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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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現れる悪意、その名は美食會!肉の王様ジュエルミート編
  第23話 現れた伝説!大陸の王者バトルウルフ!!

side:小猫


 こんにちは、小猫です。今私たちはヘリコプターに乗って空の旅を楽しんでいます。ウーメン梅田さんから依頼を受けたイッセー先輩は次の日に部長たちを集めて依頼について話しました。部長たちもついていくことになり今は第1ビオトープと呼ばれる場所に向かっています。


「それにしてもようやく小猫とイッセーが結ばれたのね。見ているこっちとしてはむずがゆくて仕方なかったわ」
「あはは、すみません……」


 部長の苦笑を交えた言葉にイッセー先輩も苦笑いを浮かべた。私たちの事は集まった時に話したけど皆祝福してくれました。まあアーシアさんも交えた3人で付き合ってると言ったら流石に驚いていましたが直に受け入れてくれました。


「でもまさか小猫ちゃんだけじゃなくてアーシアさんとも付き合うことにするなんて思ってもなかったよ。まあイッセー君なら二人を幸せにできるよね」
「祐斗、プレッシャーをかけないでくれよ……まあ愛想をつかされないようにしっかりやるさ」
「私たちが先輩に愛想なんてつかす訳がないじゃないですか、ねっ、アーシアさん」
「はい、その通りですね、小猫ちゃん」
「「ねー♪」」


 先輩の左右に座る私とアーシアさんは先輩の両腕にギュッと抱き着いて満面の笑みを浮かべました。


「あらあら、お熱いですわね。ねえイッセー君?私も貴方の恋人にどうかしら?大人の魅力を教えてあげますわ♡」
「えっ……」
「だ、駄目です!先輩は私たちのものなんです!」
「朱乃さんがライバルになったら勝てないですぅ!」
「うふふ、冗談ですわ」


 朱乃先輩はそう言ってますが油断なりません。先輩を取られないようにしっかりとみていないといけませんね。


「所でイッセー君、前に食べたフグ鯨は君のフルコースには入れないのかい?」
「そうだな、フグ鯨は上手かったが海にはまだまだ俺の知らない食材が眠ってそうだし今は保留だな」
「そっか、僕はすごく美味しかったんだよね」
「なら皆もフルコースを作ったらどうだ?別に資格がいるわけでもないし自由に決めていいんだぞ?」
「そうなんだ、なら僕も作ってみようかな?」
「これから向かう場所も沢山の食材があるから楽しみにしていろよ」


 今向かっている場所は確か第1ビオトープと呼ばれる場所でしたね。以前第8ビオトープも大きな庭でしたがそこも同じくらい広いんでしょうか?


「第1ビオトープはIGOが保有する庭の中でも最大の大きさで一孤島丸ごと使ってありその面積は50万平方キロメートル。北海道約6つ分の面積だ」
「と、とんでもない広さなのね……」
「あまりの広さにIGOですらも島の全てを把握しきれていない、今では研究の為に放ったクローン生物や品種改良した生物が独自の生態系を形成してるくらいだ」
「もういいわ、聞いてるだけで驚いてばかりだもの……」

 先輩の説明に部長は驚きというか呆れたような表情を浮かべていました。相変わらずグルメ界のやってる事ってこっちと比べると規模が凄いって思ってしまいますもんね。


「そろそろ到着します」


 パイロットの方の言葉にいよいよ第1ビオトープに到着することがわかりました。ヘリコプターが島の外壁に作られたヘリポートに降り立ち私たちは外に出ました。


「ここが入り口なんですか?」
「いやここは研究所の入り口だ。一般公開されている場所もあるがそこはごく一部で本来なら関係者以外は入れないんだ。皆もここで見たことは口外しないようにな」
「ええ、分かったわ」


 職員の方に挨拶をして私たちは研究所内部に入っていきます。すると驚きの光景が目に写りました。


「うわぁ……これは凄いな」
「こんな大規模な工場は見たことがないわ。我がグレモリー家だってこんな工場は所有してないし本当に規格外ね……」
「……あまりの広さに向こう側が見えないくらいですわ」
「大きな工場みたいです~」


 私たちが見たのは圧倒的な広さの面積に敷き詰められた様々な機械が色んな食材を調理している光景でした。これだけ広いともう一つの町なんじゃないでしょうか?


