住職は宇宙人
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第二章
「貴方ならです」
「お寺をですか」
「任せられます」
確信して彼に話した。
「ですから是非です」
「お寺に入って」
「後をお願いします」
「わかりました」
若い僧侶は和尚に謙虚な態度で応えた、その物腰も教養と徳分を兼ね備えたものがわかるものだった。
そしてだ、和尚は彼を寺の門弟達に紹介したが。
その紹介を受けてだ、門弟達は皆仰天した。和尚は驚いていたが彼等はまさに飛び上がらんばかりだった。
僧衣に袈裟を着ている彼は髪の毛は一本もない、肌の色は灰色で目は眼球がなく異様に大きい吊目で鼻はただ穴があるだけだ。口は異様に小さい。
頭は不自然にまで大きく手は細い。門弟達はその彼を見て言った。
「あの、宇宙人ですか?」
「十年前に地球と正式に条約を結んだ」
「グレイ星人ですか」
「そうなのですか」
「そうだ」
その通りだとだ、和尚は門弟達二話した。
「彼がだ」
「お師匠様の養子となられ」
「そうしてですね」
「この寺を継がれる」
「そうなるのですか」
「そうだ、地球とグレイ星は交流が出来てお互いに行き来出来る様になってだ」
そしてというのだ、地球からグレイ星に行くことも出来双方の惑星で観光客や政治家、交流の使節団等が行き来している。
「そうしてだ」
「我が宗派もですか」
「学ぶ方が出来て」
「そうしてですか」
「住職にもなるのですか」
「そうだ」
まさにというのだ。
「実は私も最初に会った時は驚いた」
「当然デスネ」
その若い僧侶も言ってきた、言葉にグレイ星人の訛りがある。
「マサカぐれい星人ノ住職ナゾ」
「僧侶になっているとはな」
「当然デス、デスガ」
「君ハダナ」
「ハイ」
和尚に対して答えた。
「仏門ニ興味ガ出来テ」
「地球に来てそうして」
「学ビタイト思イ」
そしてというのだ。
「出家シタウエデ」
「学ンデナ」
「遂ニデス」
「住職の資格を得たのだ」
和尚はここで門弟達にまた話した。
「そしてこの度法主の紹介を受けてな」
「そうしてですか」
「そのうえで、ですか」
「この寺を継がれる」
「そうなるのですね」
「そうなった、私は決めた」
門弟達にこのことも言った。
「この和解君をだ」
「この寺の次の住職に」
「そうされるのですね」
「決められたのですね」
「そうした、異存はあるか」
「いえ」
門弟達は声を一つにして和尚に答えた。皆彼を心から敬愛していて信頼しているが故の返事だった。
「お師匠様がそう言われるなら」
「それならばです」
「我等に異存がありません」
「それは」
「そうか、ではな」
和尚は彼等の言葉に笑顔で頷いた、こうして和解は些光寺の次の住職和尚の養子となったのだが。
生活は真面目で日々学問と奉仕に励み人格は穏やかで温厚で謙虚だった。お経もよく読み他の宗派や宗教の者達とも進んで交流を行った。
それでだ、門弟達も彼と交流を深めて彼を知って言うのだった。
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