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レーヴァティン

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第三十八話 オーロラの下でその三

「どうでござるか」
「ううん、ロキも多いね」
「そうでござるな」
「フレイも多いけれどね」
「この村にはないでござるが」
 ロキの神殿はというのだ。
「ロキの神殿も多いでござるな」
「本当にどっちが多いかな」
「何でも一番多いのはトールの神殿でござる」
「平民の神様でもあるしね」 
 平民達のあらゆる仕事を守るとされている、実はトールが司っている分野はオーディンに匹敵するまでに多いのだ。
「だからね」
「この村にもあるでござるしな」
「凄く信仰されてるよね」
「全くでござる」
「じゃあ今から入ろうな」
 久志は淳二と進太にも話した。
「教会の中に」
「うん、今からね」
「入るでござる」
「そうしような」
 一行はこう話してから教会に入った、すると穏やかな顔立ちの薄い金髪とアイスブルーの瞳の神父がいた。久志はその神父に挨拶をしてから問うた。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけれどな」
「何でしょうか」
「この辺りで斧を持ったやけに強い奴の噂はないかい?」
「斧ですね」
「ああ、それでその斧を使ってな」
 そのうえでだと、久志は神父にさらに話した。
「物凄く強いんだよ」
「それは巨人殺しの戦士でしょうか」
 神父は久志の話を聞いて穏やかな声で返してきた。
「近頃この辺りで話題になっている」
「巨人殺し?」
「はい、二メートルを超える長身で」
 背の話もしてきた。
「非常に逞しい身体つきをしていまして」
「斧を持ってだよな」
「戦います、そしてその肌と髪と目の色は」
「俺達と一緒だよな」
「そうした噂です」
「黄色い肌に黒い髪と目か」
「そうです」
 まさにという返事だった。
「この辺り、いえこの島自体にです」
「滅多にないな」
「そうした外見なので」
 それでというのだ。
「非常に噂になりやすく」
「この村にも伝わってるか」
「湖で漁をしている猟師の方が聞いています」
「他の村の漁師と話をしてか」
「はい、そして」
 そのうえでというのだ。
「この村にも伝わっています」
「成程な、というとこの辺りにいるんだな」
「最近までは、ただこれも噂ですが」 
 こう前置きしてさらに話す神父だった。
「ここよりさらに北に向かったとか」
「北か」
「島の北の端を見に行くとか」
「そう言ってかよ」
「その様ですか」
「そうか、ここよりもさらに北か」
「この村は島のかなり北にあります」
 神父は久志達に村の場所の話もした。
「ですから」
「もう北の端も近いか」
「そこにお探しの戦士がいるのなら」
「もうすぐ会えるか」
「しかも目立つ外見ですね」
「そこまでの大男で髪と目と肌の色が違うからな」
 この島では滅多にない外見だ、白人の中にアジア系が混ざっているとそれだけでどうしても目立ってしまう。
「だからすぐにわかるな」
「顔立ちも違いますし」
「俺達と神父さんにしてもそうだしな」
「ですからすぐにわかると思いますので」 
 それ故にと神父も話す。 
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