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ドリトル先生と奈良の三山

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第九幕その十一

「交流はあってもね」
「独自の生活をしていた」
「そうだったんだ」
「この日本では」
「そうした人達もいたんだね」
「そうだったんだ、奈良にもいたから」
 そうだったというのです。
「だから鬼とか土蜘蛛の話があるんだ」
「どっちも妖怪って思ってたら」
「実はそうだったのね」
「まつろわぬ民と言われる人達で」
「その人達が山の民っていう人達だったのね」
「うん、まあ全ての山の民が朝廷に従わなかった訳でもないからね」
 このこともお話した先生でした。
「この辺りはそれぞれだったんだ」
「そうだったの」
「全部の山の人達が朝廷に対していた訳じゃない」
「そうでもあったのね」
「そこは違うのね」
「そうだよ、それぞれでね」
 その山の人達の、です。
「実際に帰服している鬼とかの話もあるね」
「あっ、そういえば」
「童話でもあるね」
「日本の童話でも」
「桃太郎や一寸法師に退治されたりして」
「そのうえで」
「そう、そうなっていたからね」
 だからだというのです。
「鬼といっても色々で山の民だったとも限らなかったし」
「話が大きくなってきたね」
「鬼のお話も」
「どうにも」
 動物の皆は先生のお話はわかりやすいですがお話が実際に大きくなってきたと思ってそれで言うのでした。
「鬼って山の民じゃなかった」
「他にもそう言われる人がいた」
「そうだったの」
「そうだよ、朝廷に従わない豪族や盗賊もだったからね」
「ああ、盗賊もだったんだ」
「あの人達も鬼にされてたの」
「そうだったんだね」
「そう、酒呑童子もね」
 大江山にいたというあまりにも有名な鬼です。
「盗賊だったね」
「そうそう、山にいてね」
「都を荒らし回っていて」
「どう見ても盗賊ね」
「あの鬼は」
「盗賊も鬼とされたり東北にいた蝦夷もだろ」
 そう呼ばれた人達もです。
「蝦夷はアイヌの人達だったけれどアイヌの人達は大柄で毛深くて髪の毛も縮れている人も日本人に比べて多かったから」
「あっ、鬼じゃない」
「その外見って鬼だよ」
「じゃあ蝦夷の人達も鬼?」
「そうだったの」
「そうだよ、こうした話もあったから」
 鬼についてはというのです。
「中々面白いね」
「うん、確かにね」
「鬼の話って面白いね」
「色々なルーツの鬼がいたんだ」
「山の民っていう人達以外にも」
「そして山の民って人達のこともわかってきたし」
「あの人達についても調べていくよ」
 先生は山の人達のお話もまたしました。
「あの人達についての研究もしているしね」
「そうしていくんだ」
「先生は山の人達の研究も続ける」
「そうするのね」
「これからもね」
 先生は皆に笑顔でお話しました、そしてです。
 そのお話をしてです、先生は皆にあらためて言いました。
「じゃあ天理に行こうね」
「これからね」
「そうしましょう」
 皆も笑顔で応えます、そうして天理市に向かうのでした。先生の学問はそちらにも向かうのでした。 
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