ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル
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第24話 波乱の乱入者、激戦グルメコロシアム!!
side:小猫
「あれがバトルウルフ……」
バトルウルフがコロシアムに現れた瞬間、コロシアムの熱気は最大に達しました。静かに佇むその姿は王者としての貫禄が出ていました。
「遥か昔、デスゴールが絶滅したといわれる場所……そこで偶然採取できたDNAを元に復元したクローンだ」
「な、なんて存在感なんでしょうか……言葉が出ないですわ」
「かつて存在したと言われる大陸の王者……実際に見るとそれがヒシヒシと伝わってくるわ」
部長や朱乃先輩も驚いたというよりは感動しているように見えました。
「あ、見てください。他の動物さん達が怯えています」
「無理もないね、あのバトルウルフは凄く強い……僕たちでさえそれが実感できるんだ。それより感の鋭い野生動物ならその強さがより本能的にわかっちゃうんだよ」
アーシアさんが言った通り他の猛獣たちはバトルウルフに怯えています。あれではとても戦える状態ではありませんね。
「ふむ、リン!もっと匂いを出してくれ!」
『うっさいし!ハゲ!自分でやれ!』
「なにぃ!?ハンサムだって?」
『言ってねーし!」
所長さんが何やら通信機のようなものを取り出して誰かと話しています。一体誰と話しているんでしょうか?
「マンサム所長が話してるのはリン姉だ。猛獣使いで匂いのスペシャリストだ」
「匂い……ですか?」
「ああ、グルメ界には様々な匂いがあってそれぞれに効果があるんだ。例えば闘いの止まぬ島『バトルアイランド』に咲く花『バトルフラワー』……この花の匂いは動物の中枢神経に作用して激しい興奮状態にするんだ。コロシアムでは必須のアイテムさ」
「なるほど、猛獣を興奮させて闘いを促すんですね」
コロシアムの壁にある隙間からピンク色の煙が出てきてコロシアム内部に満ちていきます。すると先ほどまで怯えていた他の猛獣たちの目が見る見る内に血走っていきました。
「臨戦態勢に入ったな。あいつら一斉にバトルウルフに襲い掛かろうとしてるぞ」
先輩の言葉通り全ての猛獣がバトルウルフに襲い掛かりました。
「さて、王者の実力はどんなものか……」
だがバトルウルフは全身を噛みつかれても微動だにしませんでした。
「なんで反撃しないんだ?……まさか!おい、所長!あいつ、雌か?」
「ああ、そうだが……」
先輩はバトルウルフの様子になにか違和感を感じたようでマンサム所長にどうしてか性別を聞いていました。
「あ、ガウチがバトルウルフに攻撃をしかけたよ!」
祐斗先輩はガウチがバトルウルフに牙を深く突き刺そうとしているのを見て叫びました。
「先輩、バトルウルフの様子がおかしくないですか……ってイッセー先輩?」
ちらりと先輩の方を見るとそこには先輩の姿はありませんでした。
「ガァァァアアアアッ!!」
「2連……」
「ガァ?」
「釘パンチ!!」
コロシアムの方でなにか動きがあったので見てみるとなんと先輩がガウチに釘パンチを放って吹き飛ばしていました。
「イッセー先輩!?」
「どうしてイッセーがコロシアムの中に……?」
「あ、あれを見てください!」
朱乃先輩が指を刺した方を見るとコロシアムを覆っていたアクリル板に小さな穴が開いていました。もしかして先輩が壊したんでしょうか?
