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儚き想い、されど永遠の想い

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318部分:第二十四話 告げる真実その七


第二十四話 告げる真実その七

「ですから」
「そうですね。では私達は」
「一緒です」
 一緒だというのだ。そしてだ。
 二人でだ。いようとだ。義正は言う。
 そうしてであった。真理もだ。こう言うのだった。
「では。その時までは」
「どうされるのですか」
「静かにいていたいのですが」
「その時まで、ですね」
「英気を養うというのでしょうか」
 真理はこんなことも言った。
「それは」
「そうですね。確かに」
「そう言いますね」
「そうなります」
 義正もだ。その通りだと答える。
 そしてだ。あらためてだった。真理に言うのだった。
「では。今はゆっくりと」
「その時に備えて」
「常に気を張っていても何にもなりません」
 このこともだ。次第になのだ。
 義正もわかってきていてだ。それでだ。
 そのうえでだ。彼は言ったのだった。
 そのうえでだ。静かにだ。
 彼等は二人でだ。静かな共の時を過ごした。そんな二人を見ながらだ。
 伊上はだ。周りにこう話した。
「これでいいのだ」
「いいといいますと」
「八条家と白杜家のことでしょうか」
「そうだ。これでいいのだ」
 真理の労咳のことは隠してだ。そうしてだった。
 周りの、彼に仕えている者達にだ。静かに話すのだった。
「隠すべきない秘密もあるのだ」
「隠すべき秘密と共にですね」
「それがあるというのですね」
「そうだ。あるのだ」
 そうだと話す彼だった。
 和服を着て英吉利から取り寄せた見事な椅子に座り同じくイギリス製のテーブルの上に盃を置いている。そこにあるのは日本酒だ。
 その酒にだ。魚の干物を口にしつつだ。彼は言うのである。
「政治やそうしたことは隠すべきだ」
「手のうちは見せないのが政治」
「だからですね
「そうだ。だからそれはいいのだ」
 政治ならば当然のことだ。全てを見せては何もできない。彼はこれまで政界にいて多くのことを果たしてきたからだ。それが言えた。
 しかしだ。二人のことはだ。こう言うのだった。
「例えばだが」
 この前置きのうえで話すことだった。
「病を得ている」
「病をですか」
「それならばですか」
「それは公にしなくともやがてはわかるものだ」
 このこともだ。彼はその長い人生経験でわかっていた。
「どうしてもだ。それなら」
「それならですか」
「公にすべき」
「そうだというのですね」
「その通りだ。そして」
 さらにだった。彼は酒を飲みつつ言った。
「そこから全てがはじまるものだ」
「全てがですか」
「はじまると」
「高杉さんも」
 彼のことをだ。ここでもだ。
 瞼の奥に思い出しつつ。その周りに話した。
「労咳からだったな」
「あの方はそれにより若くしてお亡くなりになっていますね」
「確か二十八の頃に」
「残念なことだった」
 これは否定しなかった。実際にそう思っているからだ。
 
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