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儚き想い、されど永遠の想い

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189部分:第十四話 忍び寄るもの十五


第十四話 忍び寄るもの十五

「西洋で言う騎士になりましょう」
「騎士ですか」
「武士は女性の為に戦う存在とは少し違いますから」
「だから騎士なのですね」
「そうです」
 こう真理に話す。
「そうなります」
「騎士ですか」
「それは駄目でしょうか」
 真理を見ながら。そうしての言葉だった。
「私が貴女の騎士となることは」
「いえ」
 微笑んでだ。真理は義正に答えた。
「御願いします」
「そう言って頂けますか」
「是非。私の騎士になって下さい」
 これが真理の言葉だった。
「そして常に私の傍に」
「いて欲しいと」
「そうして下さい」
 また義正に言うのであった。
「そして私は義正さんの」
「私の」
「全てを癒す存在になりたいです」
「私の全てをですか」
「これも西洋の考えだと思いますが」
 こう断ってからの言葉だった。その新たに入ってきている西洋の考えをだ。二人は受け入れてそのうえでだ。静かに話していくのである。
「人の心は癒せますね」
「そう言われていますね」
「それができるのは人だと」
「だからですか」
「はい、御願いします」
 切実な顔になってだ。真理は再び義正に話した。
「是非共」
「わかりました。では」
「義正さんが私を護って頂き」
「真理さんが私を癒して頂き」
「そうなりますね」
「これからは」
 こう二人で話してだ。そのことを確かめ合うのだった。
 そしてだ。そのうえでだ。義正はこうも話した。
「既に私達の心は一つになっています」
「しかし式を挙げることによって」
「一つの通過儀礼です」
 結婚式はだ。そうだというのだ。
「その通過儀礼を通ってです」
「そうしてですね」
「私達は。絆をお互いに授け合うのです」
「指輪によって」
「これも西洋の慣わしです」
 ここでも西洋だった。何処までもだった。
「その慣わしになります」
「それではですね」
「共に参りましょう」
「結婚式にも」
 こう二人で話してだ。そうしてだった。
 真理は義正に送られ自分の屋敷まで戻った。そうして屋敷に入った。
 その時に婆やに出迎えを受けた。その婆やが彼女に言ってきた。
「御二人だったのですね」
「はい」
 その通りだとだ。微笑んで婆やに答えたのだ。
「そうさせてもらいました」
「わかりました。ただ」
「ただ?」
「思いも寄らぬことでした」
 婆やもだ。こう言うのだった。
「まさか。あの八条家の方と」
「交際していることがですね」
「そしてです」
「婚約ですね」
「それはもう済まされていますね」
 こうだ。婆やは真理に問うのだった。
 
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