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奇妙な暗殺教室

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転校生の時間

 
前書き
ドーモドクシャのミナサン!カンザキカナメです!
今回も駄作を作ってしまいましたが楽しんでもらったら幸いです 

 

五月も半ば・・・修学旅行が終わって、通常授業が再び始まろうとする中、丈一郎はいつもの様にハンモックでリフレッシュタイムを満喫する中、昨晩に烏間先生から届いたメールを開く。


[明日から転校生が1人、加わる。多少外見で驚くとは思うがあまり騒がずに接して欲しい]


とのことだ。


文面から察して、ほぼ間違いなく殺し屋である筈。だが、『外見で驚くことがある』というのが気になる。そりゃあ殺せんせーを殺すには普通の人間ではほぼ不可能…なら、この世界でも屈指の変人やら狂人とまで言われる強者ではなきゃ無理な話だからそう思うもの仕方がないのかもしれない。


「やれやれだせ……」


と、今日から起こるであろう面倒事に頭を悩ませながら丈一郎は家から持ってきた緑茶を飲んだ。


「ふぅ……わざわざ取り寄せた茶なだけあって美味い。」


とても中学生とは思えないジジくさい言葉を吐くと丈一郎は、愛用のアイマスクを付け至福のひとときを味わおうとする。


「さて……あと15分寝るか」


そしと目を瞑りゆっくりと意識を闇に沈めようとした時、


「ジョジョ!やっぱりここに居たのか」


と、やかましい声に邪魔をされた。


「ったく…誰だよ。俺のリフレッシュタイムは邪魔する奴は」


いい感じに闇に沈みかけた意識を現実に戻しアイマスクを取ると若干息のきれた杉野がいた。


「おいおい…最近修学旅行でこの至福のひとときを味わって無いんだから邪魔すんじゃあねーよ。」


そう言う丈一郎は日課を邪魔されたせいか若干不機嫌な表情で杉野を睨む。


「悪い悪い…でも、転校生がヤバいんだよ。」


「ヤバい?確かに昨日烏間先生から多少外見で驚くとは思うがあまり騒がずに接して欲しいと連絡はきたがそこまで変人なのか?」


「いや、変人…というか…なんというか…」


だが、杉野はなんとも言いにくいそうに顔をしかめる。


「やれやれ……その転校生ってのは既に登校してるのか?」


「あぁ…まぁ登校は…してるのか?いや、まぁ学校にいるから登校してるっちゃあしてるんだけど…」


おい…なぜそこで疑問形になる。つか、あの画像を見る限りあの転校生にそこまで疑問を感じる事も無いと思うんだが?


「兎に角来てくれ!もうツッコミ所がありすぎて説明できない」


「おいおい一体何が……っておい!」


そう言い何故か慌てている杉野は俺の制服の袖を引っ張り、半ば強引に連れられ教室に入ると渚、磯貝、岡島、片岡、倉橋が居た。何故か引き攣った顔で。


「お前ら朝からそんな顔で何やってんだ?」


俺の言葉に倉橋が苦笑いで教室に設置されている黒い箱を指差す。何アレ?
なんかよく見りゃ黒い箱の上の部分には液晶パネルのようなものがはめ込まれてる。


するとブゥンと言う音と共に液晶が映る。


『おはようございます。今日から転校してきました『自律思考固定砲台』と申します。よろしくお願いします』


そう言って、パネルは再び暗くなった。


「なぁジョジョ」


「皆まで言うな杉野。俺にだって答えられない…いや、答えようのない問題はある。」


あと烏間先生。多少どころか大分外見に驚くんだが…





朝のHRになり、烏間先生が教壇に立つ。あぁ既になんか怒ってる。


「知ってると思うが、転校生を紹介する」


烏間先生は体と声を震わせながら、黒板に名前を書き、転校生を紹介し始めた。


「ドイツから来た自律思考固定砲台さんだ」


『よろしくお願いします』


烏間先生に続き転校生も挨拶をする。いや、よろしくって言われてもなぁ……


「烏間先生も大変だな」


「俺なら、ツッコミきれずに発狂するぞ」


クラスの中からヒソヒソと声が聞こえる。全くもって同意だ。烏間先生そのうちストレスで禿げるんじゃないか?
肝心の殺せんせーは自律思考固定砲台を見て『ぷーくすくす』と笑っていた


