逆襲のアムロ
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47話 世界が動くとき。
* ゼウス 宙域
ジュドーらがゼウスに侵入を果たす数時間前、
アムロら混成艦隊がフロンタルのジオングとその取り巻きらと対峙していた。
アムロたちがラー・カイラム沈艦時に収容した人等は全てラー・ヤークへ避難させていた。
アムロのνガンダムの隣にジェガンに搭乗していたカイが居た。
「アムロ、お前が代表してあいつに話しかけてみろ」
そうカイからの通信が聞こえた。話すって何を話すかアムロは戸惑いながらも
フロンタルへの通信を試みた。
「我々の目の前にいるモビルアーマーとその仲間たち。武装を解除し投降をしてもらいたい」
アムロはとても陳腐ながらもごく当たり前の事を言った。カイは「上出来だ」と答えた。
すると全通信回線がいとも簡単に傍受できる、いわゆるオープンスピーカーでフロンタルが
アムロらに語り掛けてきた。
「おそらくはこれで最期であろう。今一つ尋ねたい。この状況は私が招きたかった事態であったが、それを助長させてきたのは君ら自身だ。今更ながらそれはサイコミュという言葉で全て片付けられる。そして仮に私らを打倒できてもこの事態が変わる、治る見込みもないのだよ」
「それでも!」
アムロが叫ぶ。
「それでも、為すべき事、あがなわなければ変わらないこと、それが出来るものが動くこと、だからオレたちはこの場に来たんだ」
フロンタルはノーマルスーツを着用していた。自身もこの戦いでそれなりの危険性を感じていた。
気迫を感じる。フロンタルは万全を期して挑んではいるが、現状を踏まえても万全という言葉すらナンセンスな感じがした。
「ックックック・・・」
フロンタルは自嘲していた。全てはサイコミュに頼るものであり、それは人の想いの結晶だった。
要するに例え巨大な力を行使できる自分であってもいつどんな形で転ぶかがわからないのだ。
その笑いにカミーユが反応した。
「何を笑うんですか!」
フロンタルは口に手をやり謝罪した。
「いや、済まないな。この状況にあること自体が私が原因であるが要因は君たちにあるのだからな」
「オレらが何をしたと言うんですか!」
カミーユがフロンタルに食いつく。フロンタルは再度説明した。
「全てはサイコミュに導かれてきた。それを増進してきたのは他でもない君たちだ」
一同歯を食いしばっていた。言いたいことはこうだ。
この戦争で無数の数々の人の思念を宇宙にばら撒いてきたのは自分たちだと。
その結果が地球圏の崩壊に繋がるような事態になっていると。
「サイコミュはひとの心を映す鏡の様なものだ。人の想いは世界の崩壊を願っている」
アムロが再び吼えた。
「バカな!ならオレたちがここに来た意味、想いは・・・サイコミュは世界を守ろうとするオレたちに応えてくれているぞ」
「何も君らのことではないよ。君らの想いなど世界のごく微小な想いに過ぎない。多数決なだけだ。崩壊を望む想い、諦め、後悔の念、世界の比重がそちらに大幅に振れているのだ」
するとシャアが落ち着いた声で答えた。
「成程、ここに来たことだけをコンパクトに考えた方が目標が見えやすいようだ」
その答えにシロッコも賛同した。
「そうだな。目の前のデカブツを叩く。それだけに専念しよう」
フロンタルはその2人の言に頷いた。
「潔い。君たちが集まれた理由を一つ嫌がらせながら言っておこう。どうでもよいことだが」
フロンタルがそう言い、アムロたちは黙って聞いていた。
「思想が異なり、殺し合うものたちが恨みつらみを無視して一つにまとまれたことは1つの共通の目的であるこの私が存在したことに感謝してもらいたいな」
アムロが静かに声を上げる。
「なんだと・・・」
「事実を言ったまでだ。このまま私が居なくて、事が進んでいったとすれば意味ない殺戮劇が繰り広げられていただろう」
カイがその挑発に応じるようフロンタルに答えた。
