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こんなチートでもありですかい?そうですかい。

作者:わいわい
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第12話。変人の計画

 
前書き
タイトルは計画ですが、大したことじゃないのだよ。
つなぎの回でスイマセン。 

 
晋吾は技術者である。

前世での彼は、日本を代表するロボット工学博士であり、人類に偉大な一歩を踏ませた人物でもあった。

人工知能。この日本語にはいくつかの意味合いがある。

多少気の利いた家庭用電気機械器具の制御システムや、ゲームソフトの思考ルーチンなどもこれに当り、学術的にはもっと細かく分けられているが、

プログラムにより制御された知能と言うのが一般的であろう。

また、哲学的な側面も強く、

「何が実現されれば人工知能が作られたといえるのか」

という基準から逆算することによって、

「知能とはそもそも何か」といった命題も立てられている

彼が作ったものは、『知』を元に『思考』し、『試行』する。IF-THENルールを脱したプログラムだった。

しかし、『知』を生みだす『意志』を持つまでには至らなかった。機械に魂を宿すことはできなかったのである。

それでも彼の開発は介護用ロボットや、レジャー用ロボットの発展につながり、世界にロボットがありふれた物にしたのだった。





「姉ちゃん。悪い。もう一度言ってくれんか?」
「だから、『ホムンクルス』だって言ってるでしょ?」

あの日の昼。のんびりとお茶している最中、アインツベルンの魔術が気になり、色々聞いていたらこう返ってきた。

魔術特性は『流動』と『転移』。錬金術に特化していて、ホムンクルスの『鋳造』が奥義。

錬金術・・・・ロマンのかほりがする。

「ホムンクルスか・・ヤバいな。マジでヤバい。」
「・・・・何がヤバいのよ?」
「学者的興奮な意味で。」

体は何で出来てるか?脳はあるのか?魂はどのように?そもそも魂はあったのか?ヤバい。脳汁が出そう。

「・・・・色々聞きたそうね。」
「何故わかった!?」
「目がキラキラしてるのよ。」

少年のように目を輝かせている晋吾であった。マッドじゃないよ!少年なんだよ!!





「ほうほう。魂は『降霊』するんですかい。」
「そうよ。ホムンクルスは体は『鋳造』できるけど、魂を作ることはできないわ。」

なるほど、流石に魂を作ることはできんか。まぁ、できたらあの幼女神と同じだしな。

「実は聖杯を求める理由は、これに関係してるの。」
「お?マジで?」
「そうよ。第三魔法『天の杯ヘヴンズ・フィール』。かつてアインツベルンが辿り着いて最果て・・魂の物質化。」

魂の物質化・・つまり魂の証明にもなる訳だ。不老不死?ゴメン、そんなことより魂の情報が知りたい。

「姉ちゃん。姉ちゃん。話変わるけど・・物に魂って宿せるの?」
「できなくはないけど・・何をする気?」
「いや・・ロボットに魂を与えたらどうなるんやろ?って。」
「ロボット?」
「おう。ロボットや。」
「・・・・・・面白そうね。」

こうして、『機人誕生計画』なるものを二人で作っていたら、シロちゃんに笑われた。

うぬぬ・・今に見てろぉ。3年・・いや!2年だ!2年で完成させてみせる!!





数日後。実にいい天気だったので、例のごとく散歩に出かけることにしたのだが・・・・

最近シロちゃんはついてこなくなった。

「俺も少しニイちゃん離れしないと・・。もう中学生になるんだしさ。」

とか言われた。なんか淋しい・・・・。絶ッッ対凛ちゃんのせいだ。そうだ。そうに決まっている。

いつもの通りに適当にうろつくんだが、絶対に近づかない場所がある。

間桐さん家と、新都の教会である。

理由は・・・・・・・臭い。

教会は鉄臭い。あと腐敗臭がする。教会なんだから木造にしろよ。あと生ごみは捨ててください。

間桐さんちはチーズ臭い、イカ臭い。濃厚なメスとオスの匂い・・・・なんて言うか。自重シロ?

そのためあまり近づかないのである。

ちなみにだが、シロちゃんは臭わないらしい。やはり嗅覚も人よりいいのか?

そう言えば最近死徒狩りしてないなぁ。別に金を稼ぐ必要はないけど・・『狩る』ことに必要性を感じるんだよね。

・・・・よし、探すか。





適当にうろついても死徒を見つけることができないだろうから、協力者を得るか。

「舞弥姉ちゃん。宜しくお願いします。」
「しかしだな・・・・」

すっごく渋られる。さっきからお願いしてるのだが、「でも・・・」「だから・・・」といって先に進まない。

ちぃい!埒があかん!

「何してるの?」
「イリヤ・・聞いてくれ。晋吾が・・」

姉ちゃん登場。しかし、彼女は舞弥にとって救世主なのか?それとも・・・!?

「死徒狩りねぇ・・晋吾は教会と何か関係でもあるの?」
「なんでここで教会が出てくるんねん。」
「だって死徒を狩ることに使命感を感じるだなんて、代行者みたいなこと言うんだもの。」
「代行者?」
「教会の悪魔殺しエクスキューターだ。」
「そんなんになった覚えはないで。」

どいつもこいつも・・・・俺は技術者だって。

「あまりしない方がいいわよ?派手に動くと教会も黙っていられなくなるわ。」
「なんでや?」
「簡単に言うと、死徒を殺すことだけだ彼らの目的ではないの。」
「ふーん。」
「彼らの目的は全ての異端を消し去り、人の手に余る神秘を正しく管理すること。だからシンゴみたいなのは正直な話、管理対象よ。」
「つまり・・・・私の体が目的なのねっ。」
「・・・・」

・・・・滑ったらしい。

「とにかく!我慢しなさい。教会は魔術師より厄介なのよ。」
「むむむ・・しゃーないの。我慢するしかないか。みんなにも迷惑かかりそうやし。」

結局俺はイリヤに丸み込まれ、ほっとする舞弥姉ちゃん。仕方ないわ、可能性は低いと思うが、

『遭遇戦』なら大丈夫やろ。『派手』にやるなって言われたから慎重にな。

全く諦めていない晋吾であった・・・・





入学式も近づいてきた頃、春の木漏れ日が気持ちよくなってきたある日。

「ゴホッ・・ゴホゴホ」
「なんや親父。風邪か?」
「ゴホッ・・なんか咳が出てきてね。」
「腹出して寝てたんとちゃうか?」
「むっ!そんなことないよ。」
「いえ。この間縁側でお腹を出して寝てました。」
「ぐぅ・・」

相変わらず舞弥姉ちゃんにはぐぅの音も出ないらしい。口で言ってるが。

「ちゃんと薬飲んで寝るんやで?」
「は~い」

どっちが親なんだかしばらく考えてしまう舞弥であった。 
 

 
後書き
今回は伏線(?)な回。次回は中学校入学から。 
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