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魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年

作者:レゾナ
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真・五十一話 それぞれの戦い

 
前書き
さあ、前回なのは達のいる別の空間にやってきたシンフォギアを纏いし少女達、今回はなぜこの世界にこれたのかとなぜ別の空間に転移したなのは達の下へやってこれたのかの説明回になります。 

 
時は数時間前にまで遡る。

海鳴市近くにある小高い山。その中腹付近に突如として小さな穴が開いた。

そしてその奥から顔を覗かせるのは、まだ小柄な少年だった。

「……よし、誰もいないな。皆、来ていいぞ」

少年がそう言うと、少年に続いて高校生くらいの少女が六人、大人の女性が三人やってきた。それぞれ特徴的なスーツと機械に身を包んでいる。

彼女達こそ、自分達の世界からこの世界にやってきた、全の味方達だ。

「よし、皆いる………………?どうした、皆?」

と、少年―――――――支倉奏平は皆が自分を見つめる瞳に不審な点を見つけた。というか、なぜか自分が彼女達を見上げる形になっている事に気付いた。

「?…………あれ!?何で俺、縮んでんの!?」

「ふわぁ!!ちっさい頃のそう君だぁ!!!」

「ちょっ!?響、抱きつくな!!?」

ようやく、自身が小さくなった事に気付いた奏平。しかし、その驚きをよそに響と呼ばれた少女が抱きつく。

その傍にいた紫色のスーツと機械を纏っている少女もうずうずとしており、今にも抱きつきそうだ。

「ま、まずは司令と通信できるかどうかの確認をしないといけないだろ!!?離せ、響!!」

「いや!」

「嫌、じゃねぇ!!」

小さくなっているからか、中々響を振りほどけない奏平。

「そうさん、可愛い……」

「そう先輩、ナデナデしてあげるデス!」

「調、切歌、お前らも乗るなぁ!!」

そこに後輩組に入る碧の少女とピンク色の少女も入って中々カオスな状況になっていた。

「我慢なさい、奏平。連絡は私たちでやっておくから」

「そうだな、後輩の面倒を見るのも年長者組の仕事だろ?」

「貴重な体験をしているんだ、楽しまなければ損という物だぞ?」

そう言って銀色の少女と赤の少女、青の少女はその場から一歩離れて通信を開始する。

「確か、この装置を置けばいいんだよな?」

「ああ、それで通信状態が良好ならば、可能な筈だ」

「にしても、不思議な物ね」

銀色の少女―――――マリア・カデンツァヴナ・イヴが赤の少女が持つ手のひらサイズの丸い物体を見つめる。

「こんな物で平行世界間をつなぐ通信が出来るなんて」

「そこん処はホント、錬金術師様様だよな。まあ、あいつらの技術と現代科学がないと出来なかったらしいけどな」

赤の少女―――――雪音クリスが装置を地面に置く。

すると、装置が起動し、横にスライド。スライドした所から見えるカメラのような物から空中に映像が投影される。

『あぁ。あぁ。テステス。感度はどうだ?こちらからは普通に見えているが』

数秒すると、妙にガタイのいい赤いワイシャツを着た男性が映りこんだ。傍には小さな少女が二人、いる。顔がほぼ同じなため、双子かと思われる。

「大丈夫です。こちらも感度良好。よく見えています」

『よし、これで連絡手段は確保出来たな。という事は装者間の通信も可能という事か』

『だろうな。今装者間で使用している通信の大本を使ってこの空中投影型多方通信手段を開発したんだ。大本が使えないという事はあるまい』

『よかったですね、キャロル!!』

『ふん、当然だ。それよりも……お前らの後ろで行われているカオスな状況は一体どうした?』

「ああ、それがですね……」

青い少女―――――――風鳴翼が状況を説明する。

『ああ。それは恐らくだが、奏平の体がそちらの体に寄せられたんだろう』

「寄せられたってどういう事だ、師匠?」

何とか響達のナデナデ地獄――――途中からマリアの妹であるセレナや紫の少女、未来まで加わった――――から抜け出し、どういう事かと奏平は自身の師匠であるキャロルに聞く。

『今回、お前たちは三つのプロセスを通してそちらの世界に渡った。一つ目は俺たちが出会った全の母親である天照大御神の通すライン、二つ目はお前自身が全と一時期とはいえ一つとなっていたお前に残っていたライン、そして三つめはそれらを結合し、より強力な因果に変え道を開いた完全聖遺物、ギャラルホルンだ』

『僕たちの考えでは、その際に奏平さんと全さんの間に再びラインが通ったと思っています。そしてそちらの世界では全さんはまだ小学四年生。つまりは』

「その年代まで俺の身体年齢が引っ張られたって事か」

『はい。恐らくは…………?何でしょう、この反応?』

『どうした、エルフナイン?』

と、双子と思わしき少女達、キャロル・マールス・ディーンハイムとエルフナイン・マールス・ディーンハイムがあるモニターに表示された数字を見る。

『これ、別位相の空間が構築されたって……』

『ああ、そうだろうな。別位相の空間などそう易々と構築できる訳がない。という事は……』

「どうしたんだ。師匠、エル」

不審に思った奏平がモニターの向こうで何やら作業をしている二人に聞くと

『みんな、落ち着いてよく聞いてくれ』

そんな、威圧感を放つ声が司令――――――風鳴弦十郎の口から放たれる。

その場に集まった全員の顔に緊張が走る。彼がこのような声を出す時は緊急事態の時だけだからだ。

『先ほど、そちらの世界の別位相に全く異なる世界が構築された。その内部はモニタリングしていないので分からないが、恐らくは敵にとって優位に働くに違いない。そして奴らがそんな世界を作ったという事は……』

