こんなチートでもありですかい?そうですかい。
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第8話。変人とアインツベルン。
城を二人でうろうろして扉があれば片っ端から入っていく。まぁ、肩車しているためうろうろしてんのは実質一人だが・・
「ここは?」
「お母様の部屋よ。今は使われてないけど・・」
「ここは?」
「客室かしら?」
「こんなとこに客とかくるんかい。」
「さぁ?お爺様の客だから私は知らないわ。」
「隣の客はよく柿食う客だ。」
「何ソレ?」
「日本語の早口言葉じゃよ。」
※一応二人がしゃべっているのはドイツ語。晋吾の言葉が似非関西弁?仕様です。
「となりのきゃきはよくきゃくくうきゃきだ。」
「言えてへんで姉ちゃん。」
「となりのきゃきはよくきゃくくうきゃきだ。」
「せやから言えてへんって。」
平和である。
「ここはなんだ?」
「お爺様の書斎かしら?」
本だらけじゃ~。しかし、めちゃめちゃ気になる本棚が一つ。
「漫画しかあらへん。」
「あ~。お爺様の趣味なのよね。」
マジか。熱いな爺ちゃん。おっ、北斗の拳やん。よも
「ちょっと、なんで漫画読んでるのよ。」
「ええやん。ちょっとぐらい。」
めっちゃ久しぶりやー。
「大・満・足。」
「結局、全巻読み終わるまで・・」
「ええやん。姉ちゃんやって本呼んでたんやし。」
ちょっとと言いつつ全巻読んでもうた。違うんや俺が悪くないんや。ブー先生が素晴し過ぎるんや。
「そろそろ親父を探すかの。」
「キリツグを?」
「おう。んでイリヤ姉ちゃんと日本に帰るんやで。」
「日本に?私が?」
「おうよ。シロちゃんも待ってるで。」
「シロちゃん?」
「おう。俺の・・俺らの弟や。めっちゃ可愛いで?」
と、駄弁りながら親父たちを探す。
「どこにいると思う?」
「うーん・・どこだろう?」
「姉ちゃん。姉ちゃん。いいこと教えたるわ。」
「なに?」
「そういうときは・・女の勘や!!」
「勘?・・・・じゃ、こっち!」
「まかせ。」
こんなことをしている間に、切嗣はアハト爺にいびられ、凍死一歩手前まで追い詰められているのだが・・・・
急ぐんだイリヤ!走るんだ晋吾!!切嗣が永遠の眠りにつく前に!!
「まだまだレディには遠いいのぅ。姉ちゃん。」
「うるさいうるさいうるさい!!」
全然当てにならない姉ちゃんの勘は、ことごとく外してしまう。
「あとどこが残ってるん?」
「う~~。礼拝堂かな?」
そして晋吾はイリヤの案内で礼拝堂に向かう。そこはこの歴々しい古城の中でも、もっとも壮麗かつ暗欝な場所であった。
晋吾は知らぬことだが、魔術師における礼拝堂は神の恩寵を讃える癒しの場でなく、魔術の式典を執り行う祭儀の間である。
故にだが、頭上に見えるステンドグラスも聖者の姿はなく、アインツベルンの悠久の歴史を物語ったものだ。
もちろん、晋吾はその一端も知る由がないため、お~すげぇーと思うだけだが、目にとまる一枚があった。
それは、一人の人間が天空の杯を破壊している姿が描かれていた。
「キリツグ!!」
ぼーっとステンドグラスを眺めていたら、頭の上にいた姉が飛び降り、走って行く。
回廊の奥には、老獪と言う言葉が似合う老人と、何故か至る所が凍傷をおこし、コートにすら霜がついている親父がいた。
「親父なにやってるん?雪に興奮しすぎて頭から突っ込んだりでもしたんかい?」
「なに言ってるのよ!それじゃたんなる変人じゃない!!」
「ううぅ・・」
実は来るときにそんなことを二人でやっていて、地味にダメージを喰らうキリツグ。ヤメテェ!キリツグのライフはもう0よっ!!
「キリツグ大丈夫?」
「寒い寒い寒い寒い」
「ダメじゃの。」
全くダメなやつじゃ。仕方ないから暖をとれるものがないか探すも、礼拝堂に存在しない。
しゃぁないのー。とりあえず火でもおこすか。
いきなり上着を脱ぎ始める晋吾にイリヤは疑問を抱く。
「種も仕掛けもない上着です。こいつに手を当てます。」
「何する気?」
「本気でこすります。」
シューーーーーーーーーーーーー!!
っと音と音のつなぎ目がないような音をあげて服をこする晋吾。
いきなりの奇行に驚くイリヤ。いきなりの怪音に驚くアハト爺。口で寒いを言い続けながら頭の片隅で、また晋吾がなんかやってるよと思うキリツグ。
ボッ!!