「でもどうしてイッセーがコロシアムの中にいるのかしら?」
「なにかに気が付いたような様子だったけど……あれ、そこにいるのってティナさん?」
祐斗先輩が私たちの傍でカメラを持ってコロシアムを見てるティナさんがいました。ってなんでいるんですか……
「ティナさん、ティナさんってば」
「もう何よ、今いいところなんだから邪魔しないで……って小猫ちゃん!?どうしてここに?」
「それはこっちのセリフですよ……ここはVIPしか入れないんですよ。どうやって入ったんですか?」
「えっと……その……」
この様子だとどこからか入り込んだようですね、凄いというか無謀というか……
「ん?なんだ、その嬢ちゃんはお前らの知り合いか?」
「はい、アナウンサーのティナさんです」
「あ、えっと……その……」
「どうやってここに入ったんだ?警備は厳重のはずだが……」
「あはは……すいません」
案の定マンサム所長に質問されてますし……まあそれは置いといて今は先輩のほうですね。私は空いた穴から身を乗り出して大声で先輩に話しかけました。
「先輩、何をしてるんですか!危ないですよ!」
「悪いな小猫ちゃん、どうもコイツ訳ありみたいなんだ」
先輩は左腕に赤龍帝の籠手を出して猛獣たちに威嚇しました、するとバトルウルフに噛みついていた猛獣たちが離れていきました。
「あれが赤龍帝の籠手……洞窟の砂浜でイッセーが赤龍帝だと知った時は本当に驚いたわね」
「あの、部長……すいません、黙っていて……」
「いいのよ小猫、あなたが黙ってたのも仕方ないわ。以前の私だったらそれを知った時無理にでも眷属にしようとしたでしょうしそれに今は私たちを信頼してくれたから話してくれたんでしょう?だから気にしなくていいわ」
「……ありがとうございます」
仕方ないとはいえずっと部長たちに隠し事をしていたので罪悪感があったのですが部長や皆は気にしてないと言ってくれました。
「……グルル」
「ん?」
コロシアムの方を見てみるとバトルウルフは先輩を前にしてその場に伏せてしまいました。猛獣にも反撃しなかったし先輩の威嚇に反応しなかった……バトルウルフは最初から戦う気がないように思いました。
「死ぬ時ですら直立していると言われる誇り高きバトルウルフが服従のポーズを取るとは、こいつはやはり……」
「グァァァアアア!!」
「うん?」
その時でした、先輩の背後からシルバーバックが襲い掛かってきました。先輩はシルバーバックの攻撃をかわして相手のお腹に正拳突きをいれました。
「悪いがちょっと寝ててくれ!」
先輩の一撃でシルバーバックは気絶して倒れました。
「所長!試合は中止だ!」
「なんじゃと?」
「(狼特有の獣臭の中にわずかな羊水の匂いとフェロモンを感じた。もしかしたらバトルウルフは……)こいつは身体になにかあるはずだ、とにかく試合を止めてくれ!」
「(イッセーはなにかに気が付いたようだな)わかった、試合を止めよう。リン、今すぐ猛獣をクールダウンさせろ」
『ちょっと待てし!こっちも大変なんだし!ああもう!デビル大蛇、落ち着けし!!』
どうやらリンさんという人は何かの対応に追われていてこっちに手が回らないようです。その間もバトルフラグレンスが出てきて猛獣たちを興奮させています。
「リン姉になにかあったのか?とにかく猛獣をおとなしくさせるか」
先輩はバトルウルフをかばうように立ちふさがりました。
「バトルウルフ、お前の子供はグルメ細胞の悪戯かかつての先祖からの贈り物か……どちらにせよめでたいことじゃないか、安心して産んでくれ。猛獣は俺が止めてやる……それに人間の見世物になるのも誇り高いお前からすれば屈辱だろう?どっちも排除してやるよ、祝いの花火と一緒にな」
先輩は突進してきたエレファントサウルスの牙をつかんで持ち上げました、そして勢いよくエレファントサウルスをアクリル板目掛けて投げ飛ばしました。
「こっちに飛んで来るわよ!?」
「安心しろ、赤髪の嬢ちゃん。このコロシアムを覆っている特殊超強化アクリル板はロケット砲すら跳ね返すんだからな」
「でもイッセー先輩の空けた穴に目掛けて飛んできてますが……」
「……あ」
エレファントサウルスが先輩の空けた穴に激突してアクリル板にヒビが入りました。その間に先輩が左腕に力を溜めてアクリル板目掛けて突っ込んでいきました。
「所長!悪いがコロシアムは暫く休業してくれ!」
「や、やめーい!イッセー!?」
「5連、釘パンチ!!」
マンサム所長が叫びましたが先輩は構わずに拳をアクリル板に叩き込みました。するとアクリル板全体にヒビが入りそして……
ボゴォォォンッ!!!
