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ガルパン主人公に転生したけど、もう限界な件

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人間は自分の今までを無くすことなくして変わる事はない。

四月。新年度、新学期、新生活、人も空気も新しく何もかも新しくなる時期。そして俺は地元の私立大学を数日後に卒業して中小企業の工場勤務が今年から始まる。俺の周りは新たな門出に不安が半分で希望といった感じであった。あれから俺は結局俺は戦車道とは関わる案件はなかった。ただ、少し欲が出たのか第六十三回戦車道全国高校生大会を見に行ってしまった。とはいっても決勝戦だけであり、原作と違うのは決勝戦の相手は大洗女子学園ではなくプラウダと黒森峰だった。やはり大洗女子学園の原動力は原作の西住みほがいたからこその快進撃なのだと俺は改めて第六十三回戦車道全国高校生大会の内容を見て思った。

でも、この世界では大洗女子学園は廃校なっていない。俺も詳しく知らないけど第六十二回戦車道全国高校生大会の時の戦車道連盟の調査に加えて文科省にも調査が行われた時に世間で隠せない真っ黒い案件が続出した事が原因で戦車道連盟と文科省は大捕り物が行われて大混乱だ。そして他の政治家のトップ層も絡んだ案件であった為に内閣総理大臣にも批判が集まり、総理はこの騒動が原因で辞任したらしい。そんな騒動があったせいか知らないが他人から見ても明らかに穴がたくさんある案件でもあった学園艦廃校案はうやむやになったのだと思う。

こういう案件を数年も待たずに廃校しますなんて誰もが認めないだろう。そんな事をすれば反発はあるし、在籍している学園側の生徒達の新たな受け入れ先や学園艦の住民達に知らせないでの強制退去なんて普通はあり得ない。警察が色々と調べていくうちに今回の案件もあったせいで世間の目が厳しい現状で文科省が立案した学園艦廃校案は白紙になったんだろうなきっと。

話は戻るが黒森峰は第六十二回大会からあらゆる問題が続出したせいなのか半数以上の隊員が黒森峰から転校してしまい黒森峰全盛期の半分以下の戦力に低下してしまった。そして支援団体も半分以上が撤退した為あらゆる基盤が崩れて黒森峰戦車道再開も難しいと誰もが言われた中での全国大会の参加である。いくら西住まほが隊長として率いても一回戦突破が限界だろうと言われた中で誰もが予想しない結果で黒森峰全国大会優勝であった。王者から陥落して地の底まで転落した黒森峰の優勝は世間の注目を集めた。今まで西住流のような圧倒的火力による王道の戦いからまるで、原作の西住みほの様な柔軟な戦術をもってして相手校を翻弄して優勝を収めた。今までの黒森峰とは全く異質な戦車道に関係者は唖然としたが、何より地の底まで落ちて戦車道再開も難しいと言われたなかで王者に返り咲き、黒森峰を立て直した西住まほと、その隊長を陰で支えた副隊長逸見エリカは、日本人受けするストーリーにより一躍世間のヒーローとなった。

俺はあらゆる基盤が崩れてもなお成功を収めた西住まほと逸見エリカを見て思った。例え環境が最悪でも地位や名誉が地の底に落ちてもそれにめげないで進んでいく姿は、これこそ本当に一握りの天才というのだろうと。この当たりが何もかも最初から諦めて向上心を亡くした自分とは違い、諦めずに、希望も捨てずに自分の限界に挑んで栄光を掴む姿は本当に主人公のようだった。

「それが凡人と天才との違いよ」

「うわ、いきなり現れるなよ。つうか人の心を読むなよ」

「そんなのワシの勝手じゃ」

相変わらず自分勝手な神様である。そもそもこの陰険爺のせいで俺の人生は滅茶苦茶にされたんだよな。そして転生してそれなりに長い付き合いになったな。

「今日でお主に合うのは最後じゃ」

「あ?」

「この世界の物語は随分堪能したからの。この世界に来る理由もなくなったからの」

「いきなりだな」

だったらもう二度と会う事はない。この爺さんに出会ったせいで俺の人生が狂ったんだからな。出来ればもう二度と出会いたくないし。

「なんじゃ、ワシと合えなくて寂しいのかの?」

「全然」

「釣れないの」

こんな極悪で陰険爺を好きになる奴なんて本当に心が腐ったもの同士でしかわかり合えん。というか断言できる。

「まあ良いわい。最後にお主に言っておく事がある」

「あん?」

「ワシはお主を凡人と証した。じゃがただの凡人ではないとも言った。」

「それがどうしたよ」

「ふん気がつかんのか……まあ、だからこそ予想もつかない物語が構築されたとも言っていいのかの」

「だから何を言って「さらばじゃ!」おい、聞けよ!」

何の前触れもなく消えやがった。結局あの爺さんは最後まで自分勝手な野郎だった。まあ、もうこれで爺さんの言う事が本当なら俺はもう関わる事がない。というか絶対にそうあって欲しい。爺さんのおもちゃにされて西住みほという明らかに人選ミスともいうべき人物に転生させられて地獄の苦しみを味わった俺だが、結局は凡人の器の俺に出来る事は限られて、俺は西住まほや逸見エリカのように逃げださずに自分の運命を変える事は出来なかった。

