儚き想い、されど永遠の想い
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136部分:第十一話 断ち切る剣その十
第十一話 断ち切る剣その十
「そう考えています」
「公にか」
「はい、公にです」
まさにそうだというのだ。
「発表しようと思っています」
「それはまた」
伊上はだ。彼のその話を聞いてだ。
顔を強張らせてだ。こう言うのだった。
「思い切ったな」
「そうでもしないと、と思いまして」
「それで公にするのか」
「はい、同時にです」
「君達の両親にも知らせる」
「それを以て」
「やはり思い切っておるな」
また言う伊上だった。
「そうするとはのう」
「思われませんでしたか」
「うむ、予想外だ」
そしてだ。さらにどうかというのだった。
「予想以上だ」
「以上とは」
「君はわしが思っていた以上の人物の様じゃ」
こうだ。義正を見て話すのだった。
「そこまで思い切った大胆なことをするとはのう」
「だからですか」
「そうじゃ。確かに君達の両親に言うのではじゃ」
「話は上手くいきません」
「間違いなく反対され」
そしてだとだ。伊上は話していく。
「そして両家の対立になってしまう」
「それではどうしようもありませんね」
「だから駄目じゃ。どうしようもなくなる」
「家と家の問題にするのではなく」
「公に知らしめてじゃな」
「そう思いました」
それでだとだ。義正は伊上に話すのであった。
そしてだ。今度はだ。
その公にするやり方もだ。彼は話した。
「それでその場ですが」
「わしに提供して欲しいのじゃな」
「舞踏会を御願いできますか」
伊上のその目を見ながらの言葉だった。
「それを」
「舞踏会か」
「それもかなり大掛かりな」
「それではじゃ」
話を聞いてだ。伊上はだ。
そうしてだ。このことを話に出すのだった。
「あれか。鹿鳴館の様なじゃな」
「そこまでは
「しかし大掛かりにじゃな」
「その場を提供して頂ければ」
「うむ、場所はある」
伊上は強い表情で頷いてであった。
そのうえでだ、義正に言葉を返した。
「そこにしようか」
「はい、それでは」
「その様に」
これで話がまとまった。舞踏会においてだ。義正は真理とのことを公にするとだ。伊上に話その理解も得たのであった。
これは大きかった。彼はだ。
その伊上にだ。こうしたことも述べた。
「有り難うございます」
「礼はいいのじゃがな」
「いえ、これで私達は」
「何度も言うがこれはじゃ」
「これはですか」
「わしの長年の願いでもあった」
だからこそだとだ。彼は話すのである。
「だから礼はよいのじゃ」
「そうなのですか」
「そうじゃ。八条家と白杜家の対立が幕を下ろす」
その厳しい顔を綻ばせてであった。彼は義正と真理に話した。
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