「お前の能書きでオレたちが救われたなら相応のお礼参りが必要だな。貴様を血祭に上げてな」
フロンタルは笑った。
「ハッハッハ、そんな物騒な言い回しは普通は私がするもんだがな」
「別に正義を振りかざすつもりなどない。こうまとまったまとまりない集団がやり場のない想いをただ貴様にぶつける、ただそれだけだ。後は学んできたことを反省して皆活かしていける頭と気持ちの整理は付いている」
フロンタルはカイの言う、周囲の想いを汲んでいた。とても皆が清々しい想いをフロンタルは感じ取っていた。
「確かにな。世界を拾いたいという想いはどの陣営にいようが方向性が違えど、同じなことは知っている。見事、ここまでまとまったものだ。だが・・・」
フロンタルの最後の語気に周囲の空気がビり付く。尋常でない程の圧力を空域に掛けてきた。
「ぐっ」
シロッコが堪えた。シロッコがこのプレッシャーに皆に檄を飛ばした。
「気合いを入れろ!このプレッシャー、気を失うぞ!」
シロッコの言う通り、周囲のモビルスーツの半数以上がぐったりと宙に浮くように浮遊していた。操縦桿から力が抜けて機体を静止できないとそうなる。パイロットが気絶した証拠だった。
ラー・ヤーク内でもオペレーターや操舵手、機関士、整備士など机や床に倒れていた。
ハヤトは椅子の肘にもたれかかり、ブライトはハヤトの椅子の背もたれを掴む様に堪えていた。
ブライトが隣を見ると、ベルトーチカ、ミハルとその場に倒れていた。
ハヤトは苦い顔をして、フロンタルのジオングを見据えていた。
「化け物め・・・」
ハヤトはそう呟くとブライトが周囲の気絶するスタッフを気付けしに周り始めた。
シロッコは周囲の状態を冷静に把握し、シャアに話し掛けた。
「シャア、このままでは大軍の優位性が失われる。それでも奴らの火力は圧倒的に我々よりも見た目少ない」
シャアは頷く。現状残る戦力で可能ならば短期決戦を挑むべきだと誘っていた。しかし得体の知れないフロンタルの本当の火力に疑問が残っていた。
「奴の力は底が知れないものがあるが見た目では結論付いている」
「なら、仕掛けるか」
シロッコが再びシャアを誘う。シャアがアムロに同意を求める。
「アムロ、最早一刻の猶予も元よりない。行くぞ」
「ああ、それをしにここに来たんだからな」
アムロは自身のライフルを上に掲げた。周りの者がそれに同調した。ゆっくりとその照準をフロンタルらに向けた。向けられたフロンタルは顔を引き締めた。クシャトリアに乗る、クスコは唾を飲み込み毛を逆立てていた。
「いいねえ、この緊張感。後れを取るなよ、マリオン」
声を掛けられたマリオンも目の前の多数の意思を受け止めて緊張していた。
「わ・・・わかっている・・・けど、凄すぎる」
武者震いというものがマリオンを襲っていた。フロンタルはクローン混成部隊含めても約100機も居ない。片やアムロら混成艦隊は艦船だけで数百隻、そしてモビルスーツにおいては数千と下らない。
その砲火が一点集中でこちらに目がけてくる。普通ならば一瞬で消し飛ぶ。
フロンタルはアムロたちに告げた。
「ここより先は誰も読み切れない戦いだ。覚悟をしておくんだな。パンドラボックスの力を見せてやろう」
アムロが引き金を引くと皆が一斉に砲火を放つ。向かう先は勿論フロンタルらの部隊。
フロンタルのジオングのより幾つかの部品が後背周囲をリング状に囲む。
「パンドラの箱とは、その中に唯一の希望という名もある。何故、希望が唯一か思ったことはないか?」
フロンタルは意味不明な問いかけをアムロらにしてきていた。
「それは・・・世のほとんどが絶望に満ち溢れているからだよ」
サイコシャード発生装置と呼ぶリング状のサイコフレームより宙域を侵食する光が発生した。
それがありったけのアムロらの一点集中砲火を四散させた。
「存在確率を変化させる力だ。どこぞの正義の味方がみんなでやれば何でもできる、そんな芸当な技であるがな」
その光が今度は物理的にロンド・ベル、ネオジオンらのモビルスーツを自壊させていた。
