転生とらぶる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
ペルソナ3
1980話
『なるほど。話は分かった。……しかし……そうか』
電話の向こうで、武治は何か口籠もっているように見える。
何だ? タカヤの件について、何か思い当たる事でもあるのか?
そんな疑問を抱くが、ここで無理に話を聞こうとしても、それで大人しく応えるとは思えない。
そうなると、やはりこちらとしてもこれ以上聞く事は難しくなる。
だが、そうだな。今の状況ではそこまで無理に追求する必要もないか。
「幾月の方は大丈夫か?」
『うむ。そのタカヤという人物から話を聞く時には、何かあった時の為という事で、人を付けよう。実際、そのタカヤという人物が召喚器をないままでペルソナを召喚出来るのであれば、その警戒は必要になるからな』
本当に召喚器がないままペルソナを召喚出来るのかどうか、一度確認した方がいいと思うんだがな。
もっとも、あのタカヤがそう易々とこっちの提案に乗ってくるとは思えないが。
部屋にある時計を見ると、既に時間は午前1時近い。
影時間が終わって解散という事になってから、ゆかりとコロマルをそれぞれ送り届けた後にすぐ武治に電話したのだが……予想以上に話していたらしい。
まぁ、武治からオペラを見にいかないかと言われたのは、ちょっとどうかと思うが。
俺がオペラなんか見に行ったら、間違いなく眠ってしまうぞ。
「なら、そっちは任せる。……一応言っておくが、タカヤが妙な真似をしようものなら、すぐにこっちで手を出すぞ? それは分かってるな?」
手を出す……暗に殺すという事を仄めかされた武治は、電話の向こうで重苦しい声を発する。
『分かっている。こちらも出来るだけそうならないようにしてみせるから、安心して欲しい……というのは、ちょっと気楽かもしれないな』
「だろうな。ともあれ、これでイレギュラーシャドウの残りは4匹。これまでのパターンから考えると、上手くいけば10月には解決する筈だ」
『……そう、だな』
嬉しいのかどうなのかは分からないが、電話で聞こえてくる声はどこか戸惑ったような感じがする。
まぁ、武治にとっては自分の父親が残した負の遺産とも言うべき影時間をどうにかする為に、これまで生きてきたんだ。そうである以上、それがあっさりと解決されると言われても……そう簡単に納得出来るものではないといったところか。
「ともあれ、後から美鶴や幾月からも連絡がいくと思う」
『……うむ。では、この辺で失礼させて貰おう』
そう告げ、電話が切れる。
さて、イレギュラーシャドウも倒したし、影時間も終わった、タカヤの件も一段落したし……明日に備えて、そろそろ寝るとするかな。
夏休みだから、遅くまで起きていてもいいんだが、何か用事があるのならともかく、わざわざ用もないのに遅くまで起きているのは、何か馬鹿らしいし。
そう判断し、俺は眠りに就くのだった。
タカヤを捕らえた日からは、特に何が起きる訳でもなく時間が経っていく。
武治は言葉通り幾月がタカヤから情報収集を行う際には、他にも監視役を同行させているらしい。
……正直なところ、そんな状況ではわざわざ幾月が情報収集をしなくてもいいと思うんだが……それでも幾月が何度もタカヤと話をしているのは、さて何を考えているのやら。
ともあれ、幾月やタカヤに関しては武治を含めた桐条グループに任せ、俺は存分に夏休みを満喫している。
勿論夏休みを満喫しているだけではなく、イレギュラーシャドウを倒した事で通れるようになったタルタロスの攻略も進めている。
そんな風に、公私ともに充実している中で、ゆかりが妙な噂を聞く。
「それ、本当か?」
「ええ。順平に好きな人が出来たんだって。毎日のようにその子に会ってるらしいわよ?」
「……いやまぁ、順平が何気に女好きだってのは知ってるけど」
先月の屋久島でも、ナンパして玉砕しまくっていたらしいしな。
それだけに、1人の女に熱中したと言われても納得出来ない訳ではない。
もっとも、それで成功するかと言われれば……正直微妙なところだが。
そもそもの話、順平はムードメーカーという意味では大きな戦力となるだろうが、純粋に男として見られるかと言えば……正直微妙なところだろう。
そんな順平が意中の女にアタックをしても、それが成功するかと言われれば、正直なところ微妙だと思うというのが正直なところだ。
「一夏のアバンチュールを求めた順平の恋愛、どうなると思う?」
「そう言われてもな。夏期講習で順平と会った時は、特にこれといってそういう風には見えなかったけど。ああ、それとも単純に順平がその相手と出会うよりも前の話だったのか?」
「その辺は私にも分からないわよ。……それで、どうする?」
「どうするって……どういう意味だ?」
「だから、順平に協力してあげないの?」
「そう言われてもな。順平に助けて欲しいとヘルプを求められれば、俺も相応の対応はするけど、頼まれてもいないのに、自分から首を突っ込むのって正直どうかと思わないか?」
そう告げると、ゆかりが意表を突かれたような視線をこっちに向けてくる。
何だ? 今の俺の発言に、何か妙な事はあったか?