粉々に吹き飛びました。
「か、壁がこわれたぞー!!」
「に、逃げろ!猛獣が出てくるぞ!!」
アクリル板が壊れたことによって観客の人たちは一目散に逃げだしました。
「イッセー!?あなた何をやってるのよ!」
「あはは、皆見てみろよ。飛び散ったアクリル板の破片がキラキラと光って綺麗じゃねえか。新たな生命の誕生を祝福しているみたいだぜ!」
「え……?」
部長がイッセー先輩に怒りますが先輩は楽しそうにバトルウルフを見て笑っていました。私たちもバトルウルフを見てみるとそこには小さなバトルウルフが大きなバトルウルフに幸せそうに寄り添っている姿でした。
「うわあ、バトルウルフさんの赤ちゃんです」
「そうか、イッセー君はバトルウルフが妊娠していたのが分かったからコロシアムに乱入したんだ」
「うふふ、流石イッセー君ですわね♡」
「バトルウルフの出産……こんな貴重な光景を目にできるなんてメチャクチャてんこもりな状況じゃない」
母親のバトルウルフが子供の毛を舐めて毛づくろいをする光景を見て感動して涙が出てきました。
「ようこそ、グルメ時代へ……」
バトルウルフの親子を優しく見つめるイッセー先輩、私はコロシアムに入って先輩の傍に向かいました。
「先輩、先輩はバトルウルフが妊娠してるって知ってたんですか?」
「かもしれないって思っただけだ。今回は合っていたようだけどな」
「ならそれくらい言ってくださいよ。いきなりコロシアムに乱入したりして、私……心配したじゃないですか……」
「……悪かった、ただもしもの事があるかもしれないって思ったらさ」
私は先輩に注意をしますがこれはこりてませんね。まあ先輩の彼女ならこういう事も受け入れないといけませんしね。
「もう気にしてませんよ。それにしてもああやって母親に甘える子供を見てると生命の誕生って本当に素敵な光景だって思いますね」
「生命の誕生ってのはどんな動物でも尊いものだ」
「そうですね、バトルウルフの赤ちゃん可愛いですね。あの光景を見てると私も先輩との赤ちゃんが欲しいなって思っちゃいます」
「うえっ!?さ、流石に気が早すぎるんじゃないか?」
「ふふっ、冗談ですよ、でもいつかは……」
「……そうだな」
先輩に寄り添いながら私はバトルウルフの親子を見つめていました。
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side:リアス
全くもう、イッセーと小猫ったら二人だけの世界に入っちゃってるじゃない。観客席では我先に逃げようと出入り口に人が殺到しているんだけど取っ組み合って喧嘩していたりする人もいて大変な状況になっているの。私たちも避難誘導を手伝っているんだけどこれじゃ避難もままならないわね。
「グロロロ……」
「ゲロルドが上がってきたぞーーー!?」
怪鳥ゲロルドがコロシアムの外に上がってきていた。私はマズイと思ったがゲロルドの足元には既にマンサム所長が拳をならして立っていた。
「こらぁ、中に戻らんか……!」
マンサム所長の背後には3つの顔と6つの腕を持った大仏のような悪魔が出ていた。イッセーの威嚇でも赤いドラゴンが見えるけどあれはそれ以上に恐ろしいわね。
「フライパンチ!!」
マンサム所長がゲロルドの腹を殴ってコロシアムに叩きつけた。
「小猫ちゃん以上のすごいパワーだ。あれがマンサム所長の実力なのか?」