「火がつきます。」
「あったか~い。」
蕩ける様に恍惚な表情を浮かべ、体育座りで火に寄りそうキリツグ。非常にシュールである。イリヤですら若干引いている。
「なんだ貴様は!?」
ようやくアハト爺・・ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンはいつの間にかにいる、晋吾の姿に気づく。
「俺か?衛宮 晋吾や。よろしゅうな。爺ちゃん。」
「衛宮だと?」
「おう。養子や。」
胡散臭いものをみる目をした後、カッ!っと眼を見開き、ずんずん近づいて晋吾を顔を両手を挟み、自らの顔を近づける。
「切嗣よ。これをどうした。・・・・どこで拾った!?」
「・・・・聖杯の泥により起きた災害の被害者です。当主殿。」
「聖杯の泥・・・・フン!どうやら先ほどの話。本当のようだな。まぁいい。貴様の裏切りなぞもうよい。過ぎたこと・・・・」
目の端で見ていた切嗣から目を晋吾に戻し、興奮した様子のアハト爺。
「しかし・・しかしだ!!僥倖!こやつが・・こやつさえいれば、聖杯戦争・・いや、我がアインツベルンの法に!!」
2世紀もの間、魔術師を続けているこの老人にしてみれば、目の前の人間は『ヒト』に見えなかった。
この膨大な魔力に驚くよりも興奮した。こいつがいれば魔法に・・アインツベルンの悲願に・・!!
しかし、この興奮・・いや、狂喜といった方が相応しいか。この様子に同じアインツベルンの子であるイリヤでさえ、戸惑いを隠せないのにも関わらず・・
全く空気を読めない男が一名
「爺ちゃん。」
「おお!しゃべりおった!」
「顔・・近いんじゃ!!」
バギィ!!
手加減したつもりだったが、つい気持ち悪さで力加減をミスり、いい感じの放物線を描き飛んでいく御当主。
ドッガシャーーーン!!バギバギ
いろんな物も巻き込んで壊していく御当主。
「・・・・」
「・・・・」
「じっ・・爺ちゃーーーーーーーーーん!!」
結果として無事だった。アインツベルン製のホムンクルスは丈夫で頑丈が売りです。
「ごめんな爺ちゃん。」
「・・・・プイッ」
「あ~ん。スネんといてなー、ほんまこの通りや。(土下座)」
「(おおこれが、見た者は何に対しても許さんといかんという、ジャパニーズ土下座か。)小童。」
「晋吾やで爺ちゃん。」
「(爺ちゃん・・いいかも)晋吾や。いいだろう。許そう。」
「お~ありがとな。爺ちゃん!」
先ほどの狂喜はどこにいったのか?急にほのぼのとした空気になる。好々爺と化した祖父に当る男にイリヤは思った。何こいつ誰?
「では、貴様は今の聖杯を手にすることは諦めろと言うのだな?」
「その通りです。当主殿。」
その言葉に思案する爺ちゃん。ところで、
「姉ちゃん。聖杯って何?キリスト的な奴?」
「概ねそうなんだけど、今の話の聖杯は冬木の聖杯戦争に使われる聖杯よ。ちょっと説明が長くなっちゃうから、ここでは願いをかなえる願望機と認識して構わないわ。」
願いをかなえる願望機?
「んで、それを諦めろって親父はいってるん?」
「そうよ。」
「では、貴様はどうすると言うのだ?アインツベルンの悲願を、諦めろと言うのか?」
「ほ?アインツベルンの悲願って願望機を手に入れることなん?」
「うーん。厳密に言うと違うわ。」
「アインツベルンの法。第三魔法に行きつくためだ。そのために、聖杯を手にして『外』へ出る」
外?・・・・ああ、なるほど、『』に辿り着くってことね。でも親父魔法使いなんだろ?手伝ってやれよ。まぁ、テメェでガンバレってやつか
補助輪つきで辿り着いても嬉しくないやろ。でも願望機に頼るのも補助輪に頼ってると思うが・・これはこれ、それはそれってか?
「つまり、汚いから使っちゃめぇ!ってことやろ?」
「・・・・おおざっぱに言えばそうなるかな。」
「大雑把すぎでしょ。」
「なら洗えばええやん。」
そう言うと親父と姉ちゃんはハ―っと溜息をつく。なんや。まちごうてないやろ
「・・・・分かった。」
「当主殿。」
「お爺様。」
「冬木の大聖杯は破棄する。一から新しいモノを作り、『外』への扉を開く。」
「しかし、どうするのです?破壊しても聖杯は変わりませんよ?現に第3回では破壊させ、今回の第4回では汚れていた。」
「・・・・」
「なんや?壊すのなら得意やで?」
みんなの目線がこちらを向く。
「・・・・では、晋吾にまかせよう。」
「当主殿!」
「なんや親父。壊すだけやろ?俺がフルスイングすれば一発や!」
「フルスイング?」
「おう!この聖剣・エス○リボ○グでな。」
ゴルフクラブケースから相棒を取りだす。出した瞬間、姉ちゃんは全力で親父にひっついた。
なんや怖がることないやん。
「ここの結界も一発やったで?」
といいながら軽くスイング。ブンブン振る。姉ちゃんはさらにガクガク震え始める。なんや怖がることないやん。
「な・・ん・・・・だと?」
「ん?爺ちゃんどうしたん?」
わなわなとふるえる爺ちゃん。なんや、どないしたん?
「・・・・切嗣よ。私は疲れた。寝る。少し休ませて。今日は泊まっていいからこいつ黙らせて。」
「・・・・お休みなさい。当主殿。」
爺ちゃんは疲れたらしい。親父に口塞がれた。とりあえず手を噛んでやった。
んでなんか泊っていくことになった。シロちゃんに連絡せなあかんね。
後書き
ちなみに晋吾はドイツ語のほか、英語、中国語も話せます。表示はすべて似非関西弁だがな!
次回は第5次聖杯戦争はどうする?って話。
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