「こんなに沢山の食材が調理されているなんて凄いですね、イッセー先輩」
「全世界の3割の食材がここで生産可能だからな、常時あらゆる研究がここで行われている。……まあ一般には公開できないこともしてるんだがな」
「えっ、それってどういう事ですか?」
「時期に分かるさ」


 先輩の言葉に首を傾げながらも私たちは研究所の奥に進んでいきます。途中に男女の職員が立っていて私たちに挨拶をしてきました。


「「ごちそうさまです、イッセー様」」
「だからそれ止めろって。所長はいるか?」
「はい、イッセー様の到着を心待ちにしております」
「そうか、じゃあここからは俺と祐斗で先に行くから女性は後から来てくれ」
「あら、どうしてですの?」
「ここから先に行くには服や体を殺菌しないといけないんだ。シャワーを浴びるのに男がいたら駄目でしょう?」
「私はイッセー君なら構いませんけどね、うふふ」
「朱乃さん、勘弁してください。小猫ちゃんとアーシアが俺の腕を抓ってきますから……」


 むう、先輩ったら朱乃先輩にデレデレして……悔しくなんてありませんから!


「先輩、なら私とシャワー浴びませんか?恋人ですしいいですよね?」
「流石にそれはできないって……」
「でも先輩ってば朱乃先輩にデレデレしてますし……心配なんですよ」
「ごめんな、でも確かに朱乃さんは魅力的な女性だけど俺が好きなのは小猫ちゃんとアーシアなんだからな」
「あっ……えへへ、そうですよね。ごめんなさい、イッセー先輩」
「わかってくれたならいいさ」


 ポンポンと頭を撫でられて安心する私、そしてイッセー先輩と祐斗先輩が先に進みその後は私たちもシャワーを浴びて服を殺菌してもらい待っていたイッセー先輩たちと合流してエレベーターに乗りました。


「イッセー、ここの所長さんってどんな方なの?」
「唯の酒飲みオヤジだよ。一応会長、副会長に次ぐIGOのナンバー3ともいわれてるけどな」
「凄い人なんだね、僕会うのがドキドキしてきたよ……」
「多分それ以上にドキドキすることになるだろうぜ。もうすぐで着くぞ」


 エレベーターが止まり扉が開くと目の大きな猿がこっちに飛び掛かってきました。私は驚いて先輩に抱き着きましたがよく見ると透明なケースに入れられていたので安心しました。ていうか私とアーシアさんだけじゃなくて部長や朱乃さん、おまけに祐斗先輩までイッセー先輩に抱き着いているんですね。


「び、びっくりした……ねえイッセー、今のはなんなの?」
「あれはバタリアンイエティの新種だろうな。ここはチェインアニマルを作っている実験室さ」
「チェインアニマル……?」


 部長が先輩から離れて息を整えた後にイッセー先輩にさっきの生き物はなにか質問した、それに対してイッセー先輩が言ったチェインアニマルという言葉にアーシアさんが首を傾げていた。


「こいつらは絶滅種のクローンやグルメ動物同士の混合種、ほとんどが自然界には存在しない人の手が入れられた人工の生物。通称『束縛された動物』……グルメ研究という大義は掲げているが動物保護や倫理的な観点からこの研究所でもトップシークレットの場所だ」
「さっきイッセー君が口外するなって言ってたのはこのことだったんだね」


 あたりを見回してみると今まで見たこともない生き物ばかりが目に写りました。これ全部が人の手で作られた生き物なんですか……


「た、大変だーーー!!!マッスルクラブが逃げ出したぞーーー!!!」


 何か騒ぎが起きたようなのでそちらを見てみると筋肉モリモリなカニが暴れていました。


「イッセー君、あれって……」
「ああ、実験動物が逃げ出したんだろうな。どれ、ちょっくら行ってくるか……」


 先輩がマッスルクラブの元に行こうとしたその時でした。何かがぶつかる鈍い音がしたと思ったらマッスルクラブが壁に叩きつけられていました。よく見るとマッスルクラブの傍にスキンヘッドの男性が立っていました。


「あ、あれ……?」
「何が起きたんでしょうか?」
「……全く、そっちから来てくれるとはな」


 私たちが困惑していると先輩はスキンヘッドの男性の元に歩いていきました。


「相変わらず容赦ねーな。もう少し動物たちには優しくしてやれよ、マンサム所長」
「はっはっは!相手が誰だろうと全力でぶつかるのが愛ってもんだろう?なあイッセー!」


 所長……もしかしてあの人がこの研究所の所長さんなんでしょうか?


「イッセー先輩、もしかしてその人がここの所長さんなんですか?」
「皆、紹介するよ。彼はマンサム所長。この第1ビオトープ研究所の所長だ」
「はーはっはっは!!お前らがイッセーの友人か?わしはマンサム。この研究所の所長をしている。気楽にハンサムって呼んでくれ」
「呼ばねーよ」


 ……えっと凄く個性的な方なんですね。イッセー先輩以外の皆は苦笑いを浮かべています。


「しかしお前が学生生活してるって聞いたときは驚いたもんだがダチまで連れてくるとはな。いきなり連絡を寄こされたもんだから根回しに苦労したぞ」
「面倒かけて悪かったな」
「なあに、他ならぬお前の頼みだ。それよりここで立ち話もなんだしあそこに行かないか?」
「まだあんな事やってんのか?」
「まあそういうな、それに今日はスペシャルゲストが出るんだぜ、なんていったってあの『バトルウルフ』が出るんだからな!!」
「バトルウルフだって……!?」


 先輩が驚愕といった表情を浮かべていますがバトルウルフという生き物とは一体なんでしょうか?



ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー


「ギュアアアア!」
「ゴァアアアア!」
『ウワァァァアアアアア!!!』



 マンサム所長に案内されて来た場所には凄い歓声が響いてました。そこはコロシアムのような場所で部屋の真ん中にはあのガララワニとトロルコングが戦いを繰り広げていました。


「はっはっは!やっとるなぁ!」
「先輩、ここは一体……」
「ここはグルメコロシアム。猛獣たちの戦闘力と捕獲レベルを図る目的の闘技場だ。実際は悪趣味な金持ちや権力者たちの道楽の場所だがな」
「人聞きの悪いことを言うな、イッセー。まあその通りなんだがその金は貧しい者たちに回してるんだ、これは必要な事だ」


 グルメコロシアム……なるほど、猛獣たちの捕獲レベルはこうやって定められていたんですね。コロシアムで戦っているガララワニとトロルコングは接戦を繰り広げていましたがトロルコングの攻撃がガララワニの頭に炸裂してガララワニが倒れました。


「流石はトロルコング、番狂わせは無しか。まあそれだけウチらが定めたレベルが適格だってことだ」
「知能の差だ、ガララワニだって十分強い……それよりも所長、本当にあのバトルウルフが出るのか?」
「この観客たちの人数を見ればわかるだろう?今日行われるはずだったサミットまで蹴って各国の首脳が来てるんだ」
「そろいもそろってトップの連中がなにやってんだか……」
「えっ、イッセー君。あの人たちって一般人じゃないの?」
「このコロシアムに入れるのはIGO加盟国のVIPだけだ。あの男はある国の大統領であっちの男は石油王……どいつもこいつも権力者さ。元々IGOは国連の一専門機関に過ぎなかったんだがグルメ食材の需要にともない主要機関となり後に独立、今では巨大な国際機関に成長した。現在のIGO加盟国は360ゕ国にも及ぶ。このコロシアムに入りたいがために加入する国もあるくらいだ」
「はっはっは!それだけここは刺激的なのさ!!ここでは賭けも行われていて一日に莫大な金が動くんだ。お前らも賭けてみるか?」
「未成年に賭けを進めるなよ」


 先輩たちの話の内容を聞くとどうやらこのコロシアムに来ているのはグルメ界に存在する各国の首脳や権力者ばかりだそうです。さっき先輩が言っていた金持ちたちの道楽ってこういう事だったんですね。


「あ、ゲートが開いていくよ」


 祐斗先輩が指を刺した場所のゲートが開き実況のアナウンスの紹介と共に猛獣が出てきました。『エレファントサウルス』に『ガウチ』、『怪鳥ゲロルド』に前に戦ったトロルコングのボス『シルバーバック』など強そうな猛獣ばかりです。それに加えて前に洞窟の砂浜で戦った『デビル大蛇』までいるみたいです。そんな猛獣たちを相手にするバトルウルフってどんな生き物なんでしょうか?


「先輩、バトルウルフってどんな生き物なんですか?」
「太古の昔、デスゴールと言われる超巨大な草食獣が生まれたんだ、こいつは群れを作り自然を食いつくしていった、奴らが通った後を砂漠に変えていった。そのスピードは驚異のもので世界が砂漠だけになるのも時間の問題だった……だがデスゴールはある大陸に上陸して絶滅した。そこを縄張りにしていたある一匹の狼の手によってな」
「それがバトルウルフなんですか……」


 先輩の話を聞いて私たちは鳥肌が収まらなかった、そんな凄い生物が今ここに現れるんですよね。すっごくドキドキしてきました……


『第5ゲートより伝説が闊歩する!古代が生んだ大陸の王者!!最大最強の狼!!!バトルウルフの登場だぁあああ!!!!!』
『ウワァァァアアアアアアアアッ!!!!!』


 アナウンスの紹介で遂にバトルウルフが姿を現しました。白い毛並みに鋭い眼光……そして静かに立つその姿はまさに王者としての貫禄を出していました。


「あれがバトルウルフ……」



 いよいよ伝説の王者の戦いが始めるんですね……




 
 

 
後書き
 こんにちは、小猫です。遂に姿を現したバトルウルフ。これから伝説の王者の戦いが見られるんですね……ってイッセー先輩?どうかしたんですか……ってイッセー先輩がコロシアムの中に入っちゃいました!?次回第24話『波乱の乱入者、激戦グルメコロシアム!!』……えっ?イッセー先輩が本気で怒ってる……? 
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