「それに彼は全然本気ではありませんでしたわ。この世界の実力者は並みの悪魔や堕天使よりよっぽど強いですわね……」
祐斗と朱乃の驚きの声につい同意してしまう、異世界とはいえこんな凄い力を持った人間がいるなんてイッセーに会うまでは思ってもいなかった。
「マンサム所長、大丈夫ですか?」
「えっ、ハンサムって言った?」
「いえ言ってませんが……それにしても凄いですね、あんな大きな猛獣を殴り飛ばせるなんて……この世界の人間は鍛えれば皆ああいう事ができるんですか?」
「はっはっは!こんなもん自慢にもならんよ!まあ全員が強くなれるわけじゃない。わしらは身体の中にあるものを飼っているからな」
「あるもの……?それって一体……」
マンサム所長が言った意味深な言葉を私が質問しようとしたときコロシアムの壁が壊れ中からデビル大蛇が出てきた。
「デ、デビル大蛇だーーー!?」
「最悪のタイミングで出てきたぞ!?」
「しかもメチャクチャ興奮しているじゃないか!?殺されるーー!!!」
デビル大蛇の登場で逃げようとしていた観客たちは遂にパニックになってしまいさっきよりひどい状況になってしまった。
「グロアァァァアアア!!」
デビル大蛇は腕を伸ばしてガウチとゲロルドを鷲掴みにしてガウチに食らいついた。そしていつの間にか起きていたシルバーバックが逃げようとしたが触手を刺して毒を注入した、シルバーバックは口から泡を吐きながら倒れてしまった。
「うわぁ~……洞窟で出会った個体より狂暴そうね……」
「あの時は本当に死ぬ覚悟をしましたからね……」
「あらあら、ガウチが丸呑みにされて今度はゲロルドを……凄い食欲ですわね」
「ティナさん、どうして私の目を隠すんですか?」
「アーシアちゃんにはちょっとグロテスクな光景だからね……うわ、あんなおおきなゲロルドを……」
いつの間にか傍に来ていた祐斗や朱乃もデビル大蛇を見てげんなりとした表情を浮かべていた。今思うと私たちって本当に運がよかったのね。だって次郎さんがいなかったらああやって丸呑みにされてたかもしれないし……考えないでおきましょう。
「ん?お前さんらは逃げないのか?」
マンサム所長が逃げようとしない私たちを見て不思議そうな表情を浮かべていた。
「あはは、僕たちも慣れちゃったのか不思議と怖いとは思っても逃げようとは思わないんですよね……」
「私はイッセー君がいますから全然平気ですわ♡」
「はい、イッセーさんが守ってくれますから平気です!」
「アーシアはともかく本当にぶれないわね、朱乃って……」
私たちの言葉に最初はポカンとしていたマンサム所長は次第に笑みを浮かべだして大きな声で笑った。
「はっはっは!そいつぁいい度胸だ!各国のトップがこの様だってのによ!!」
マンサム所長は背後で醜く言い争っている各国の首脳を見て更に笑った。
「見ろ!普段は威張り散らしている各国の首脳たちも丸腰じゃ何とも情けない姿じゃないか!!まあこの状況なら例えミサイルを持っていても逃げる方が賢明だがな!!わっはっは!!」
まあどこの世界でもいるわよね、普段は威張り散らしていてもいざ何か起きるとああいう醜態さらす奴って……私も気を付けないと。
「あら、誰か座っているわ?」
そんな状況の中、観客席の一部に今も座り続けている人を見つけた。あの人は逃げないのかしら?
