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ジョジョの奇みょんな幻想郷

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第一部 ケイオスクルセイダーズ
第二章 春雪異変~神浄刀矢さんとコラボ企画~
  28.一難去ってまた

「お嬢様が仰っていた。『私が望みさえすれば、運命は絶えず私の味方をする』と」
「そういうのは勝手から言えってのっ!!」
 妖夢はまたも愚直に距離を詰める。無鉄砲ともとれるそれは、二刀を手にした妖夢の圧倒的存在感がその有用性を示した。
「うっしゃああああああっ!!」 
『無駄無駄無駄無駄無駄無駄っ!』
 妖夢の颶風のごときラッシュを咲夜は疾風怒濤のラッシュで迎え撃つ。
 しかし、咲夜のルナダイヤルの高火力を持ってしてもじわじわと押されてしまった。
 妖夢はニヤッと口角を上げ左腕でルナダイヤルの腕をカチあげた。普通ではありえないことに咲夜は動揺を隠せなかった。その確固たるスキを妖夢は逃さなかった。
「せぇぇぇりゃぁぁぁ!!」
 妖夢の突きが咲夜のどてっぱらへ刺さった。
「グッ!カハッ!」
 その一撃でルナダイヤルは咲夜の中へ引っ込んでいった。
「こいつで、しめーだ」
 咲夜は決死の思いでスタンドを出し刀を抜こうと試みる。
「抜けねーよ。まだ私の方が力が強い」
「……この腹に刺さったものでどうする気かしら?」
「死なねぇ程度に押し込んで、しばらくおねんねしててもらおうか」
「お、押し込むね。や、やめなさい。これ以上押し込むと死んでしまうわよ」
「嫌だね。私の給料の礎になってもらうぜ!」
 妖夢がさらに奥に押し込もうとしたその瞬間を咲夜は待っていた。スタンドを出し刀に向かって右ブローを炸裂させる。そして。
『無駄ぁ!!』







 バキッ!と刀をへし折った。
『無駄ぁ!』
 右を引っ込めさらに左ブローを炸裂させる。
「な、なにぃぃぃぃ!お、折られる!刀を、折りとられるぅぅぅぅ!」
『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!!』
「痛てててててててて!折れる!妖夢さんの人生BAD ENDに折れるぅぅぅぅ!」
 バキン!と音が鳴りやむと刀は根元まで折られていた。
「ところで、給料の礎とか言ってなかったかしら?」
「ギクゥ!そ、そんなわけなじゃないですかぁ。ち、ちょっとした妄言ですよぉ。本気にした?」
「そう。まあ聞いていたのだけれど」
 妖夢はまるで某子供の名探偵に犯罪の証拠を指摘された犯人のように顔を青くし冷や汗をダラダラ流した。
「憐れすぎて、何も言えないわ」
 ただ一つ、
「金が欲しいのなら。それに見合った働きをしなさい!」
『無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!!!』
「あるんじゃねーかぁぁぁぁぁ!!」
 そんな断末魔を上げ妖夢は吹っ飛んでいった。



 魂魄妖夢 再起不能(リタイア)

















