新訳紅桜篇
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16 飴と鞭の法則。
晋助によって、私は晋助の部屋に連れていかれた。そして、また子と同じように抱き締められた。
_「晋助、どうしたの?」
_「お前の帰りを待ってたんだぜェ。」
…顔が近い…!笑
_「そうなの、それはありがとう。」
_「つれねェなァ。」
_「そんなに私の帰りが待ち遠しかった?」
_「当たり前だろ?」
_「そう、それはよかった。
あ、そうだ晋助、あなたに一応伝えておくべきことがあるわ、」
_「なんだ?」
そこで私は晋助に耳打ちした、
ヅラが似蔵に殺られたことを。
_「それは、本当か?」
_「あァ。似蔵本人から聞いた。」
_「そうか。」
_「私だって、ショックよ。そして、信じたい、
彼はきっと、生きている、って。
彼があんなのに殺られるたまじゃないでしょ?」
_「言われてみれば、そうだなァ。
大丈夫だ、きっとなんとかなる。
あと、もう1つお前に任せたい任務がある。」
_「どんな?」
_「万斉と一緒に、春雨に交渉しに行ってほしい。
お前が一緒なら、なんとかなるだろ?」
_「それはいつ?」
_「今日の夜中に出発だ。」
_「分かった。でも帰ってきたらもう、休ませてね。」
_「いいぜェ。部屋はオレの部屋になるがな、」
_「そうだったわ、忘れてた。
じゃ、私は今からそれの準備をしてくるわね、
ドレスコードはある?
例えば、和装とか、イブニングドレスとか、」
_「ドレスコード?」
_「Oui, 何か正式な場に出向く際には、正装をしていくとよい、という風習があるの。
それが、春雨に適用されるのか、を聞きたかっただけよ。」
_「なら、和装がいいんじゃァねェか?」
_「じゃ、そうするわ。
ありがとう、晋助。
あと、菓子折りも持っていった方がいいかしら?」
_「あァ。だが、いつそんなもん買ったんだ?」
_「任務が終わって、船に帰るまでよ。
自分が食べる用に。そして、その時に、アレを聞いたの。」
_「そうか、用意がいいなァ?」
_「でしょ?だって私、現役のスパイだもの。
それくらいの気は効かなくちゃね。」
部屋に戻った私は、トランクのスイッチを魔法界用に切り替えて、魔法のかかったボストンバッグから羽織・袴と着物、そしていつものバッグを取り出して、
また元通りに鍵をかけてから、スイッチをマグル用に切り替えて、今日の戦利品を詰めた。
そして、元通りトランクを整えた。
おそらく、開けることになるのは、船を移動してからになるだろう。おそらく、今日 万斉との交渉次第だが。たぶん、しばらくは春雨にお世話になるのだろう。
そんなことを晋助と万斉が話しているのを聞いた。
そして、各々自分の荷物をまとめ、今日の夜までに出しておくように、ということだった。
きっと銀時たちが来るに違いない。
紅桜の件で、必ず来るだろう。
そして、ヅラも。
その時は、ヅラの味方をするって決めた。
まだ鬼兵隊には恨みがあるから。
ちょっとずつ、邪魔をしていくの。
化粧も身支度も整えて、万斉を探しに行こうとしたとき、ヅラの趣味そうな着物を着たペンギンお化けの姿をみた。一応、念のために、聞いてみる。
_「桂様、でございますか?」
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