お花畑
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第四章
「大変な震災だったが」
「助かるな」
「自衛隊の人達が早く来てくれて」
それでだった。
「犠牲者の人も少なく済んでるな」
「すぐに助けてもらえるとな」
それでというのだ。
「助かる人も多いしな」
「若し自衛隊の人達が来てくれなかったら」
「一体どうなるのか」
わからないとだ、親子で話した。
震災での救助は自衛隊の活躍で見事なまでに順調に進み被災者も元気を取り戻した。そして犠牲者も最低限で済んだ。
それからは国も自治体も積極的に復興に動き二年もすれば震災の傷跡はかなりなくなっていた。そのうえで。
衛二は大学を卒業し就職した、しかし。
その就職した職場の同期の一人は学生時代から市民活動に関わっていてだった。
「天皇制なんかいるか」
「沖縄のアメリカ軍の基地もいらんわ」
「日本国憲法を護るんや」
「戦争反対や」
「北朝鮮とは対話や」
こうしたことばかり言っていた、その彼を見て衛二は即座にこう思った。
「あいつはガチか?」
「だろうな」
「冗談抜きで活動家だろ」
「どう見てもな」
「学生時代からああだったらしいしな」
「早速会社の組合に入ったしな」
「そっちじゃ有望株らしいぞ」
他の同期の面々がこう衛二に話した、共に昼食を食べる中で。
「バリバリの運動家ってことでな」
「若きエースとか言われてるらしいぞ」
「もう完全にあっちだろ」
「サヨクの奴だろ」
「そうだな、しかしあいつの言うことはな」
衛二は自分の昼食の焼きそば定食を食べつつ言った。
「どうもな」
「現実的な要素ないよな」
「ああいう奴本当にいるんだな」
「爺さん婆さんばかりじゃなくて」
「若くてもいるんだな」
「そうだな、読んでる本を見たらな」
それもだった。
「おかしな本ばかりだしな」
「週刊月曜日とかな」
「あとわざわざ沖縄の新聞取り寄せて読んでるよな」
「ピース何とかのパンフレットも持ってるしな」
「マルクスも読んでるらしいぜ」
「何処までガチな奴なんだ」
衛二は焼きそばで御飯を食べつつ思った。
「あいつは」
「あまり関わりにならない方がいいな」
「ああいう手の奴はな」
「デモにも参加してるみたいだしな」
「レイシスト攻撃隊とかな」
「テロ等準備罪とか安保反対でな」
同期の面々も自分達の昼食を食べつつ言う、そうしてだった。
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