天国と地獄<中世ヨーロッパパロディー>
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
12 天使族と悪魔族
_「神楽ちゃん?どこにいるの?」
叫んでも、応答はない。
_「全く、どこにいるのかしら?」
_「地下牢じゃねェかァ?」
と、晋助。
_「地下牢?なんでそんな…」
後ろに気配を感じた。
_「危ない、後ろ!」
と振り返り、とっさにバリアの呪文を唱える。
_「エクスペクト・パトローナム!」
杖から出た光が、何かに当たった。
!
振りかえると、漆黒のマントを来た男たちが軍隊のような列をなしている。
そして、その一番前に立っていた男が、封筒を渡してきた。
零杏のみ、私のいるところまで連れてきなさい。他の者たちは決して連れてこさせないように。ただし、高杉のみは零杏に付き添うことを許可する。
…!?
_「これは、どういうことですか?」
男は答える。
_「そのままの意味にございます。」
銀時が、口を開いた。
_「詳しくはよく分かんねェが、とりあえず今回の敵の狙いは零杏だ。高杉が指名されたのは気に食わねェが…零杏。ここはとりあえずオレたちに任せて、お前は先に行ってろ。オレたちは後から行く。」
_「そうでさァ。オレだって、指名が高杉なのは気に食わねェですぜィ?だけど、今この状況で零杏を守れるのは、高杉でィ。だから高杉、零杏を頼みまさァ。」
_「高杉、零杏を危険な目に会わせたら、容赦しねェからなッ!
覚悟しとけやッ!」
高杉が口を開く。
_「まァ、せいぜい頑張れや。悪魔族は、手強いぜェ?
オラァ、零杏を守ることしか考えてねェ。さっさと終わらせて、オレたちを追いにこい。」
万斉、また子。
と、晋助は口を開く。
_「お前たちも、銀時たちと戦え。
付き添いは、オレだけで十分だ。」
不敵な笑みを浮かべてしゃべる晋助の横顔が、不意にもカッコいいと思ってしまった自分がちょっとだけ恥ずかしい。
行くぞ、と言って私の手を取って走り出した。私はただ、晋助に付いていくのに必死だった。
指定された場所は、大広間のような場所だった。扉が固く閉ざされていたので、こじ開けの魔法を使って、ドアをこじ開けた。
ドアを蹴破ると、神楽ちゃんが縛られて横たわっていた。
_「神楽ちゃん!」
近くに駆け寄って抱き起こす。
魔法で縄をほどき、腕に抱える。
_「しっかりして、神楽ちゃん!」
よく見ると、神楽ちゃんの首筋に何かの痕がある。だがこれは…!?
_「ようやくいらしたのね?零杏お姉様。」
と、背後から声がする。
_「麗奈ッ…!?」
高杉の声がする。
だが、高杉の声の震えから、
その声の主が発するのが、尋常ではないものである、というのがひしひしと伝わってくる。
ページ上へ戻る