レーヴァティン
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第四十三話 鞍馬山その九
「そうした神ならな、だがだ」
「海の魔神にそこまでの力があるか」
「それはわからない、若しあるとすればだ」
そう仮定すればどうなるか、英雄はそのうえで考え述べた。
「海の魔神の力はこの世界を滅ぼすことも造作もないまでだ」
「その魔神をわし等は倒さねばならないとなるでありますな」
峰夫もこう言った。
「左様でありますな」
「そうなるな、確かに」
「唯一神にも匹敵するか」
「そう考えると恐ろしいであります」
「そうだな、だがな」
英雄はここで己の刀を見て言った。
「俺達も無力か」
「それは違うであります」
「そうだ、俺達は武器があり何よりだ」
「一人ではないであります」
「それならだ」
例え魔神がどれだけ強大でもというのだ、それこそ唯一神にも匹敵するのではないかと思えるまでに強大でも。
「倒す、むしろ神でもだ」
「神でもでありますか」
「人を害すし滅ぼそうとするならだ」
それならばというのだ。
「戦いそしてだ」
「倒すでありますか」
「滅ぼされ様としていて黙っていられるか」
「それはでありますな」
「俺は黙らない」
「そうするか」
「お主はそうした考えか」
「人は人だ、しかし人には心がある」
だからだというのだ。
「考えがある、その心と考えが滅びたくないと思うならだ」
「例え魔神は滅ぼそうとしてもか」
「戦いそしてか」
「生き残る、魔神を倒す為にこの世界に来ているならだ」
それならというのだ。
「必ずだ」
「倒すのだな」
「そうする、魔神にこう言いたい」
鋭い目になってだ、英雄はさらに言った。
「世界を御前の好きにするな、人間を馬鹿にするなとな」
「世界を眠らせ隠したことはか」
「そうだ、それをしていることも人間がそれをどうしようも出来ないと思っているならだ」
「それは違ってか」
「そう言いたい、人間は確かに神とは全く違う」
力がだ、神の領域という言葉がある様に人間と神の力には確然たるものがある。それは絶対と言っていいものだ。
「力はな、しかしだ」
「それでもか」
「人間はというのだな」
「神と呼ばれる人間もいる」
日本で俗にしばしば言われる言葉を出した。
「それは技や能力を極めてだ」
「そこだけでも神の領域に達した」
「そうした者だな」
「人間はそうもなれる、神は神にしかなれないが」
しかしというのだ。
「人間は何にでもなれる存在だ」
「そして神にも」
「神の領域にも達することが出来るか」
「俺はそう考えている」
最先達と大天狗に対して言い切った。
「だから海の魔神もだ」
「倒せるか」
「強くなれば」
「そうなる、だからだ」
それ故にというのだ。
「俺達は必ず魔神を倒してだ」
「世界を救う」
「そうするか」
「海に包まれた世界を」
「そして二つの島も」
「下から攻めて来るかも知れないが」
魔神が二つの島の下に広がる彼の領域である大海からだ。
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