「そっちの世界に……誰かを転移させようと考えている」

弦十郎に代わり、今度はキャロルが出てくる。

『その通りだ。恐らくは全と共に歩もうと考えている者達……彼女達を連れて行こうとするだろう。そこでだ、小日向』

「は、はいっ」

急に名前を呼ばれた未来は画面に表示された数字を見る。

『今表示しているのはその別位相の世界のある場所の座標だ。そこに装者達を連れていけ。奏平は全の身柄の安全確保だ』

「ちょっと待ってくれ、師匠。装者全員でか?何人かはこっちに残った方が」

『馬鹿者が。敵は全戦力とは言わないがそれでも多くの戦力を彼女達に向けるだろう。それに対抗する為にはこちらもありったけの戦力をそちらに向けるべきだ。別位相への空間転移……いや、この場合は鏡を通る移動というべきか、それをする為には小日向にその場に残ってもらい、計算を完璧にしてもらわなければいけない。一桁でも違えば全く違う空間に出るわけだからな』

「だけど『それに、そちらの世界で動くのは少数の方がいい。ならば、最大戦力であるお前が全の下に駆け付けるべきだ』…………わかった」

『では、通信を切るぞ………………今度、通信をする時は全君と会話してみたいものだな』

最後に弦十郎はそう言って通信を切った。

「おいおい、最後の最後にプレッシャーかけていきやがったぜ、おやっさん」

先ほどまでずっと黙っていた白銀の鎧を纏った女性――――――――天羽奏がそう言う。

「そういや、さっきまで黙ってたけど、何でだ奏さん?」

「ん?いやぁ。いじられるお前を見るのは面白れぇなって思ってよ、黙って見物させてもらってた」

「…………相変わらずですよね、それ」

「まあ、細かい事は気にすんなって…………それよりも」

「ああ、未来。頼めるか。俺は先行して全の下に行く」

「うん、任せて。計算とかは得意だから」

「じゃあ、また後で…………………皆にも全の事、きちんと紹介したいからよ」

奏平はそう言って、山を降りていった。

「プレッシャーだなぁ……」

「未来さんなら大丈夫ですよ」

「そうデス」

「そうそう、期待してるよ未来!」

「響……うん、任せて」

未来はそう言うと、自身の頭についていたバイザーを目元まで移動させて流れ込んでくる計算式を続々と処理していった。











ここで、説明しておこう。

小日向未来が纏うは歪鏡・神獣鏡。その特性は魔を祓う事。故にシンフォギアなどを強制的に破壊する事なども出来、まさしくシンフォギア殺しのシンフォギアとも言える。

だが、考えても見てほしい。神獣鏡はその名前の漢字の通り、鏡を使う。それらはただ浮遊したり、装者の楯となるだけだろうか。

否、違う。それらの特性は鏡そのものにもあるのだ。

鏡は何かを映すもの。そして映された世界はこちらの世界とは反対の世界となる。つまり、反対という事以外は全く同じなのだ。

そう、神獣鏡の隠された特性。それは―――――――――座標入力さえ出来ればその場所に鏡を用いて一瞬で移動出来たり、鏡その物に装者である未来を映せばもう一人未来が現れるという物なのだ。

また、こんな芸当が出来るのは未来の異常なまでの適合率にある。

通常、正規適合者である翼やクリスでも、80%や70%をいったりきたりだ。安定している。

しかし、未来の場合は桁が違う。その脅威の適合率、200%なのだ。

故にこのような芸当が出来るのだが、しかしこれらを使いこなすまでが大変だった。何しろ、起動した瞬間に聖遺物の侵食が始まるような物なのだ。

しかし、それでも未来はやってのけた。その努力があったからこそ神獣鏡の隠された特性を発揮させる事が出来たのだ。

そして今、それを用いて別位相の空間への鏡を使った移動の為の計算をしている所なのだ。

「どうだ、そちらは?全殿は見つかったか?」

『ああ、大体の場所に検討はついてる。今そこに全速力で向かってる所だ。そっちは?』

「こちらもそろそろ」

翼が通信をしていると、未来が翼に対して頷く。

「今、計算が終了した所だ。今から我々は別位相の空間に向かう。無茶はするなよ、奏平」

『わかってるってぇの。そっちも無茶すんなよ』

「……よし、行くぞ!!」

こうして、彼女達は別位相に展開された世界にも侵入する事が出来たのだ。





















「平行世界からだと?」

「おお、全がピンチだって言うからよ。すっ飛んできたんだ」

「へぇ、そちらの世界にある平行世界間を移動する何かがあるって事ね」

「そういう事さ。全、戦えるか?」

未だに少しだけよろけている全にそう聞く奏平。

「ああ、大丈夫だ。俺は神の方をやる、高宮の方は」

「俺がやるよ。あの時やられた借りはきっちり返さねぇとな」

「か、彼女達は「戦姫絶唱シンフォギア」の主人公たち。なるほど、やっぱりあの世界もあったのか」

「?」

そして次の一言が放たれた。








「本当にアニメそのままなんだな。やっぱり」










「………………………全、改めて言うけど高宮は俺が貰うぜ」

「?ああ、いいけど……どうした?」

「いや、ただ…………あのくそアホは一発ぶん殴らねぇと気が済まねぇだけだ!!」

今、最後の戦いが始まろうとしていた。 
 

 
後書き
という事で、今回はここまで。

次回からはそれぞれの戦いを一話ずつやっていこうと思います。

最初はやっぱり、響達でしょ!!そこで響達の新たなる力も明かされます!! 
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