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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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黒魔術教団

 
前書き
ここからのメインはアルバレス編だから復活編は結構適当です。
申し訳ないm(__)m 

 
まもなく目的地に到着するところで、俺たちはすごいものが目に入ってきた。

「見事にあそこだけ雨が降ってるわね」
「怪しいですね」
「不自然すぎるわ」

俺たちがいる場所は晴れているのに、目の前にある村だけ豪雨が降り注いでいる。あれじゃあアメフラシの村なんて名前がつくのも無理ないな。

そのまま雨が降る村の目の前まで行くと、ハッピーが遊び始めた。

「こっちが雨!!こっちは晴れ!!こっちが雨!!」

雨が降っているところと止んでいるところを行き来して楽しそうなハッピー。しかし、それを見ていたナツさんがとても悪そうな顔をする。

「ふはは、まだまだ甘いなハッピー」

ナツさんはそう言うと、雨と晴れ間の境目に立ち万歳する。

「今の時代は半分雨!!」
「半分雨かー!!」
「そんなに楽しい?」
「見てるこっちも楽しいよ~」

大笑いしている2人に呆れ顔のシャルルと混ざりたいが彼女の目が気になって入れないセシリー。バカなことをしている2人はほっといて、街の中に早速入ってみようか。

どしゃ降りの中を進んでいくけど、どこにも人の姿が見えない。

「人の気配が全くしない」
「誰も住んでないみたいですね」
「これだけ降ってればそりゃねぇ・・・」

アメフラシの村と呼ばれるってことは、相当長い期間雨が降り続いていたはず。そうなっては生活していくのも困難だろうし、街を離れてしまうのも無理はない。

「いや、ジュビアの匂いがする。こっちだ」

先頭になっていたナツさんが前を指さしているのでそのあとに続く。確かにジュビアさんの匂いがするような・・・雨が強すぎてかなり薄れてるけど。

「あ、いた」
「おっ!!やっぱり!!」

視界も悪い中を進んでいくと、この雨の中傘も差さずにベンチに座っている水髪の女性を発見。もう少し近付くと全員がジュビアさんだと確信を持ったので、彼女の元へと駆けていく。

「おーい、ジュビアー!!」

ナツさんがそう叫ぶと彼女もこちらに気付いた様子。立ち上がった彼女は目に涙を浮かべていた。

「グレイ様」

だが彼女の口から発せられたのはこの場にいない人物の名前。それなのに、彼女は頬を赤く染めてこちらに手を広げて走ってくる。

「グレイ様!!ジュビアは、ジュビアはー!!」
「落ち着け」

ナツさんに飛び付こうとしたが、彼は彼女の顔面をつかんで動きを止める。

「よ!!元気だったか?」
「今日も元気そうですね」
「相変わらずのテンションで安心したわ」
「お久しぶりです、ジュビアさん」

約1年ぶりの再会の挨拶をすると、彼女はその場に呆然と立ち尽くし、目を見開いていた。

「ナツさん・・・ルーシィにシリルとウェンディも」
「オイラたちもいるよ!!」
「こっちだよ~!!」
「あんた、こんなところに1人で暮らしてるの?」

存在に気付かれていないと思ったのか、ハッピーたちがそう言う。すると、俺たちを見ていたジュビアさんが涙を溢しながらその場に崩れ落ちようとする。

「オイ!!どうした!?」
「ジュビア!?」

突然意識を失った彼女を抱き止めるナツさん。気絶しているジュビアさんの顔は赤くなっており、息が荒い。

「とにかく今はこの中に入りましょう!!」
「うん!!雨ですごい濡れてるし」

ジュビアさんの座っていたベンチの後ろに藁の屋根の家がある。俺たちは彼女をその家の中に運び着替えさせると、ベッドに寝かしつけた。

「すごい熱です」
「こんな雨の中にずーっといたら具合も悪くなるわよ」

おそらく風邪の症状だと思うけど、ジュビアさんはかなり疲労しているのか、目を閉じたまま動かない。

「ここってジュビアの家かしら?」
「ところどころに匂いがありますからね」

今さっき入ったばかりだとは思えないほど彼女の匂いが染み付いてる。おそらく彼女はここで1年間過ごしてきたんだろうと予測できる。

「うーん。少しグレイの匂いもするぞ」
「グレイもいるの?」

ナツさんの言う通りわずかではあるがグレイさんの匂いもある。でもかなり匂いは薄れてるし、姿も見えないんだけど・・・

「ジュビアはグレイ様と・・・ここに住んでました」
「「え!?」」
「2人で!!」
「すごいドヤ顔」

俺たちの読み通りグレイさんはここに住んでいたらしい。想い人と1つ屋根の下。ずっと一途だっただけにジュビアさんからすればそれは幸福以外の何物でもないだろう。

「一緒に食事をして、一緒に修行をして、一緒に仕事をして、一緒にベッドで・・・」
「「!!」」
「言わなくていいから!!」
「寝ようとして蹴り飛ばされたり」
「「「・・・」」」