次々と爆破四散していく友軍を見て、ジェガンに乗るカイが戦慄した。
「ば、化け物か!」
その光に飲まれそうになっていたリ・ガズィを見かけて、カイはライフルを傍に放射した。
「そこのモビルスーツ!気をしっかり持て!」
リ・ガズィに乗っていたケーラが目が虚ろになっていたが、カイの刺激により我に返った。
「はっ!・・・くそっ、私としたことが・・・」
その隣にもう一機のリ・ガズィがケーラに寄った。
「おいおい、あんないちジャーナリストに助けてもらってどうするの?」
スレッガーだった。ケーラは悪態を付く。
「フン、この借りはあのフロンタルってやつに返してやるよ」
その様子をモニターでアストナージが見ていた。
「あいつ・・・危なっかしい」
アストナージはホッと胸をなでおろしていた。それをミリイとルーが見ていた。
「アストナージさん、ケーラさん一筋ですねえ」
そうミリイが言うとルーが首を傾げた。
「あんなメカオタクのどこがケーラさんのような凛とした女性が惚れたのかわからん」
ミリイはそれを聞いてフフッと笑った。
「ルーはこれからなのよ」
「な・・何よそれー!」
ミリイの大人びた言い回しにルーが不満だった。
フロンタルの放つ光はモビルスーツのみならず艦船にも影響が出ていた。
レウルーラの司令席に座るナナイがオペレーターからの報告に頭を抱えていた。
「前衛のエンドラ級、ムサカ級艦30隻余りが航行不能です」
ナナイが隣に座る艦長のライルを見る。
「艦長!一旦距離を」
「ダメだ。アムロらニュータイプが敷いたフィールドから外には出れん。フロンタルの放つサイコウェーブに耐えるしかない」
ナナイは椅子の手もたれを拳で叩く。ライルが話すフィールド外の様子は悲惨なものだった。
そのレウルーラにアクシズより通信が入った。メインモニターにマハラジャとガルマが映る。
「ナナイさんか、シャアは?」
ガルマがそう訊ねるとナナイは敬礼して答えた。
「最前線です、閣下」
「閣下はよせ。そうか、あいつらしいな」
今度はマハラジャがライル、ナナイに話し掛けてきた。
「我々はアクシズと共にそちらの宙域へ向かっている」
ナナイが首を振った。
「閣下、通常の行動では最早手の打ちにようがありません。ましてや通常での艦隊行動は・・・」
そのことについてガルマが答えた。
「どうやら、サイコミュの超常現象は確率に従いやすい傾向にあるようだと予測している」
「予測?・・・それは?」
「アクシズはその辺の舟よりかは壊れ難いということだ」
ナナイはガルマの言いたいことが単純ながらも理解し難かった。
「まさか、そんなことだけで?」
ガルマは肩をすくめた。
「意外にな。全艦艇をアクシズに収容したら、異常なことが無くなった。今のところだが・・・」
マハラジャがそのことについて補足した。
「それを提案してきたのはプルツーという女の子だった」
ナナイが初めて聞く名前だった。
「彼女はジオンで強化された人間だ」
そうマハラジャが言うとナナイは悲しい顔をした。
「そうですか・・・」
その後2,3やり取りをして、戦線を維持し、アクシズの合流を待つことにライルとナナイは決断した。
フロンタルはジオングに積む各砲座を使いこなしては自身の部隊の100倍あろうかというアムロらの艦隊を凌駕していた。
「フフ・・・圧倒的だな、パンドラボックスの力は」
フロンタルが愉悦に浸っている間に行動を取る者達がいた。
フロンタルは即座に己を戒めた。
ジオングの背後にジ・OとΖが回り込んでいた。互いにビームサーベルを翳して振り下ろそうとしていた。
「隙だらけだぞ!」
シロッコがそう叫びジオングの巨体の右上腕部から袈裟で斬り落とす。それをクスコがサーベルで間から防いだ。
「マスターをやらせないよ!」
それを見ていたカミーユが方向を変えて横からサーベルを打ち込んだ。
「フロンタル!」
今度はマリオンがそれに反応してカミーユのサーベルの軌道をファンネルの砲火を浴びせた。
「私がお前の相手をしてあげるよ」