『EVOLUTION KING』
 そんな音声とともに腰に差していた剣から十三枚のトランプが展開し、それらが体の各部に吸い込まれた。変身が完了したその姿は黄金色に輝き重厚感溢れ、胸にはコーカサスオオカブトのような紋章がかたどられていた。
「おいおい、まったく何なんだぜ。これじゃあこの魔理沙さんの出番がなくなっちまうんだぜ」
「ヤベーイな。和真のやつ、とんだ隠し玉を持っていたもんだ」
 魔理沙に丞一は冷や汗を流しながら苦笑を浮かべながら、霊夢は何も言わなかったが全員が同じことを悟った。
 これには勝てないっ!と。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「っ!『反魂蝶-八分咲-』!」
 幻想郷屈指の実力者の幽々子も嫌な予感が頭をよぎった。幽々子が放てる大技を放つ。赤と青の大小様々な弾幕がレーザーが和真を襲う。
 そんな弾幕を和真は紙一重でかわし続けた。そうしながら自らの必殺の間合いまで詰めていた時だ。
「え?」
 幽々子は驚愕の表情が浮かんだ。幽々子は見たのだ。絶対あり得ない、摩訶不思議なその現象を。
 しかし、和真はそんな少しの隙も見逃さなかった。
『♠10,J,Q,G,A』
 アーマーと同じ金色の剣『重醒剣キングラウザー』へ五枚のカードが自動スキャンされる。
 大上段に構えると、目の前に幽々子へ向かって光の五枚のカードが出現する。
『ロイヤルストレートフラッシュ』
 振り下ろされた剣から赤く光り輝くエネルギーの斬撃が繰り出された。
「しまっ!」
 その力の奔流に飲み込まれ、和真は変身が解除されると膝をついた。
「はあ、はあ...っくそ、目の前に桜の木が見えるぜ。チクショウ!」
 そういうと和真はいきなり苦しみだしもがき始めた。
 その和真と相対するように魔性の桜は妖しく舞い散る。
『■■■■■■■■■ッ!!』
 悲鳴、慟哭、咆哮とも取れる雄たけびが和真、そして桜の木から放たれる。
「ったく。何なんだ。次から次へ、と!」
 丞一はニャル子をけしかけラッシュを繰り出す。明らかにヤバい。そう直感した丞一のフルパワーのラッシュ受けたにも構わず、まったくの無傷、何食わぬ顔で立っていた。
 その間も和真の体に変化が起きていた。まるでカミキリムシのような化物へと変わっていった。
「――――――やっぱり間に合わなかったみたいね」
 丞一の後ろにスキマが現れ、幽々子を抱えた紫が現れた。
「「紫!」」
「はぁ~い。霊夢、魔理沙。久しぶりね♪」
 あまりにも間抜けしたセリフだがそれでも、緊張を途切らせなかった紫に事の重大さが窺える。
「あれは何だよ、紫さん」
「手短に説明するわ。彼はなってしまったのよ。ジョーカーアンデットに」
「アンデット。不死者?」
「存在するだけで、世界を破壊してしまうものよ」
「めちゃくちゃだな。おい」
「なら早く倒さなきゃだぜ!」
「あれだけならよかったのだけれどね。あの桜は西行妖。人の命を喰らい続けた妖怪よ。その昔にある人の亡骸を埋めることによって封印して花が咲かないはずだったのよ。もし、あれが満開になるようなことがあれば――――――――――幻想郷が滅ぶ」
 あまりにも最悪な取り合わせだった。片や幻想郷の滅亡。片や世界の滅亡だ。
「なる、ほど。納得がいったわ」
 紫の腕の中で目覚めた幽々子の呟きに全員が顔を向けた。
「彼、私を攻撃する前弾幕に掠ってるのよ。掠るだけで即死の弾幕に掠ってるの」
 しかし死ななかった。その時からアンデット化が進んでたのだろう。
 そんな時に階段から咲夜と妖夢が昇ってきた。
「……あれは」
「ちょっと、シャレになんないんじゃないんですか?あれ」
「霊夢。手伝いなさい。あれを、私たちで封印するわ」
 紫がその双眸に桜を捉え睨みつけた。
「でも紫さん。和真はどうすんだよ?絶対邪魔してくんぜ」
「誰かに足止めしててもらうしかないわ。生憎、西行妖の足止めにも人員を割かなければいけないわ。彼の足止めに避ける人数は一人ね」
 この場にいたほぼ全員が目を見開く中、霊夢と幽々子は紫の幻想郷への愛を知っているだけにジレンマを感じていた。
 相手は、おそらく今まで戦ってきた敵の中でも最強。おそらく、今の和真に一人で挑むことは死にに行くに等しい。しかし、これをやれるのは一人しかいない。
「―――――紫と霊夢は封印の準備だし、幽々子はさっきの戦ってたばかりだ。で、あいつを一人で抑えられるほどの実力を持ったやつってことを考えると、俺ってことだ」
 










 ――――――――――ジョーカー対抗できるのは切り札(ジョーカー)だ。

 
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