結局、西住みほという重役に耐え切れずに俺は前世のもとの生活を望んで此処にいる。確かに原作改変という事体を引き起こしたが、例え大小様々でも俺以外の人物が転生しても簡単に出来た事だ。俺はたとえ世界が変わっても俺は主人公と称される重要人物を成長させて引き立てるだけの歯車でしかなかった。それはこの世界で俺が西住みほとなってそれを証明している。

「結局、俺は爺さんの暇つぶしのおもちゃに選ばれた凡人でしかなかったんだな」

それが悔しいと思わなかったと言えばうそになる。前世で周りに迷惑をかけた記憶もないのにどうして俺が主人公に転生されなきゃいけないんだよと数えきれないほど思った。だけどそう思った所で過去は変えられない。例え西住みほに転生しても今の現実を見ても俺の現在の立ち位置は前世の平凡なサラリーマンと変わらない。そして、もう爺さんと関わらないならここから俺の前世から立ち止まった人生がようやく始まるのだ。ここから俺の前世で止まってしまった凡人としての本当の俺の物語が始まるのだから。


ーーー。

現在までこの小説に登場して人物及び被害にあった地域紹介


主人公

ある意味でこのガルパン世界において最悪な人物かもしれない。運動も頭脳も本当に自他共に認めるほど平均だが、実は神様でも認める程に他人になりきるという才能をもっていた。そうでなければ西住みほを演じても、主人公が演じる西住みほは偽物であるとガルパン世界の重要人物達が気付くはずである。この他人になりきる&プラスαによってガルパンの重要人物を騙し続けた詐欺師かもしれない。ただし本人はこの才能に気付いておらず、何より西住みほを演じる事に多大な苦痛を感じており、凄まじい才能があるが肝心の本人の器が才能についてこれていなかった為に、神様からの「凡人だがただの凡人ではない」という評価もあながち間違いではない。西住みほという役割から解放されてからは、前世同様に平凡なサラリーマン生活に戻る。


西住まほ

主人公に騙された悲劇のヒロイン。西住みほを演じた主人公に人生を狂わされた少女であり、西住みほを演じた主人公の死亡詐欺にあって黒森峰をどん底にまで落とされて立て直しに翻弄される。立て直しの成功後は数多く国内外問わずに戦車道の強豪からオファーが殺到するが、妹の死が影響してか高校卒業後は戦車道のプレイヤーとしてではなく戦車道の講師の道に進む。後に西住まほが育てた生徒達は戦車道のトッププレイヤーとして活躍する。

逸見エリカ

同じくまほ同様に主人公に騙されたヒロイン。西住まほの副官というポジションで黒森峰の立て直しを補佐した黒森峰の立て直しに貢献した重要人物。卒業後はまほと違い戦車道の大学リーグに進み、卒業後はプロリーグ参戦する。どんな状況にあろうとも諦めずに相手に噛みつくその戦術から後に国内外問わずに『狂犬(マッドドック)』または『戦争犬(ウォードック)』のあだ名で恐れらるようになる。黒森峰卒業後も西住まほを尊敬しており親しく込めて黒森峰時代と同じく隊長と呼んでいる。


西住しほ

主人公に騙された人物。行き過ぎた勝利至上主義により自分の娘の一人を戦車道で亡くすという悲劇により今までの方針を転換して、人命を第一と考えるスポーツマンシップに通ずる戦車道に変更した。だが、当然のように西住流保守層勢力から強い反発を受けるが、保守層を排除して元々備えていたすさまじいカリスマにより西住流を掌握して家元に就任する。勝利を絶対としていた西住流から方向転換した為に二大勢力だった島田流との戦車道におけるパワーバランスは崩れて勢力として島田流の下となったが、スポーツマンシップや人命を第一とする方針や旧勢力を排除した手腕が評価され、世間から危険思想をもった老害たちを排除した女傑として世間から注目を集めて高い評価を得る。


役人

名前だけ登場。ガルパン世界において大洗女子学園廃校を強く推し進める悪党であったが、この世界では上からの命令で仕方なく学園艦廃校案を実行していたにすぎない人物である。戦車道連盟及び文科省の大捕り物で自分が実行したわけではないのに逮捕された悲劇の人物。後に命令されただけと分かった為に特にお咎めなかったが、真っ黒い案件に深く関わった為に左遷されてしまう。


プラウダ高校

まだ小説に話に出ていないが簡単に説明すると最も主人公によって理不尽な被害を受けた高校である。後日主人公被害が特に酷いカチューシャとノンナの話をしようと思っています。


神様

最悪な主人公を転生させたこの小説における最悪のトラブルメーカー。とにかく性格がひん曲がっており、転生させる人物達が人選が特にひどく、大抵の人物は大失敗して終わっている。転生させた人物達が失敗したり絶望する光景を観察するのが好物。ただ大好物というわけではなく、本当に見たいのは自分の予想に反した物語を構築する転生者の物語である。ただし内容に関しては善悪の拘りがないため本当に見たい物語の為なら世界に対する迷惑など気にしない。そのため少しだけ自分の予想にしない物語を構築した主人公に対してはほんの少しだが評価している。

 
 

 
後書き
本編はこれで終了です。ここから先は主人公が出てくる事はありません。この後は番外編で主人公によって原作を崩壊させられたまほ、エリカといったガルパン世界の人物達の話にいこうと思っています。 
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