フロンタルは背後のプレッシャーに押されて、ジオングを前に動かした。その隙間をクスコとマリオンが守るように埋めた。
フロンタルは自分に毒ついた。
「これはとんだ権威主義に自分が陥っていたようだ」
そう言うと、今度は目の前に無数のファンネル群がフロンタルを狙っていた。
フロンタルはそれにファンネルで対抗していた。
それらのファンネルはアムロのフィン・ファンネルとシャアのファンネルだった。
周囲のクローン部隊のクシャトリアがフロンタルを守ろうとアムロとシャアに近寄るが、
それらをギラドーガ、ギラズール、ジェガンらが立ち憚り、彼らに応戦していた。
その陣頭に立つのが、ギラドーガのランバ・ラルとノイエ・ジールのアナベル・ガトー、ジェリドのバウンド・ドッグだった。
「フッ、世の中は不思議なものよのう」
ラルがそう呟くと、ガトーが頷く。
「全く持って然り。無駄に散らす事無く稀有な体験に巡り合えたことに幸運だと思う」
そうガトーが漏らすと、ジェリドが2人を挑発した。
「おい、おっさんら!踏ん張りどころだから後れを取るんじゃないぞ!」
ジェリドが先陣を切って、クローン部隊へ攻撃を仕掛けた。ライフルで牽制しながら接近戦に持ち込みクローで1機のクシャトリアを捉えた。
「もらったぜ!・・・何っ!」
勝機が最高の油断だった。討ち取り目前のクシャトリアと自身の後背に別のクシャトリアが自分を討ち取ろうとしていた。
「(避け切れん・・・)」
ジェリドは死を覚悟した。そして目の前のクシャトリアをクローで貫き討ち取った。しかしジェリドは生きていた。後ろを振り向くとサーベルで貫かれたクシャトリアがいた。ラルのギラドーガがその後背に居て、クシャトリアを討ち取っていた。
「そうだな。遅れたが若造の命を拾えたわ」
ラルがそうぼやくとラルの隣に別のクシャトリアが現れた。ラルが横目に見たがすぐさま砲撃でそのクシャトリアは四散した。ガトーの砲撃だった。
「貴公もですよ、武人の極みたる貴方が」
ラルは鼻で笑った。
「フン、お前のサポートも織り込んでおるわガトーよ」
ガトーも笑い、ジェリドに話し掛けた。
「お互いこんな関係に成り行きでなったのだ。共同戦線でやる事が本道だろう」
ジェリドは頷き、自分の未熟さを恥じた。
「分かった。助力感謝します」
それから3名が部隊を率い、連携してクローン部隊を撃退していった。
その間もフロンタルはジオングより光を周囲に放ち続けていた。その都度数隻の艦船が航行不能に陥り
モビルスーツが謎の爆発で四散していった。
アムロはサイコフィールドを展開して防ぎつつ交戦していた。他のモビルスーツもサイコフィールドを展開しながら交戦をしていた。
アムロはジオングがこうも自分たちに対抗しているところを見て安堵した。攻撃されると撃破される可能性があるからだ。つまりフロンタルは倒せるということだ。
「オレたちで十分やれる」
シロッコはクスコ、カミーユはマリオンと戦っていた。周囲のサポートもあり、アムロ、シャア、ララァは3機で直接フロンタルのジオングへ攻撃を仕掛けることができた。
フロンタルのジオングは3人の攻撃に応戦する。その火力は3機を持ってして圧倒的に凌駕していた。
大小様々なメガ粒子砲とファンネル、ミサイルポットなどなど、直撃で終いになるような武器をジオングは有していた。
ビームを撃ち込むとI・フィールドでかき消され、近距離でバズーカを放つとサイコフィールドで防がれる。サーベルで斬り込むと巨大なマニュピレーターの大振りでモビルスーツごと薙ぎ払われる。
当たれば粉砕級のジオングの攻撃だが、3人共紙一重で躱し続けていた。そうしている間に友軍が次々と周囲のクローン部隊を撃破してはジオングに攻撃を仕掛けてきていた。
ジオングはI・フィールドとサイコフィールドの2重展開で四方八方より砲撃を受けていたが、いなしていた。しかしその攻撃の反動は直接フロンタルへと通じていた。
「ぬう・・・」
