万華鏡の連鎖
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宇宙戦艦ヤマト異伝
乗組員交代
前書き
BGM、オルガ・ブリーズ(by『ダライアス2』オリジナル・サウンドトラック)
「太陽系防衛戦に於ける諸君の勇戦敢闘に敬意を表し、戦友諸君に深く御礼を申し上げる。
我々ガミラス星人は本来、攻撃面に於いて最大の戦闘力を発揮する。
宇宙戦艦ヤマトを迎撃の際も油断し、本来の実力を鈍らせてしまったと認めざるを得ない。
遺憾ながら状況を検討した結果、防御に徹するも已む無しと判断せざるを得なかったが。
現在只今より開始される作戦行動は防御戦闘に非ず、敵勢力圏への殴り込みである。
遂に我がガミラス民族が、本領を発揮する刻が来た。
数千年の時を経て軍神の象徴、赤き戦火の惑星は再び我等が故郷となった。
火星の名に懸け、必ず作戦を成功させなければならない。
我等の真価を証明する絶好の機会であり、各員一層の奮励努力を期待する。
敵は無限艦隊に劣らぬ強敵と予想されるが心配は無用だ、諦めない限り途は開ける。
太陽系防衛戦同様に生還の努力を放棄せず、戦友諸君全員の火星《ガミラス》凱旋を望む。
ガミラス星人の名誉に懸けて、此の一戦に期待する!」
新たな次元間メッセージには或る次元界、我が盟友達に関する伝承が記されていた。
『遠い、昔。
惑星ダライアスは滅び、プロコとティアットは新天地を求め、惑星オルガで新世界を築いた。
数千年後、銀河系より怪電波をキャッチした、プロコとティアットの子孫は。
それが、ダライアスの仲間達からのSOSである事を突き止め、強力に改造された宇宙戦闘機《シルバー・ホーク》に乗り、銀河系へ飛んだ』
地球人類を救う為、太陽系防衛戦に遠隔操縦の無人戦闘攻撃機を贈った惑星ダライアスの物語である。
メローラ姫からの指示は、奇妙なものだった。
我々ガミラス星人に宇宙戦艦ヤマトへ乗り組み、指定された次元座標へ向かえと言うのだ。
宇宙戦艦ヤマトの操作に慣熟した地球人達は、勇敢な宇宙戦士である。
我々が乗り組む必要は無く、慣熟訓練抜きで強大な戦闘力が発揮可能ではないか?
不審に思い問い合わせた結果、次の様な返答が届いた。
『ダライアス星系は貴次元界と連動しており、次元間転移の耐性保有者のみが到達し得る。
該当者は太陽系から衛星銀河マゼラン星雲、太陽系サンザーへ移住した第1次人類の子孫。
地球人は目標の次元界に到達後、黄金律に存在を否定され消滅の危険がある。
ガミラス及びイスカンダル星人のみ、充分に安定した次元存在確率を保証される』
何の事か意味不明だが我々ガミラス星人、イスカンダル星人でなければならぬらしい。
女神を救う事は全てに優先する故、止むを得ぬ。
メローラ姫の伝言《メッセージ》に拠れば、太陽系防衛戦の推移は或る波及効果を生起。
交点《クロス・ポイント》の確保に起因する次元嵐、次元安定確率の急激な変化も生じている。
ダライアス星系の人類興亡を巡る星戦の帰趨、後世の歴史家に語られる史実も変貌。
多元宇宙の一角で黄金律《パターン》の改変が生じ、数多の構成要素が影響を受けた。
『戦いは、終わった。
だが彼等を待ち受けていたのは、広大な密林《ジャングル》と、荒れ果てた大地だった。
オルガでは何千年もの時が経過し、ダライアスの人々は1人も生き残っていなかった。
…何と言う事だ。
ダライアスの人々は、既に、絶滅していたのだ』
目標の次元界は上記の分岐先へ向け、刻一刻と時を刻んでいる。
真田班長以下メカニック達が地球船団の標準装備、補助推進用の設備を格納庫に搭載。
ヤマト周囲に重力場を創り前後左右、全方向に急激な機動が可能となった。
遠い昔に第五番惑星を離れ、大マゼラン星雲に逃れた第1次人類の子孫は。
強力に改造された戦艦ヤマトに乗り、銀河系に飛んだ。
メローラ姫の指示に従い、燃え盛る恒星の傍に遷移の直後。
前方から異形な物体、宇宙戦艦を遙かに凌ぐ超弩級の魚群が現れた。
怪異な機械魚の大群は精神感応、心話に匹敵する意思疎通能力を披露。
ズォーダー大帝の超巨大戦艦、伝説の要塞《死の星》に匹敵する怪魚も散見される。
魚型巨大戦艦は衝撃波砲、断続式光線砲の連射を見事に回避。
沖田艦長に託された偉大なる戦艦ヤマト、希望の星を傷物にする訳には行かぬ。
「針路転換180度、恒星引力圏に突入!
金属腐食生命ガス同様、太陽に喰わせてやる!!」
「了解しました!
艦首回転、第1戦速!!」
「総員、宇宙服を着用!
