたのじゃ、自信を持つが良いぞ」

「ありがたき幸せ」
「うむ、頼んだぞ」
「はっ」

挨拶後も宴は続き皆が打ち解けたのであった。
参加者には殿下の気さくな姿と、自分たちに対しても分け隔て無くしてくれる姿が、
忠誠心のより所として、非常に好ましく思えたのである。


帝国暦481年1月11日

■オーディン ノイエ・サンスーシ 謁見の間

 この日、リヒテンラーデ侯爵とエッシェンバッハ子爵が連れ立って陛下に謁見を求めてきた。
「国務尚書と副司令長官、如何いたした」
「はっ、陛下にお許し頂きたき事がございます」

「ほう、2人が共に来るとはどんなことであろうか?」
「両家の婚姻についてでございます」

そう聞きながら、陛下がニヤニヤとしてくる。
「婚姻と言うと、フレーデグットとエルフリーデのことか」
2人は、用件をズバリ言い当てられ驚きを得る。

「御意、陛下ご存じでございましたか?」
「なに、テレーゼがエルフリーデに相談されたそうじゃからな、お主等2人が揃って来ると言う事で判ったのじゃ」
「そうでございますか」

「うむ、それで2人とも承知して居るのか、テレーゼが無理矢理はいかんと言うのでな」
皇帝は嬉しそうに娘の成長を語る。
「はっ我が家のエルフリーデが是非にと申しております」

「当家のフレーデグットもエルフリーデならばよしなにと申しております」
フレーデグットは未だ未だ結婚なんて早いといったが、エルフリーデを嫌っては居らんからな。

「うむ、未だ18歳と9歳であるから、今は婚約と言う事じゃな」
「御意、エルフリーデが16になり次第婚姻させる所存にございます」
「なるほど、その婚約、予が媒酌して使わそう」

2人は非常に驚く。
「陛下、それは余りに・・」
「良いのじゃ。フレーデグットもエルフリーデもテレーゼの良き友じゃ。それに卿等は予の良き臣下である、その両家のがりに予が出ないで何と成るか、全て予に任せるが良いぞ」

リヒテンラーデ侯爵もエッシェンバッハ子爵も感動を隠せない。
たかだか臣下の孫の婚約媒酌していただけるのである、此ほど名誉はない。
2人は自然に深々とお辞儀をして返答をする。

「「御意」」
「テレーゼも2人の婚約を喜んでくれようぞ」
「「陛下ありがたき幸せ」」

「良い良い、此から楽しみじゃ」

リヒテンラーデ侯爵もエッシェンバッハ子爵も陛下に対しての感謝と共に暖かい物を感じるのであった。

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修正しました。
 
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