古戦場火
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第四章
三人はその中で鬼火についていった、すると鬼火は。
桑津天神社の南東の隅の方に向かった、そして。
その道路沿いですっと消えた、三人はその消えたところに行くとそこには。
供養塔があった、それは。
「あれっ、これって」
「大阪の陣のね」
「供養塔じゃない」
三人もこの供養塔は知っていた、近所に住んでいていつも見ているからだ。
それでだ、三人共その供養塔を見つつ話した。
「ひょっとして」
「あの鬼火は」
「この供養塔と関係あるのかしら」
「大阪の陣と」
「あの戦いとね」
「何かあるのかしら」
こう考えた、だが今はこれ以上考えてもわからないと思いそれにかなり寒かったのでこれ以上外にいられず。
三人共一旦家に帰った、そして次に三人共暇な時にだった。
千奈津の家に集まってお茶とお菓子を囲みながら話をした、この時にだ。
千奈津は一緒に紅茶を飲んでクッキーを食べている桜子と椛に話した。
「前に見た鬼火のことがわかったわ」
「あの鬼火何だったの?」
「大阪の陣と関係ありそうだったけれど」
「実際に関係あったみたいよ」
こう二人に話した。
「どうもね」
「そうだったの」
「実際にだったの」
「ええ、あれから本で妖怪について調べたの」
鬼火も妖怪と考えてだ。
「そうしたら古戦場火って妖怪がいたの」
「古戦場っていうと」
「やっぱり」
「大阪の陣のね」
まさにこの戦のというのだ。
「あの戦いがあったからね」
「そうそう、真田幸村さんが戦った」
「あの戦いよね」
「この辺りでも戦いがあったのよね」
「もう大阪全体でね」
「この辺りでも戦いがあったから」
それこそ大阪全体での戦いだっただけにだ、この戦の結果豊臣氏が滅んだのは歴史にある通りである。
「それでね」
「古戦場火が出たの」
「その妖怪が」
「そうみたいね、あの鬼火は古戦場火だったのよ」
千奈津はまた言った。
「それが出ていたってことよ」
「ううん、歴史にまつわるお話だったのね」
「そうみたいね」
「あの鬼火は」
「そうした妖怪だったの」
「ええ、大阪の陣で死んだ人達の魂かも知れないって思うと」
千奈津はここでしみじみとした声になって述べた。
「悲しいものもあるわね」
「そうよね」
「どうもね」
「じゃあちゃんと供養しないとね」
「あの戦いで死んだ人達のことも」
桜子も椛も心から思った、それでだった。
三人で桑津天神社まで行ってこの話をすると神社の方でもだった、すぐに供養塔の前に行って供養を行った。こうしてもう鬼火が出ることはなくなった。大阪市東住吉区であった些細な妖怪話である。
古戦場火 完
2018・2・26
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