「マンサム所長、あそこに逃げない人がいますけど……」
「あれはロト共和国のドヘム大統領じゃないか。この状況で逃げないのは大したものだが流石に危険だ。どれ、わしが行ってくるよ」
マンサム所長はそう言って座っていた男性に声をかけた。
「これはこれは……ロト共和国のドヘム大統領。せっかくのお楽しみがこんな形で中止になってしまい誠に申し訳ありません。落胆の極みお察ししますが既にここは危険な状況にあります。身の安全のため一刻も早く非難を……」
その時だった、マンサム所長の腹をドヘム大統領が腕で貫いていた。
「マンサム所長!?」
「なあに、この程度じゃ死にはせんさ……」
マンサム所長は腹を貫かれたにも関わらず平然としていた、それどころか腹の筋肉を締め付けてドヘム大統領の腕が抜けないようにしていた。
「フライパンチ!!」
そのまま相手の顔面に一撃を入れて大きく吹き飛ばした。普通ならあれで再起不能になる一撃だったがドヘム大統領はゆっくりと立ち上がった。
「ふむ、噂の新型か。既に紛れ込んでおったとはな」
ドヘム大統領の顔がはがれそこから出てきたのはかつて洞窟の砂浜で出会ったあの生物だった。
「あれ?色が違う……?」
祐斗が指摘した通り前に出会ったアレは黒い毛並みだった。だがここにいるアレの毛並みは緑色だった。
「お前さんらは下がっていろ。あれはわしが相手をする」
マンサム所長はそう言って私たちを下がらせた。
「ここに簡単に忍び込めるとは高性能だな……いやバカというべきか?貴重なサンプルを一機くれるとは有り難いな、『美食會』よ」
び、美食會…?知らない単語に私たちは困惑した。
「操縦者は誰だ?ん?どうせ聞こえているんだろうし喋れるんだろう?目的はなんだ?」
マンサム所長は操縦者と言った、という事はあれは生物じゃなくてロボットってことなの!?
『……所長、アンタ……旨ソウダ』
「なに?……てめえ、ベイだな?」
謎のロボットはマンサム所長に近づいて指から出た針を差し込んだ。あれってイッセーも使ってるノッキングって奴かしら?
「残念……わしは其処じゃない」
マンサム所長の身体中の筋肉が盛り上がっていき両腕のパンチを挟み込むように相手の顔面に叩き込んだ。
「『フライパンサンドイッチ』!!!」
金属がぶつかり合うような大きな衝撃が響いたがあのロボットは平然としていた。
「ふむ、硬いな……」
マンサム所長が拳を離して相手の様子を伺う、だが謎のロボットは突然顔を開きそこからビームを放ってマンサム所長の喉を貫いた。
「マ、マンサム所長!?」
地面に倒れたマンサム所長を見て全員が悲鳴を上げた、マンサム所長を倒したロボットはコロシアムの方に向かおうとした。だがそこに雷と魔剣がロボットに降り注いだ。
『……アン?何ダ、コレハ?』
「イッセー君たちの所には行かせないよ!」
「勝てるとは思いませんが足止めくらいはできますわ……」
「アーシア、あなたはマンサム所長をお願い!」
私と祐斗、そして朱乃は謎のロボットの前に立ちふさがった。
「ここから先には行かせないわ!!」
『……メンドクセェナ、全員殺スゾ?』
「ぐっ!やれるもんならやってみなさい!!」
せめてイッセーが来てくれるまで耐えきらないと……!私たちは謎のロボットとの戦闘を開始した。
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side:小猫
「にゃああ!『ベルリンの赤い雨』!!」
「はああ!『ナイフ』!!」
私の手刀と先輩のナイフがデビル大蛇の腕を切り裂きました。でもデビル大蛇の腕は直に生え変わり私たちに襲い掛かってきました。
「くそ!相変わらず反則級の再生力だぜ!」
「なかなか近づけないですね……」
前にデビル大蛇を倒したときはココさんが毒で弱らせたのが勝てた要因だったらしいのですが実際に戦ってみるとその強さが更に分かり同時にココさんのように先輩の手助けができない自分に苛立ちました。