ついに一線を越えたのかと思ったがやはりグレイさんはグレイさんでしかなかったようだ。でも、そう語るジュビアさんの顔が妙に嬉しそうだったのは一体なんでだろう?

「幸せでした。ですがある日・・・」

今でも直ってないという脱ぎ癖で服をその辺に放り投げていたグレイ。ですがその体に、黒い模様が浮かび上がっていたらしい。
特に彼は何も気にした様子もなくその日は過ごしたらしいけど、そのあとから異変が訪れたそうだ。

「その日以来1人で外出することが多くなって、帰って来なくなったのが半年前です」
「そんな・・・」

その事実にジュビアさん同様ショックを受けている天竜。もしかしたら俺もグレイさんみたいになっていたのかもしれないな。ただ運良く、早めに滅悪魔法を封印したから難を逃れていただけで。

「勝手に出ていくとかあの野郎」
「あんたが言う?」
「俺は遺書を残しただろ?」
「ナツ・・・『書き置き』ね」

安定のボケのナツさん。だけど、それを聞いてもルーシィさんの怒りは収まらない。

「それでも勝手に出ていったのは同じ。残された方はね・・・」

怒って顔を近付けたルーシィさん。それにナツさんは息を飲むと、徐々に彼女の表情が悲しみへと変化していく。

「残された方は・・・」
「イチャイチャしないでください」
「してないわよ!!」

恋人なのではないかとジュビアさんからは見えたらしく熱で弱っている状態にも関わらす見事な突込み。それにルーシィさんが目を飛び出させそうになったので俺とウェンディがそれを宥める。

「それでグレイがどこにいるかわからないの?」
「わかっていたらここにいないでしょ?」
「もう連れ戻してるはずだよね~」

シャルルとセシリーの言う通りだと思う。大切な人がいなくなってどこにいるかわかっていればその場所に探しに行く。人なら当然な行動だ。

「ジュビアは何日も探して歩きました・・・でも・・・グレイ様は見つからなくて・・・待つことにしたんです」
「待つ?」

ジュビアさんも当然のように彼のことを探していたらしい。でも今日この村に残っていたのは決して諦めたからではなかった。

「ここはグレイ様とジュビアの・・・思い出が詰まっている家だから、きっといつか・・・グレイ様はここに帰ってくるって・・・」

一縷の望みに賭けたジュビアさんに全員の表情が険しくなる。彼女は彼を信じているから、愛しているからこんな風にいつまでも待っていることができるんだ。

「ごめんなさい。久しぶりにあったのに・・・」

泣き顔を隠すためにか寝返りをうってこちらに背を向ける。その彼女に背を向け窓の外を見ているナツさんが口を開く。

「俺が見つけてやる。いや、必ず見つけ出す。仲間を全員集めるんだ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)を復活させるために」

彼女の方に向き直り笑顔を見せるナツさん。その声が届いたのか、ジュビアさんは背中を震わせていた。















「ジュビアさん、眠っちゃいましたね」
「相当疲労してたもんね」

恐らく寝る間も惜しんでずっと探し回った後、ただひたすらに彼の帰りを待ち続けていたのだろう。それが俺らの訪問で緊張の糸が切れ、しばしの休息に入っていると推測できる。

「見つけるって言ってもアテあるの?」
「あたしのメモでも足取りが掴めてないんだー」
「それじゃ~八方塞がりじゃん~」

家の軒下で作戦会議をしている俺たち。でも、さすがに手がかりが無さすぎてちょっとムリゲーかも。

「どうしたの?ナツ。怖い顔して」
「元々じゃない~?」
「こらセシリー」

そんな中1人だけ軒下から出て雨に当たっているナツさんが思い詰めた顔をしている。どうしたのかな?

