ロマンティックな夜に
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第二章
「じゃあ行こうか」
「御免、待った?」
「いや、待ったって」
青い空が赤くなってそこから濃い紫になっていく、彼はその空をバックにして私に笑顔で言ってきた。
「待ち合わせの五分前じゃない」
「でももういるから」
私は彼に少し笑って応えた。
「だからね」
「五分前の精神で来たんだよ」
「本当に?」
「うん、そうだよ」
こう私に言ってきた。
「丁度ね」
「それならいいけれど」
「それじゃあね」
「ええ、今からね」
「デートだね」
「行きましょう、いや」
私は彼にもこう言った。
「暫く振りよ」
「デートもね」
「忙しかったから」
「ここ暫くは」
「私も貴方もね」
「そのせいでね」
「それで何度か流れて」
形態のメールを見てやれやれと思うことが度々だった。
「それがね」
「やっとね」
「そう、やっとよ」
本当にだった。
「デート出来るわね」
「今からね」
「楽しみよ、ただね」
「それでもだね」
「ええ、暑かったからお昼」
私は今度は昼の暑さも思い出した。
「それがね」
「心配だね」
「まだ五月なのに」
あと十日もしないうちに六月だけれどだ。
「暑かったから」
「僕もそう思ったよ」
「そうよね、夜になったけれど」
「まだ暑いか」
「それが心配よ」
「そうだね、けれど心配してもね」
それでもとだ、彼は私に笑って言った。
「仕方ないよ」
「暑かったら暑いで」
「そう、そこは諦めて」
「それでなのね」
「楽しもう」
こう私に言ってくれた。
「それじゃあね」
「よし、それじゃあ」
「今からね」
二人で話してだ、そしてだった。
私達はデートをはじめた、夜になる直前だった空は少しずつだけれど確実に夜になっていく。街のビルの中に見えるその空を見てだった。
私はふとだ、こう言った。
「何かこうしたお空観るのも」
「暫く振りかな」
「この時間に終わるのはね」
本当に忙しくてだ。
「なかったから」
「夜ばかりで」
九時位が多かった、十時までになることはなかったけれど。
「それでね」
「僕も最近はね」
「夜に帰ってたのね」
「うん、だからね」
「このお空も」
「暫く観ていなかったよ」
夜になろちうとしている空はだ。
「本当にね」
「お互いにね」
「うん、そう思って観ると」
何でもない様なお空もだ。
「不思議な感じがするね、いや」
「いや?」
「何かね」
空を見上げ続けながら私にこうも言った。
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