「そんな顔をするなよ、小猫ちゃん。一人で戦うよりは遥かに楽だ。決して役立たずなんかじゃない」
「先輩……」
「だがどうする?このままじゃ……」
私たちがどうするか考えていると後ろから母親のバトルウルフがゆっくりとデビル大蛇に向かっていた。
「バトルウルフ!?まさか戦うつもりか?無茶だ!お前は出産で体力を大きく消耗しているんだぞ!」
先輩はバトルウルフにそう言うがバトルウルフは構わずに歩みを進めていく。
「ギュロアアアァァァア!!」
デビル大蛇はバトルウルフに腕を伸ばして攻撃を仕掛けましたがバトルウルフが口をカチカチッと鳴らした瞬間デビル大蛇の腕が消えていた。
「なっ!?噛み切っただと!?ほとんど見えなかったぞ!」
なんとバトルウルフはデビル大蛇の腕を祐斗先輩の速度に慣れた私たちでも目視できないほどの速度で噛み切ったようです。そしてバトルウルフの姿が消えたと思ったらデビル大蛇の上半身が塵と化しました。
「これが……」
「バトルウルフの力……」
私と先輩はバトルウルフの実力に言葉が出ませんでした。バトルウルフは子供の元に向かおうとしましたが足を縺れさせてしまいました。
「先輩、バトルウルフの様子が……」
「出産をして体力を極限まで消耗した状態であの攻撃を放ったんだ。それこそ命をすり減らしてまでな」
「そんな危ない体でそんな無茶をするなんて……」
私は自分の命を消耗させても子供を守ろうとしたバトルウルフの姿に涙を流しました。あれが母親の強さなんですね……
「クウン……」
「あ、バトルウルフの子供が……」
母親を心配そうに見つめるバトルウルフの子供に先輩が声をかけました。
「……行ってこい。お前の母親はありったけの命を注いでお前を生んでくれたんだ。バトルウルフが親に甘えるのは生まれたその日だけ……だから思いっきり甘えてくるんだ」
バトルウルフの子供は先輩の言葉に頷いて母親に駆け寄っていきました。母親も震える足を前に出してゆっくりと自分の子供に歩み寄っていきます。そして二匹が触れ合おうとしたその瞬間……
母親をビームが貫きました。
「……えっ?」
私は一瞬何が起きたのか分かりませんでした。先輩も目を見開いてバトルウルフの子供も何が起きたのか分からないといった表情を浮かべていました。
『カカカ……バトルウルフハ食ウ気ガシネェ。不味ソウ、イラネー!』
上を見てみると洞窟の砂浜で出会ったあの生き物がいました。いえあれは生き物じゃありませんでした。だって顔面が開いてそこにビームの発射台があったんですから。
「あなた!何て酷い事をするんですか!」
『何ダ、オマエ?ゴミヲドウコウシヨウト俺ノ勝手ダロウ?』
「そんな勝手な理由で……!?あれは……朱乃先輩!祐斗先輩!」
ロボットの足元には裕斗先輩が倒れていて右手で朱乃先輩の首をつかんでいました。
『コイツラハ仲間カ?カッカッカ!弱イクセニ粋ガリヤガッテ馬鹿ミテーダ。今始末シテヤルカラヨーク見テルンダナ!!』
ロボットが朱乃先輩の首をへし折ろうと力を力を籠める、私は朱乃先輩を助けに行こうとしましたが隣にいたイッセー先輩の姿がないことに今気が付きました。
「おい」
『アン?ナン……!?』
その時でした、いつの間にかロボットの傍にいた先輩がロボットを観客席に殴りとばしました。そして宙に浮いていた朱乃先輩をお姫様抱っこしてロボットを睨みつけました。
「イッセー先輩が怒ってる……?あんな姿今まで見たことがない……」
イッセー先輩の形相は怒りに満ちておりその姿はまるで鬼でした。私は初めて見るイッセー先輩の怒りの表情に驚きました。
「今回は捕獲じゃねえ……駆除だ……!!」
後書き
小猫です。バトルウルフの命を無下に扱った乱入者に怒りを見せる先輩。イッセー先輩、負けないでください!その外道に怒りの鉄槌を!!次回第25話『敵の名はGTロボ!活性、グルメ細胞!!』
次回もお楽しみ、にゃん。
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