ドリトル先生と奈良の三山
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第九幕その三
「史実だろうけれど流石に十代までの帝がそれぞれ百歳前後まで生きておられたのは」
「流石にね」
「ないよね」
「紀元前だからね、そのお話って」
「聖書の時代だし」
欧州では完全にその時代です、旧約の方の。
「伝説だよね」
「それはないよね」
「僕もそう思うけれど皇室が奈良に入られたのは」
このこと自体はというのです。
「史実だろうけれど」
「じゃあ神武帝はやっぱり実在されていたの」
「百歳位まで生きておられたかは別にして」
「そうなのね」
「僕はそうだと思うよ」
先生としてはです。
「ただ。それでも流石にね」
「十代続けて百歳前後まで生きておられたのは」
「ないわね」
「幾ら何でも」
「そう思うよ、ただ奈良に都があったのは事実で」
飛鳥時代、奈良時代にです。
「それは当然のことだよ」
「こんなにいい場所だから」
「それで人が集まって」
「日本の最初の中心、はじまりの場所になった」
「そうなのね」
「そうだよ、この通りお水もいいし」
先生も紅茶を飲みました、それは神戸で飲むミルクティーとはまた別の美味しさがありました。
「何かとね」
「住むにいい条件が揃ってて」
「それで奈良は日本のはじまりになった」
「そういうことね」
「そうだよ、神戸もいい場所だけれど」
それでもというのです。
「この奈良もいいね」
「そうだね」
「ずっといたくなるっていうか」
「気候もいいし」
「とても過ごしやすいわ」
「全くだよ、しかし三山はね」
今の論文の対象にも言及した先生でした。
「やっぱりね」
「幾ら調べても」
「それでもね」
「何ていうか」
「謎よね」
「あそこは」
「うん、謎だらけっていうか」
何かというと、というのでした。
「調べればね」
「調べる程だよね」
「不自然過ぎて」
「自然の山と考えるには」
「おかしな山達よね」
「どうしてもね、あれは何か」
本当にというのです。
「古墳としかね」
「思えないよね」
「どうにも」
「あの三山は」
「どうしてもね」
「全くだよ、やっぱり古墳だろうね」
これが先生のお考えでした。
「あの山達は」
「傍目から見たらね」
「しかもそれが二等辺三角形になってて」
「そのことも不思議で」
「どうもね」
「調べれば調べる程ね」
「おかしな山達でね」
「人の手によって造られた山達ね」
「それもかなりの考えがあって」
「当時としては」
さらにお話した先生でした。
「かなりの技術を使ってるよ」
「ああ、造られたと考えるとね」
「その時を考えたらね」
「ああした大きな古墳を造るとなると」
「かなりの技術ね」
「そうだよね」
「うん、人手も必要だし」
それもというのです。
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