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こんなチートでもありですかい?そうですかい。

作者:わいわい
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第11話。変人の夢。

「り~ん~ちゃ~~~~ん!!」
「・・・・・・・・・・なによ。」
今日も不機嫌です!って顔で出迎えてくれる凛ちゃん。

「遊びに来たで。」
「来ないでいいのに・・・・」
「そんなこと言わんといてな。今日はプリン持ってきたで?」
「・・・・入りなさい。」

プリンの魔力には勝てんらしい。女の子だな凛ちゃん。





「・・・・何やってるの?」
「呼び鈴つけ取るんや。」

タダの呼び鈴ではない。この時代にはないテレビドアホン。ワイヤレス機器接続でサーモカメラと顔認証により人を確認すると自動で作動するタイプなのだ。

なんでそんなのがあるか?もちろん俺が作ったからだ。フッ、俺にかかれば造作もない。

人が前に居なくなると自動で止まる。高齢者対象に売られてた製品だから機械音痴の凛ちゃんでも大丈夫!

「なんよ。」
「何勝手につけてるのよ!!」
「だって大声で呼ぶと凛ちゃん不機嫌になるやん。」
「・・・・はぁ~。(来ないって選択しは無いのかしら?)」

疲れている様子の凛ちゃん。よしっ!プリンと紅茶で疲れを癒してあげよう。

「今日は家から持ってきた紅茶を入れました。」
「あなた、紅茶なんて入れられるの?」
「フッ。姉ちゃんから合格の印を貰ったで。」
「姉もいるの?」
「おうよ。3人姉弟よ。」

ふーん。といいながら口に含む凛ちゃん。

「へぇ。美味しいじゃない。」

流石はドイツの誇るロンネフェルトのアイリッシュモルト。

不機嫌だった凛ちゃんも、自分を取り戻したようだ。

「せやろせやろ?プリンも召し上がれ!美味しいで。」
「これも弟と作ったの?」
「おうよ。今度連れてくるさかいな。」
「別にいいわよ。連れてこなくて。」
「決めた。明日連れてくるわ。」
「何でよ!!」
「シロちゃんに会わんとは言語道断!やらないでか!!」
「シロちゃん?」
「士郎って言うんよ。」

しばらく晋吾による士郎自慢が始まるのであった。





「んでなー」
「分かった。分かったわ。いかにあなたが弟を大切にしてるか分かったわ。」
「そうかそうか。」

凛ちゃんはハァ―っと溜息をついた後、しばらく思案し、真面目な顔で聞いてきた。

「・・・・所で、あなた・・魔術師なんでしょ?」
「違うで?」

ぶっぅ!っとふきだす凛ちゃん。なんや汚いで?

「嘘つきなさい!そんな魔力があるのに魔術師じゃないですって!?冗談じゃないわ!!」
「ウソやないで?俺は技術者やもん。」
「・・・・技術者?」
「基礎となる学問や知識を具体的なものづくりやプロセス、システムの開発に応用する専門家。これを技術者と言うんよ。」
「つまり科学側ってこと?こんな魔力を持っていて・・笑えないわね。」

吐き捨てるように失笑する凛ちゃん。少しカチンとくるな。

「魔力とか関係あらへん。凛ちゃんは魔術の道で究めたいことがあるんやろ?それと同じことや。」
「・・参考までに聞かせて貰うわ。あなたが・・・・目指しているものは?」
「ロボットと言う言葉は知っているかい?」
「ええ。流石にそれぐらいは知っているわ。」
「この言葉の語源は、チェコ語の『強制労働』。俺が作りたいのはそうじゃない。」
「・・召使いじゃないってこと?」
「そう。鋼鉄の体に魂と言う名のプログラムを。社会的知識を持ち、人間と同等の心を持つ。人造人間と言ったらいい・・か?新たな『人』を生みだす業よ。」
(科学が未来に向かっていく物ならば、魔術は過去に向かっていく物だが行き付く所は同じ・・誰が言い出したのか知らないけど、よく言ったものね。)

タダの夢とかでなく、実際晋吾は後一歩のところまでいっていた。・・が、不可能に挑むなら狂気に走らないといけないじゃね?でも何すればええん?・・よし、とりあえず研究室に籠るか。

と研究室に籠り始めて、睡眠中に別の研究室からの火災で死ぬという。何ともしまらない最後を迎えていた。

死後、周りに

「あの愉快な爺さん。とうとうボケていたのか。」「いや生まれた時からボケてたよ。一緒に居て面白かったけど。」

とか言われる始末。愛させれているみたいだが、微妙に可哀想である。

「・・・・それがあなたの道。・・分かったわ。道は違えど、目指すところは同じってわけね。」
「・・んで、凛ちゃんは?」
「私?・・・・魔術師の私がベラベラと言う訳ないでしょ。」
「・・クックック。そうやったの。」
「フフッ。ええ。そうよ。」
「改めて、宜しゅう。魔術師。」
「宜しく。技術者。・・でいいかしら?微妙に合わないけど。」
「技術師の方が合うか?」
「いいわね。」

