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レーヴァティン

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第三十六話 北の街その三

「いや、こうしてな」
「水風呂に入るとでござるな」
「最高だよな」
「身体が一気に冷えてでござる」
「これもまた気持ちいいんだよ」
「全くでござる」
 進太も己の身体が急激に冷える中で正と話した。
「これがまたいいでござる」
「ああ、じゃあな」
「身体を思いきり冷やして」
「またサウナに入ろうな」
「そのうえで再び汗をかくでござるよ」
「これがいいんだよ」
 正は今も目を閉じている、そうして熱されていた身体が冷やされていく感覚を楽しみつつ言うのだった。
「身体から本当に悪いものが出るって感じでな」
「そうでござるよ」
「いや、本当に気持ちがいいぜ」
「それとね」
 源三も冷水の中で言う。
「湯舟の時もいいんだよね」
「こうしてな」
 久志も源三に言う、身体が冷えていく感覚を楽しみながら。
「冷やしてな」
「そうそう、またお湯の中に入る」
「それを繰り返すとな」
「淳二の言う通りにね」
「肩や腰の疲れが取れていくんだな」
「そうだよ、本当に取れるから」
 その淳二も言ってきた。
「冷やして熱して。それを繰り返すとね」
「肩凝りとか腰の疲れがか」
「凄く取れるから。冒険も身体に負担がかかるから」
「歩いて戦って寝心地の悪い場所で寝てな」
 久志はその冒険について語った、彼が今までしてきたそれを。
「確かに身体のあちこちに負担かかってるな」
「だからね」
「こうした風呂でだな」
「疲れを癒すのがいいんだよ」
「長く戦う為にか」
「治療の術で癒せても」
 肩凝りや腰の疲れにも効果があるのは事実だ、ただしこうした身体へのダメージは根本から解決しないと完治にはならない。
「それでもね」
「風呂で根本からだな」
「治さないとね」
「骨とか筋とか血流からか」
「全部治さないとね」
「針とかマッサージと同じだな」
「あっちが急ならね」
 ツボを突いたり身体を外からほぐしてだ。
「お風呂は徐々にだよ」
「疲れを癒すものか」
「そう、それでおいらはこっち派なんだ」
 風呂派だというのだ。
「要するにね」
「成程な、確かにこれもいいな」
「マッサージとかもいいだろうけれど」
「あっちは向こうの世界じゃ高いからな」
「そうなんだよね」
「だから風呂で時間をかけてか」
「おいらはそこも考えているんだ」
 金のこともというのだ。
「それでお風呂好きなんだ」
「結構考えてるんだな、金のことも」
「そうだよ、お金は使い方を間違えると」
 それでというのだ。
「駄目だよ」
「こっちの世界でもな」
「若し間違えると」
 幾らあってもというのだ。
「あっという間になくなってね」
「貧乏暮らしだな」
「そうなるからね」
「これはあってもだよな」
「幾らあっても油断したら」
 淳二のその言葉は至って真面目なものだった。 
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