レーヴァティン
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第四十二話 山伏その十
「水がいいと酒もよく」
「食べるものまでも」
「非常にいいであります」
「全くですね」
「水がなくては何も出来ない」
こう言ったのは英雄だった。
「水がないなら生活自体が出来ない」
「そして美味ければ」
「酒も食いものも美味い」
その酒を飲みつつ峰夫に応えた。
「非常に」
「そうですね」
「そして富士山の方はか」
「はい、水が悪いのです。ただ」
「ただ?」
「水の量は多いです」
それ自体はというのだ。
「川が多く」
「それではその川を使ってな」
「はい、農業自体は盛んです」
そちらはというのだ。
「そしてそれなりに豊かです」
「そうなのだな」
「まだ都や堺の辺り程開発されてはいませんが」
「それはこれからか」
「水の味がよくなれば」
「食いものもよくなる場所か」
「そして酒も」
峰夫もまたその酒を飲んで言った。
「そうなるであります」
「成程な、ではな」
「やがては」
「富士山の辺りにも進出する」
「まずは仲間を求め」
「そして領土にもする」
やがてはというのだ。
「そしてだ」
「その時はでありますか」
「水もよくしていかないとな」
「ただ多くの田畑を置くのではなく」
「水の質もよくしていかないとな」
「土自体に問題があるので」
水に問題があるのではなく、だ。
「そちらに」
「火山灰の土だからな」
「そこを何とかしないとならないであります」
「そうだな、ではな」
「土をでありますな」
「そこを考えよう、ただ噴火が起こるとな」
「富士山はこの世界でも滅多に噴火していません」
良太が言ってきた。
「ですが」
「それでもだな」
「一度噴火した時が凄く」
「大きいだけにな」
「火山灰も多いのです」
「だから関東の土も悪いか」
「はい、富士山はこの島でも長い間噴火していませんが」
それでもとだ、良太は英雄に富士山のことをさらに話した。
「一度噴火するとな」
「大変なことになります」
「麓の町や村に溶岩が来る恐れもある」
「火山灰だけでなく」
「何よりも地震も起こる」
「異常に恐ろしい山です」
「霊山ではあるがな」
英雄はこの世界での話をした。
「そうした一面もあるな」
「この世界でも富士山は霊山であります」
良太はこのことも話した。
「非常に霊力が強い聖地ですが」
「しかしだな」
「それでもです」
まさにというのだ。
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