「確かこの近くだったよな?」
「「「??」」」
剣咬の虎(セイバートゥース)に行くぞ」
「え!?」

そう言うと有無も言わせずルーシィさんの手を引っ張っていくナツさん。俺たちもそれについていこうとすると、彼はラミアから借りた荷運び用のイノシシに跨がる。

「シリル!!ウェンディ!!お前らはジュビアの看病頼む!!」
「ナツさんたちは!?」
「心配すんな!!必ずグレイを連れ戻してくっから!!行くぞハッピー!!」
「あいさー!!」

そう言って3人で走り去ってしまう。取り残された俺たちは何が何だかわからず、顔を見合わせていた。

「グレイさんの手掛かりがセイバーにあるってこと?」
「ナツさんがそう言うなら、信じるしかないよね!!」

半信半疑な俺と違ってナツさんのことを信頼しているウェンディは言われた通りジュビアさんの看病をするために家の中へと入る。どうも納得のいかない俺はそのまま軒下に留まることにした。

「ここ最近セイバーと何かあった~?」
「あの王様殺害計画からは何も」

シャルルはウェンディと一緒に家の中へ入っていったため今はセシリーと2人きり。あれから半年近く・・・つまりあの依頼が終わった頃にグレイさんは失踪したのか。

「グレイくんの手掛かり・・・本当にあるのかな~?」
「う~ん・・・ん?」

そんな話をしていると、俺はある重大なことを忘れていたような気がしてきた。必死にその記憶を辿っていくと、バンッと手を叩く。

「思い出した!!」
「何が~?」

セシリーは俺が何を思い出したのかわからないため首をかしげる。俺はこの1年の間にグレイさんに会っていたことを思い出した。

「俺この間グレイさんに会ったんだ」
「えぇ!?いつ~!?」

あれは確かクロッカスでの依頼の前だったから・・・

「半年以上前かな?」
「・・・」

それを聞いた途端セシリーの顔が呆れ顔になった。なんだよ、何か文句あるのか?

「そんな昔じゃ参考にならないんじゃない~?」
「うっ」

言われてみればそうだ。半年前だとグレイさんはまだジュビアさんの前からいなくなっていない。でもあの時の彼は彼女が言うように黒い模様が体に広がっているところだった。

「でもグレイさんは治療を終わってたはずなんだけどなぁ・・・」

ポーリュシカさんに言われてあれから俺は何度が通ったんだけど、俺が最後の治療を受ける前にグレイさんの治療は終わったと聞いていた。だとするとあの滅悪魔法の影響で帰ってこれないってことは少ないと思うけど・・・

「ね~ね~、治療って何?」
「さっきジュビアさんが言ってたでしょ?体に黒い模様が出てたって」

あれは滅悪魔法が体を侵食していってるもので、俺もそれが出てきたことがあったけど彼と一緒に治療してもらって治ったことを伝える。すると、彼女の目付きが厳しくなった。

「あれれ~?僕たちそんなこと一度も聞いてないんだけどな~?」

それで思い出した。彼女たちに心配をかけないためにこのことは内緒にしていたこと。レオンとラウルは事情を知っているけど彼らは一切口外してなかったのに、まさかの自滅でバレるとは。

「よし!!じゃあ俺たちも探しに行こうか!?」
「うわ~、無理矢理話題変えに来た」

なんか隣から憐れむような視線が飛んできているけどそんなことは気にしない。こうなったらポーリュシカさんのところにでも行って手がかりを探してしまえばいい。そう思い立ってウェンディたちを呼ぶために家の扉を開ける。

「ウェンディ!!出掛け―――」

そこまで言いかけて俺は口を閉じた。開け放たれた扉の方を向いて目を見開いているウェンディとシャルル。藍髪の少女は手にタオルを持っているのだが、それで体を拭われている人物は上半身裸になっていたのだ。

「シリル何開けてるの!?」
「ごめんなさ~い!!」

汗だくだったジュビアさんの体を拭いていたところでタイミング悪く扉を開けてしまった。おかげでウェンディから部屋にある様々なもの投げられ、ダメージを負った俺はジュビアさんの着替えが終わるまで軒下で正座をさせられたのであった。


 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
この時のために蛇姫の鱗(ラミアスケイル)編でグレイと遭遇させておいたので忘れずに出せてよかった。
そして安定のラッキースケベ。さすがラッキーガールシリルちゃんですね。
「ガールじゃねぇ!!」 
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