「笑うな。このイロモノ。言っておくが、彼女は思考能力(AI)と顔を持ちれっきとした生徒として登録されている。あの場所からずっとお前に銃口を向けるが、お前は彼女に反撃できない」

「なるほだ私が生徒に危害を加えられないのを逆手に取りますか。いいでしょう、自律思考固定砲台さん。E組へ歓迎します!」


いや、歓迎するも何も機械相手に何すんだよ。



◆◇◆◇◆◇◆◇


奇抜すぎる転校生の自己紹介も終わり、授業が始まる。今まで、殺せんせーの存在もあったけど今回は更に色物が来た感じだ。


「さて、この問題は前回にならった公式でも解けますがそれでは効率が悪くテストや入試ででた場合に最後まで解けないという問題が発生します。」


いつもの様に何事も無かったかの様に授業は始まったが、他の連中は固定砲台が気になっているのか隣の固定大砲をチラチラと見ており集中が全く出来ていない。


ブー、ブー、ブー


「ん?何だ、メールか?」


こっそり携帯をつけると、中村からメールが来ていた。


メールボックスの方を開けて見ると、こう書かれていた。

from 中村


『ねぇ…ジョジョはどう思う?あの転校生』


いや。授業中に携帯いじんなよ。まぁ気になる気持ちは分からんではないんだけどな。


『今の時点じゃなんとも言えん。だが、世界でも屈指の工業国であるドイツが殺せんせーを殺す為に送り込んで来たんだ。そりゃあスペックも相当なものだろうよ』


送信、っと。しばらくすると左の方でブー、と音が聞こえた。おそらく俺が送ったメールが届いたんだろう。つか、返信早いな


from 中村

『でも、固定砲台と言う割には砲塔らしきものが見えないけど一体どうやってせんせーに暗殺を仕掛けると思う?』


いや、最もな疑問だが俺が知るかよ。んなもん設計者でもなきゃ分からねーよ。実際横目で観察しても、機械のせいで何を考えているのかすら分からない・・・時折、内部カメラでも動かしてるのか分からないが、ウイイインという音が聞こえる程度だ。


(しっかし…ドイツと言えば1人知り合いがいるがアイツは元気にしてるのかね…まぁ年中喧しい奴だし元気だろ)


ふと窓を眺め遠い異国の地にいる友の事をふと思い出しいた時だった。


ガシャン! といきなりサイドのカバーから銃が現れ、ガシャガシャと音を立てた後現れた銃から対先生用BB弾が発射される。



「きゃあっ!」


「なんだこりゃあ!」



女子は頭を庇いながら身を伏せ男子は机の上に上がっていた教科書で顔に当たらない様に防御し、教室中から男子の驚く声と女子の悲鳴が響き渡る。



「濃密な射撃ですが、ここの生徒も毎日やっていますよ………それと、授業中の発砲は禁止ですよ」



『気を付けます。続いて攻撃に移ります』


固定砲台から機械の作動音が聞こえ、全員がそれに集中する。


『弾頭再計算、射角修正、自己進化フェイズ5-28-02に移行』


そして再び銃が展開されBB弾が発射される。


「こりませんねぇ」


いつもの相手を舐めきったシマシマの顔でいつもの様に殺せんせーは華麗に避ける。弾数もさっきと全く変わらない射撃に殺せんせーと俺には全く当たらないように思えたが、いきなりせんせーの小さな指に当たる触手が消し飛んだ。