自分の言葉を思い返してみても、特にそういうのは見当たらない。
なら、どういう事だ? とゆかりに尋ねてみると……
「いや、恋人が10人以上いるって割には、恋愛関係に慎重なんだなって思って」
「……それは否定しない」
うん、その辺りはもう否定しても全く意味はないしな。
「とにかく、だ。順平の性格なら変にテンパって、自爆してそうなのがちょっと心配だな」
「あー……それは否定出来ないわね。順平って、色々とやらかしてきた前科があるし」
「なら、それこそ順平に対するアドバイスは、俺じゃなくてゆかりがした方がいいんじゃないか?」
「微妙なところね。順平が好きになった相手の性格が分かれば、アドバイスを送ってもいいんだけど。ここで下手に私が何かを言おうものなら、寧ろ順平の言動が不自然になるでしょうし」
冷たい麦茶の入ったコップを口に運びつつ、ゆかりがそう言う。
コクリ、コクリと麦茶を飲むその白い喉は、どこか蠱惑的だ。
……もしここにいるのが俺じゃなければ、それこそ衝動に負けてゆかりを押し倒していてもおかしくないくらいには。
「……何?」
麦茶を飲み終わったゆかりが、俺の視線を感じたのかそんな風に尋ねてくる。
「いや、何でもない。ゆかりの作ってきた麦茶は美味そうだなと思って」
「あのね、麦茶なんて水にパックを入れておけば、それで出来るのよ」
少し呆れ……それでいながら、照れたのか薄らと頬を赤くしながら告げるゆかり。
そう、この麦茶はゆかりが作って持って来たものだ。
もっとも、影のゲートで直接ゆかりの部屋から俺の部屋にやって来たんだから、持って来たという表現が相応しいのかどうかは、正直なところ微妙だが。
「そうだな。出来れば恋人の作ってくれた料理とか食べさせて貰いたいところだけどな。……こうして一緒にいても、料理を作るのが男の俺ってのは、正直どうよ?」
「う゛っ! そ、それは……今の時代に女だから料理が出来なければならないなんて事はないわよ。それに……一応、私だって料理は出来るのよ? 言っておくけど、こう見えても以前は自分で食事を作ってた事もあるんだから」
母親との関係が悪い以上、料理は自分でしていたというのも間違いではないんだろう。
その母親との関係も、まだ一切直ってないようだが。
ただ、この手の話題は例え恋人でも口を出せば大抵拗れるんだよな。
そうならない為には、まだ暫く様子を見る必要がある。
「なら、今日の昼食はゆかりに任せてもいいのか?」
「そ、それは……えっと……また後日って事で」
うん、やっぱりそう言って誤魔化すか。
料理が出来ないか……もしくは出来たとしても、下手くそなのか。
「一応注意しておくが、料理に無理にアレンジするとか、隠し味を加えるのは厳禁だぞ? 少なくても、一定以上の腕に上がるまでは」
「ちょっと、それってどういう事よ?」
「さてな。ただ、俺のアドバイスだよ、アドバイス」
不満そうなゆかりは、再び麦茶を飲む。
もっとも、俺だってそこまで料理が得意な訳じゃない。
ただ、荒垣から本当に基礎的な事だけは教わっているので、ある程度は何とかなる訳だ。
例えば、パスタ。
乾麺のパスタとレトルトのソースを買ってくれば、うどんを茹でる時のようにパスタを茹でて、レトルトのソースを掛ければそれでいい。
これにちょっと何かを追加するのであれば、そこそスライスされているレトルトのマッシュルームを追加するなり、釜玉うどんの時のように何らかの野菜をパスタを茹でるお湯に追加したり……といった真似をすればいい。
もう少し手間を加えるのであれば、フライパンで豚肉や野菜を炒めて、そこにレトルトのソースを入れて味付けしながらソースを温め、茹で上がったパスタをそこに投入するといった真似をする。
