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ドリトル先生と奈良の三山

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第八幕その二

「家族や恋人を思ってね」
「詠っていて」
「それが素晴らしい」
「そうだっていうの」
「そうなんだ、勿論貴族や歌人や皇族の方々も」
 そうした他の社会でも詠う人達もというのです。
「詠っていてね」
「そうした人達だけじゃなくて」
「庶民の人達の歌もあって」
「そちらも素晴らしい」
「そうなのね」
「大伴家持って人が選者と言われているけれど」
 万葉集に収める歌を選んで収めた人です。
「とてもいいセンスをしてるね」
「ううん、何かね」
「万葉集って凄いんだね」
 オイツオサレツがしみじみとして言いました。
「貴族や歌人の人達が詠ってなくて」
「庶民の人の歌もあるんだ」
「しかも恋愛だけじゃないんだね」
 ジップも言います。
「日常とか家族のことも詠っているんだ」
「そう聞くと」
 ダブダブも思いました。
「つくづく凄い歌集ね」
「そんな歌集よく千数百年前にあったよ」
 チーチーにとってはびっくりすることです。
「欧州だとカール大帝より前で」
「吟遊詩人もね」
 トートーは欧州のこの人達の名前を出しました。
「まだいなかった時代でだから」
「しかも色々な人達が詠っていた」
 ガブガブはしみじみとなっていました。
「それを収めるセンスもいいね」
「大伴家持さんセンス抜群ね」
 こう言ったのはポリネシアでした。
「歌を選ぶそれが」
「何かそういうのを聞いていたら」
「私達もね」
 チープサイドの家族もお話します。
「読みたくなったわ」
「そうだね」
「じゃあ僕達も詠んでみようか」
 老馬は本気で思いました。
「先生の研究室にあったと思うし」
「うん、あるよ」
 実際にと答えた先生でした。
「そして今も持ってるよ」
「あっ、そうなんだ」
「万葉集実際に持って来ているんだ」
「そうだったの」
「用意がいいね」
「ここにね」
 鞄からその万葉集を取り出しました。
「あるよ」
「いつも読んでるんだ」
「最近そうしてるの」
「それで読んで学びながら」
「それでなの」
「そう、考えていっているんだ」
 そうだというのです。
「今もね」
「成程ね」
「そうしたことまでしてるの」
「流石先生」
「フィールドワークと本を両立させてる」
「そうなのね」
「そうだよ、文献を読んで足も運ぶ」
 その両方をしてというのです。
「学問は成り立つものなんだよ」
「そういうことね」
「だから今も詠んでるんだ」
「そうなのね」
「そうだよ、それで大化の改新の天智帝の歌もあるよ」
 この型のお歌もというのです。 
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