進む道は違えど、こいつなら・・友人であってもいいかも。そう思い始める凛であった・・





次の日・・・・

ピンポーン。ピンポーン。ピポピポピンポーン。ピポピポピンポーン。ピポピポ・・

「・・・・・・何よ。」

今日も不機嫌そうな声の凛。早くも昨日の思いが消え失せそうである。ちなみに今日は玄関まで来ていません。

「おお。使えたやん。やったね!凛ちゃん!!」
「使うも何も、ボタンも押さないでいきなり画面がつくなんて、これどうなってるのよ?」
「そうゆう仕様なんよ。んで、上がっていい?」
「嫌って言ってもいいかしら?」
「そしたら、呼び鈴押しまくる。」
「壊そうかしら?」
「所がどっこい、テレビ画面を壊したところで音が止む訳じゃないのだよ。」
「・・・・はぁ~。もういいわ。入りなさい。」
「お~。凛ちゃんあんがとなー。」

下手に相手にするのが面倒になってきた凛であった。

「今日はシェフの登場やで。」
「衛宮 士郎だ。よろしくね。」
「ふーん。士郎君ね。」

頭から足元までじろじろ見る凛ちゃん。

「な・・・・な・・何かな?」
「いえ、気にしないでよろしいですのよ?」
「そ・・そう?」

真っ赤になって照れてるシロちゃん。凛ちゃんカワええもんな。初心なシロちゃんが可愛いです。

「いつも美味しいお菓子をありがとう。」
「え・・あ・・ありがとうございます。」

頭を下げる凛ちゃんに対して、それよりも頭を下げるシロちゃん。

「今日はショコラにしたんだ。」
「まぁ・・楽しみだわ。」
「う・・おう。楽しみにしていて。」

いつものように『うん』と頷くところを『おう』と直すシロちゃん。あの短い間にこっちの方がいいと判断したらしい。

何この子カワイイ・・。男らしくしたかったんですね。わかります。

始めのうちは急に撫で声になって猫かぶりし始めた凛ちゃんきめぇ。って思ったけど・・good job!!

この後もいい所を見せようとするシロちゃんに悶えさせてもらいました。





「一ついいかしら?」
「なんや。凛ちゃん。」
「あなたじゃないわ。士郎くんに聞きたいの。」
「え?・・俺に?」
「ええ。士郎くんは・・夢とかある?」

おいおい。いきなり将来の夢とか話始めんなよ。アレか?フラグって奴か?そういえばシロちゃん主人公だったよな?

なるほど・・シロちゃんはフラグ一級建築士だったわけか。モゲろ。

「夢か・・・・陸上選手とか料理人とかパティシエとか、なりたものはたくさんあるけど・・」

どれも俺が進めた『夢』。示した『夢』。しかし・・

「俺は、将来どんなことになっても、人に何かをしてやれる奴になりたい。それが夢を与えることでも、幸せな気分にしてあげることでも。なんでもいい。」

『士郎』は変わらない。人を想い。人を慈しむ感情は・・どこまでも『真っ直ぐ』である。





「さて、時間も時間やし、そろそろお暇させて貰いますか。」
「あら?もうそんな時間なの?」
「そろそろ帰らんと親父が愚図るからの。」

親父のあの顔で、愚図るところを想像したのか、苦笑いで答える凛。

「じゃ、俺は食器洗ってるよ。」
「そんな・・悪いですわ。」
「いいって、俺が作ってきたんだから。皿も俺が洗いたいんだ。」
「それじゃ・・お願いするわ。」

シロちゃんが洗いにいって二人っきりになったので、凛ちゃんに聞いてみることに。

「何でシロちゃんの夢とか聞いたん?」
「・・そうね。あなたの弟って言うからどんな変わり種が来るのかと思っていたら、年相応の男の子じゃない?普通の子はどんな夢かなって」
「悪いけど、シロちゃんが年相応の普通の子って言ったらあかんよ?あれだけ考えられる小学生はいないで?」
「そうね。聞いておいてよかったわ。いい男だって見直せたし。」
「せやろせやろ。」

うん。うん。凛ちゃんもシロちゃんの魅力が分かってくれたか。

「・・・・なんか面白くないわね。」
「どうしたん?」
「何でもないわ。」

なぜかつまらなそうに言う凛ちゃん。どうしたー?

「おっ。そういえば、中学校って凛ちゃんどこなん?」
「・・・・第二深町中学校。」
「おおっ。奇遇やな。俺らと一緒やん。」
「嘘・・・・でしょ?」

凛ちゃんと一緒かー。早くも中学生活が楽しみだ。 
 

 
後書き
晋吾は常に未来に目を向けている。人間の可能性を信じていると言ってもいい。発展していく文明を、次のステップへ昇華させるべきだとも考えている。一方魔術師である凛の夢は、自らが感じ取ったものではなく、家にあったのもを拾い、それに使命感を感じた。というイメージ。士郎は歪みがなければまっすぐないいやつだと思っている。修造みたいになってほしい。熱くなれよぉお!!何事にも全力な熱い漢になってもらいたいものだ。  
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