ちなみにこの時のコツとしては、フライパンで具材と共にソースを炒めた事により、多少なりとも煮詰まっているので、茹でたパスタの水切り――お湯切り?――をしないでそのまま投入する事だ。
こうして一手間加えた事により、一段上の満足度が得られる。
まぁ、これは料理というよりはレトルト食品のアレンジとかちょい足しとか、そんな一手間なので、これで料理が美味いとはいえないんだろうが。
少なくても、俺はこの程度の事が出来たからといって、マリューや千鶴のような面々には料理が出来ると胸を張ってはとても言えないし、四葉に対しては言うまでもないだろう。
「ふーん……ま、いいけど。じゃあ、今日はアクセルの料理を楽しませて貰おうかしら」
「いや、結局俺が作る事になってるんだが?」
「いいじゃない。そ、その……こ、恋人の手料理を食べたいと思うのは、男だけじゃないんだから」
まだ俺を恋人と呼ぶのが照れくさいのか、ゆかりは頬を赤く染めながら、何とかそれだけを告げる。
そう言われれば、こちらも作らないという訳にはいかなくなる。
「分かったよ。何か適当に作る。そろそろ昼だし、丁度いいだろ」
「そう。……ふふっ」
嬉しそうな笑みを浮かべるゆかりに背中を押されるかの如く、取りあえず俺は冷蔵庫に何が残っているのかを見に行くのだった。
「ん、美味しい」
「そう言ってくれるのは嬉しいんだけど、結局のところ味付けはレトルトベースだからな」
ミートソースのパスタ……に、イベリコ豚とキャベツを炒めてソースで煮込んだ料理に、満足そうに言うゆかり。
普通ならこういうガッツリ系の料理はカロリーの問題で女はあまり好まないんだが……ゆかりの場合は、部活やらタルタロスやらで思い切り身体を動かしている。
寧ろ中途半端にカロリーの低い料理だけを食べていれば、必要以上に痩せてしまう事になりかねない。
女はダイエットに困っている奴が多いという話を時々聞くし、タルタロスダイエット講座なんてものを作ったら、何気にヒットするんじゃないだろうが。
ふとそんな事を思うが、そもそもタルタロスに挑むには、影時間に対する適性とペルソナを召喚する能力が必要となる。
である以上、そもそもダイエット講座に参加出来る奴そのものが少ないか。
ああ、でもシャドウと影時間の研究で、本人の素質がなくても影時間で活動出来る手段は確立したとか聞いた覚えがあるな。
となると、ペルソナの召喚が出来ない以上、それ以外の能力や素の状態で一定以上の戦闘能力があれば、タルタロスダイエット講座は開けるか?
……まぁ、冗談でも何でもなく、本当の意味で命の危機に瀕してまでダイエットをしたいと思う奴がそう多いとは思えないが。
ともあれ、肉多めのパスタを食べ終わり、TVを見ながら休憩しているところで、不意にゆかりが口を開く。
「ね、アクセル。その……明日の夏祭り、一緒に行くって事でいいのよね? つきあい始めたんだし」
最後の言葉だけは俺に聞こえないように小声で言ったのだろうが、それは当然のように俺の耳に入っている。
ゆかりは気が付いているのか、いないのか……
ともあれ、夏祭りというのは買い物に行った時に近所のスーパーとかにポスターが貼ってあったのを見たので、知っていた。
そう言えば、明日だったか。
長鳴神社で行われるその夏祭りでは、屋台もかなりの数が出るらしい。
規模自体はそこまで大きくはないらしいが、それでもこの辺りの夏祭りとしてかなり昔から行われているらしい。
そんな夏祭りがあると聞かされ、俺の返事はもう決まっていた。
「分かった。折角の夏祭りなんだし、ゆかりの浴衣姿を楽しみにしているよ」
そういう事になり……この日の午後からやった夏休みの宿題は予想以上に進み、タルタロスでも一気に110階まで到達する事になるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
ページ上へ戻る