| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

大阪の高女

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二章

「困るから」
「だからですね」
「調子戻して欲しいわね」
「というか先輩今何か」
 晴香の方から言った。
「寝不足な感じですね」
「ええ、目の下にクマがあって」
 それでとだ、恵子も応えて言う。
「背筋も曲がって」
「髪の毛もボサボサの感じで」
「もう明らかにね」
「寝不足ね」
「どう見ても」
「その原因が何かよ」
「問題はそこですね」
「そうよ、そこよ」
 まさにというのだ。
「問題は」
「それじゃあ」
「そう、だからね」
 それでと話す恵子だった。
「御門君自身に聞いてみましょう」
「会社に帰ったらですね」
「ええ、それにしてもあそこまで体調が調子に影響する子もね」
「珍しいですか」
「あの子高校の時からそうなのよ」
 恵子は彼の十代の頃も話した。
「これがね」
「あっ、主任と先輩高校から一緒でしたね」
「大学もよ」
「八条学園で」
「私が三年、彼が一年でね」
「ハンドボール部で一緒で」
「男子女子分かれていたけれど」
 ハンドボールをやっていたことは一緒だったというのだ。
「その時からよ」
「体調が悪いとですか」
「絶不調だったのよ」
「そうだったんですね」
「それで体調がいいと絶好調で」
「大学の時もですか」
「私達経済学部だったけれど、八条大学の」
 恵子は今度は大学時代の自分達の話をした。
「風邪とかひいてたら」
「もうガタガタですか」
「何も出来ない位にね」
「今と一緒ですね」
「サークルの方もね」
「サークルもハンドボールでしたね」
「そっちでね、あの調子だったのよ」
 体調が悪いとどうしようもなかったというのだ。
「そうだったのよ」
「学生時代から先輩は先輩だったんですね」
「そうなの」
「私も八条高校、八条大学でしたけれど」
「晴香ちゃんは高校は商業科で大学は文学部でね」
「はい、主任も先輩も知らなかったですから」
「そうよね、とにかく彼にはいつも元気でいてもらわないと」
 今度はチキンナゲットを食べつつ言う恵子だった。
「上司の私としてもね」
「仕事でバディの私も」
「大変だから」
「ここはですね」
「ちょっと彼の為に一肌脱ぐってことで」
「はい、先輩の為にも私達の為にも」
「彼に事情を聞きましょう」
 まずはというのだ、そうしてだった。
 二人は昼食を終えて午後の仕事が終わってからだ、家に帰ろうとする佳彦を呼び止めた。背は一八〇あり眼鏡をかけたしっかりとした体格の青年だ。丸い目と厚い小さめの唇がその顔の大きな特徴となっている。
「ちょっといいかしら」
「何ですか?」
「ええ、これから時間ある?」
 恵子が佳彦に聞くのだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