「ブラインド……全く同じ射線に撃ち、弾を隠す技術俺も見るのは初めてだ。」


成る程ターゲットの防御パターンを解析し、すぐさまそれに合わせた武装を作り上げていく………確かに契約上殺せんせーからの反撃の可能性がないのであればこの戦法は理にかなっているしAIとしての強さを最大限に活かせる暗殺だ。


『右指先破壊。増設した副砲の効果を確認しました。次の射撃で殺せる確立0.001%未満。次の次の射撃で殺せる確立0.003%未満。卒業までに殺せる確立90%以上。卒業まで、よろしくお願いします、殺せんせー』


プログラムされてる笑顔で固定砲台は微笑みながら、殺せんせーを殺すための進化を再び始めた。


「続けて攻撃を仕掛けます」


さらに増設をし、勢いよく展開した。


データを収集しつつ相手の弱点を知りながらそれが。進化し続ける固定砲台の必勝パターン……と恐らく開発者は考えていただろうが…


「やれやれ……浅はかな奴らだ。」



その言葉と共に、1時間目が終わる。



「おい、掃除機能とかないのかよ」



「      」



なにも答えない




「ちっ……だんまりかよ」



村松がそう言うのも無理は無く何千、何万という数の対先生用BB弾が、床一面に広がっている。当選ながら、自立思考固定砲台に掃除機能などない。そんな物をつけるぐらいなら殺すことの性能を上げるだろうしな。



「俺らが掃除かよ………」


「やれやれだぜ………」


千葉と俺はこの現実に嘆くが、機械は動く訳がなく不本意ではあったが掃除を始めるE組生徒。


「ふぅ…まぁこんなもんだろ」


そして数十分後に授業が始まるギリギリで掃除を完了させ、俺は机の上に置いておいた教科書と筆記用具一式が入ったカバンを肩にかけ、歩き出した。


「おいジョジョ!テメーどこ行くんだよ。」


数十分にも渡り鳴り続いた騒音と掃除のせいで相当苛立っているのか、寺坂は少し強めの力で丈一郎の肩を掴み引き止める


「分からないのか?帰るに決まってるだろ。俺は無駄な時間が嫌だからな」


「あぁ?テメーあのポンコツ放って置くつもりかよ!」


「放って置くも何も俺たちに何が出来るんだよ?下手にあいつに直接危害を加えてみろ。あいつの開発者様からのクレームでさらに奴がやりたい放題できる環境が増える」


「じゃあ、あのポンコツ好き勝手させろってことかよ!」


「まぁ不本意だが、烏間先生が国に掛け合って思うからその返答を待つのが1番現実的だ」


「そのいつ来るか分からない返答が来るまで掃除続けるってか!?ふざけたこと言ってんじゃねーぞ!」


丈一郎の胸ぐらを掴みグイッと引き寄せすぐにでも暴れ出しそうな寺坂。まさに一触即発の雰囲気だ。


「寺坂止めろ!」


「今俺たちで揉めてる場合じゃねーだろ」


流石にやばいと思ったのか傍観を決めていた前原と菅野が寺坂を止めに入る。


「うるせぇ!だいたい俺は昔からこいつが気に入らなかったんだ!いつもどこか人を見下した目で見やがって!」


だが、ヒートアップした寺坂は聞く耳を持たない。やれやれ…面倒くせぇなこいつ。


「はぁ……別に俺の事をどうこう言われてもどうでも良いけどさ。そろそろやめとけ寺坂。恥かきたくないなら手を離せ」


「はぁ!?お前調子に乗ってんじゃ…」



スパァンッ!