重力に対抗し得る速度を維持、恒星表面を突破します!!」
ヤマト臨時乗組員は総て、青水晶の強化服を着用。
太陽《アポロン》表面、灼熱地獄に備える。
金属腐食生命ガス同様、無数の機械魚群は追撃を諦めなかった。
燃え盛る恒星の引力圏に巨大な青影、装甲機械兵《ソイド・ビック》も現れ針路を塞ぐ。
装着する重砲の連射、火球の嵐が地球製の超弩級戦艦を襲う。
青白い炎塊を避けると遊星爆弾ならぬ巨大な影、隕石《メテオ》が頭上から落下。
ヤマト後方には超弩級の魚群、宇宙怪獣の大群が追尾する。
前方6門の衝撃砲が閃き、装甲機械兵を直撃。
盛る太陽の表面から超高温を物ともせず、新たな敵が現れた。
火炎鮫《ファイヤー・シャーク》が跳躍、体当たりを試み艦橋に迫るが。
中口径の衝撃砲から光芒が伸び、獰猛な鮫を粉砕。
摩天楼の如く林立する紅蓮の火柱、紅炎《プロミネンス》も避け全速前進。
地獄の蓋が開いたかと思える火炎地獄を掻い潜り、後方の魚軍団を引き離す。
煮え滾る炎の海を突き破り、巨大な火山弾が次々と噴出され雄大な軌道を描く。
直径は軽く戦艦の最大幅を上回り、直撃を喰らえば圧し折られる事は確実。
林立する紅炎《プロミネンス》と交差する障害物、散弾の嵐が前方を遮る。
落下する巨大隕石《メテオ》の雨、炎海から噴上げる火球《ファイヤー・ボール》。
太陽ビームに匹敵するやもしれぬ猛威が吹き荒れ、ヤマトの頭上を火の海と化す。
陽炎の如く視界を歪める超高熱にも関わらず、様々な編隊が前方に出没。
ヤマトの様子を窺い、慎重に接近する巻貝状偵察艇《クロドライド》6機。
小型突撃艇《ロロキン》10機は猪突猛進、球状駆潜艇《バルビデカ》5~11機は爆雷を投射。
金魚型巡視艇《アミド》5~10機が嗅ぎ回り、甲殻状哨戒艇《スキアダム》8機は優雅に舞い踊る。
パルス・レーザー砲が閃き、的確に軽量艇を撃墜の直後。
古代化石魚《シーラカンス》を髣髴とさせる魚影が現れ、ヤマトに突進。
間一髪で避け、大口径の衝撃砲を撃つが。
6本の螺旋光線は鱗に弾かれ、鮮烈な青色光《ブルー・ライト》と化して撒き散らされた。
5方向弾を発射した獰猛な顎《アギト》が開き、ヤマト艦首を噛み砕く直前。
ドメルの指示が飛び、ハイデルンが応える。
「開口部を狙え!」
「了解《ラジャー》!!」
照準は、正確の一言。
火炎弾を発射せんと大口を開けた瞬間、光の束が1点に集中。
勇敢なる宇宙機械魚が膨れ上がり、大爆発《ビッグ・バン》を起こす。
炎の化石王《ファイヤー・キング・フォスル》が、粉々に砕け散った。
次なる敵は過激な桃色の影、装甲機械化された月虎魚《ミノカサゴ》。
尖鋭な超絶の針《ハイパー・スティング》が煌き、距離を詰める。
優美に舞う観賞魚の如く巨大な背鰭と尾鰭、左右の鰭が印象的であるが。
口から断続的に強力な破壊光線、レーザー・ビーム発射直後に巨大砲弾も吐き出す強敵である。
ヤマトの全長をやや下回る砲弾を避け、大中の衝撃砲9門を連射。
光線を浴びた巨体が震え、内部衝撃波の無限増幅で真紅に変色する。
千本の短剣の異名を持ち、猛毒を秘めた美しい薔薇が砕け散った瞬間。
瓜二つの怪魚が逆方向から現れ、ヤマトに突撃。
短針銃の如き毒針を撒く隙を与えず、後部の衝撃波砲6門が一閃。
大爆発の連鎖反応が眼下を占める真紅の領域、太陽の表面に異変を呼んだ。
摂氏6千度を超越する紅蓮の炎、海が煮え滾り凄絶な渦動と激流に変化。
天に達する摩天楼、虹色の宇宙樹《ユグドラシル》が針路を塞ぐ。
「前方に、巨大な光環《コロナ》!
イレギュラーです、計算にはありません!!」
「総員、対衝撃《ショック》、対閃光防御!」
波動砲、発射!!」
ヤマト艦首から圧縮されたタキオン粒子が解放され、奔流と化す。
木星《ゼウス》表面の浮遊大陸を上回る光環、宇宙空間に達する規模の火砕流。
視界を埋め尽くす太陽の噴射奔流を突き破り、虹の架け橋が現れた。
波動砲の発射直後は、ヤマト最大の弱点《ウィーク・ポイント》。
エネルギー枯渇の為、戦闘不能状態に陥るが。
「総統、機関室より連絡!
波動エンジン全力発揮、最大噴射可能です!!」
ガンツ率いる機関室操作班は常識を覆し、ヤマト要員に学んだ奥義を駆使。
常識を無視した秘術を駆使、強引に推力を搾り出したと思われる。
「よくやった、と伝えろ!
全速前進、太陽引力圏から離脱!!」
波動砲の切り拓いた突破口、未来へと続く希望の途。
宇宙戦艦ヤマトが虹色の回廊、太陽の搭に生じた隙間を抜けた直後。
真紅の激流が噴き上がり、唯一の通路を掻き消す。
ヤマトを追尾する超弩級巨大戦艦の大群、宇宙機械魚の鱗形陣が悉く燃え尽きる。
宇宙戦艦ヤマトは最初の関門、第1番目の戦場を突破。
次なる難関、水星《マーキュリー》へ飛んだ。
後書き
昔懐かしい横スクロール・シューティング、業務用『ダライアスⅡ』を御記憶の皆様。
当時を思い出し、『ニヤリ』としていただければ幸いです(笑)
特製の筐体と震動、2画面を駆使する独特の演出が大好きでした。
ステージ毎に異なる旋律《BGM》と連射、爆発、音響効果に血の騒いだ記憶が…(笑)
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