丈一郎の振り抜いた拳が寺坂の顎に当たる。たったそれだけ。たかが一発だが、その一発は


「ね……ぞ………ぉ」


寺坂をいともたやすく地面にひれ伏し、その光景にその場にいた全員は唖然とするほかなかった。


 数秒の沈黙。


「寺坂!?」


「おいおい大丈夫かよ!?」


だが、自分の目の前で倒れた寺坂に慌てて村松と吉田ははっと我に返り、体を譲って意識を確かめる。


「ジョ……ジョ……テメぇ……」


お?手加減が苦手だから確実に気絶したと思ったんだが…寺坂の奴思ってたよりもタフだな。


「そう怒るなよ寺坂。たかが顎に軽い手刀を一発入れただけだ。ただ脳が揺れて気分が最悪な程度大した事は無い。まぁ30分もしたら回復するだろうから机の上で黙って寝てろ」

 
 丈一郎はそう言って、ドアへと歩き始める。そしてこの場にいた全員がジョジョがこの教室から立ち去るのを黙って見るしかなかった。



◆◇◆◇◆◇◆◇



学校から出た俺は小さく溜息をついた。


 (やっちまった……)



昔から手加減が苦手でしつこい不良共の喧嘩が無ければ寺坂の顎砕いてだろうし…俺もまだまだ未熟だな


「やれやれ…今日は厄日な気がするし。夕飯の買い物済ませて家に帰って篭るか」



と、今日の晩御飯の献立を考え始めたその時



「おーい!ジョジョー!ジョジョー!」


遠くから俺の事を呼ぶ声が聞こえた。声がだんだん近づいてくる。声の主は顔を見なくても分かる。まぁ授業があるのに平然とサボる時点で既に選択肢は一択だ。


「やれやれ…そんなに急いで何の用なんだ?中村」


足を止め振り返ると、やってきた中村は急いで走ってきたせいなのか「はぁ…はぁ…」と肩で息をしていた。


「何の用って……私も授業サボるから一緒に帰ろうと思ってね。あと、ついでにあの転校生の事で話したい事もあったしね」



「ほぉー…んで、本音は?」


「あの数の対せんせー弾を片付けるのが面倒いから」


グッ!と親指をたて清々しい程の満面の笑みで答える中村。正直、俺自身それもあって帰って来たのもあるんだがここまではっきりと言うのもどうかと思う。


「やれやれ…俺の用事を済ませた後なら良いぞ」


「用事?何かあるの?」


「夕飯の買い物だ。冷蔵庫の中身が切れそうだったからな」


「え?ジョジョって料理するの?」


中村にとって俺が料理するのはそんなに意外なのか驚きを露わにする。つか、そこまで驚く事か?


「そりゃあ一人暮らしだからな、自炊の方が安く済む」


外食とか買い食いも悪くは無いんだが、下手な出費は避けるに越した事はない。


「ならさ、私ジョジョの料理食べてみたい。」


「あぁ…そうかい。……はぁ?」


突如予想だにしなかった投下された爆弾に丈一郎は一瞬硬直する。


「これから買い物して料理すればちょうど昼時だろうし…ジョジョの家で食べながら話せば殺せんせーの事がバレる事もない。正に一石三鳥だね。」


何気に合理的な理由で外堀を埋められていく丈一郎。だが、ここでそれを許してしまえば死ぬほど面倒な事態になると確信した丈一郎は策をろうする。


「んなこと言ってもお前昼飯は用意してたんじゃないのか?」


「今日は寝坊しちゃってご飯買ってないんだよね。」


「家まで結構な距離があるんだが?」


「ジョジョの家から私の家まで10分程度だし」


反論が次々と封じられ、どんどん逃げ道がなくなっていく。正直抵抗するだけ無駄だろう。


「はぁ…分かった。ただし、家の中を勝手に漁らない。詮索しないと約束出来るのならば良い。」


「うーん…まぁ楽しみが少なくなっちゃうけど招いてもらう身だから約束は守るよ。」


「良し…ならさっさと行くぞ。このままだべっていたらセールに間に合わん」


セールって完全に主夫じゃん!とケラケラ笑う中村と並び丈一郎再び歩き始めた。 
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