フロンタル自身には既に打撃というものは無縁な体と化していたが、コックピット内の振動は操縦桿を握る上で、足元のペダル操作の上で、困難を極めていた。
それを見たシャアは勝機だと感じた。
「動きが鈍った。行けるぞ!」
サザビーの胴体部にあるメガ粒子砲をジオングが反動でアンバランスでのけぞったところに更に追い打ちをかけた。
「何と!」
フロンタルは叫び、ジオングが宙に後転した。その後背をアムロ、シャア、ララァはサーベルで攻撃を仕掛けた。
「やれる!」
「いけるわ!」
「くらえ!フロンタル!」
3人共ジオングの分厚い後背部にサーベルを立て、そして3様に別角度へ切り裂いた。
その攻撃にジオングの後背部が爆発した。
「うぐっ・・・」
フロンタルは大きな振動をコックピットに受けて、ジオングの態勢を修正しようとしていた。
その間もジオングのファンネルやサイコシャード装置の力は衰えを知らなかった。
アムロ、シャア、ララァ共に回避行動を取っては次の攻撃の隙を見つけようとしていた。
フロンタルは何とか態勢を整え、全体の宙域の様子に気を配った。
「・・・分が悪い。流石に・・・か・・・」
このままでは敗色濃厚だと感じたフロンタルは宙に浮く、要塞ゼウスを一目見た。
「アレの力を使うか。しかし、パンドラボックスの力を解放せねばならない」
フロンタルは一抹の不安を感じていた。しかしそれに苦笑していた。
「ックックック・・・何故不安と感じるのだ。私にそんな意識自体無用の長物なのにな」
そう覚悟を決めて、フロンタルはジオングの中にあるシナンジュの胸部に内蔵されているパンドラボックスにアクセスした。
* パンドラボックス内
メシアは1つ1つ黒い糸の結び目を丁寧に解いていた。
しかしながらキリがない。それでも一つの結び目の特異点たるものに当たれば
自身の<理>の力を行使できるのにと心の中でぼやいていた。
すると、周囲が急に明るくなった。その眩しさにメシアは手で目を隠した。
「何事なの!」
数秒後、その眩しさに慣れたメシアはゆっくりと手をどけた。すると正面に金髪の若い男性が
椅子に座り、足を組んでいた。そしてその男性がメシアに語り掛けた。
「やあ、ララァ。やっと会えたね」
その微笑みにより、メシアが慟哭しその場に崩れた。
「ああ・・・シャア、何てことに・・・」
メシアの姿にシャアが笑っていた。
「ハッハッハ、どうしたというのだ?とても悲しんでいるようだが・・・」
メシアは涙をぬぐい、その場に立ち上がった。そして片手をシャアに翳し、横に払った。すると目の前の眩い光が一瞬で消えた。漆黒の闇がその場を覆い尽くした。
「私にはまやかしは通用しません。貴方は貴方のせいでないが、この世の穢れを貴方は受けすぎてしまった。取返しが付かない程に・・・」
シャアは今度は静かに笑う。
「ックックック、ならどうする?ララァ」
メシアはゆっくりと近付き、シャアの目の前に立った。
「貴方と共に償います。この世界の外側で」
メシアはシャアに触れると、凄まじい力の奔流が2人を取り囲んだ。シャアは周囲を見渡した。
「ほう、ララァ、君の力だね」
「そう、貴方が貴方である為。それを願い届ける力よ」
「成程。君が世界を調和する立場のものか。サイアムから聞いていた」
メシアはシャアの話を無視してシャアに力を注ごうとした。
シャアは立ち上がり、ララァの手を掴んだ。
「そうはやらせんよ。私には世界の意思を伝える役目がある」
メシアはシャアを睨んだ。シャアの掴んだ手から光がシャアを包み込んでいく。
「貴方のするべきことはしてはならないことです。その為に私がいて、あなたを止めます」
メシアから放つ光に強さが増す。シャアがその光を忌み嫌うよう後ろへたじろぐ。
「う・・・うおおおおおおおおおおお・・・・」
シャアが雄たけびを上げた。メシアはシャアが自分の力に抵抗できず苦しんでいることが分かった。
メシアはそのままシャアを光の中で消失させようとした。
「貴方が本来いるべき場所へ私が誘います。後でアムロと共に往きます」
シャアの存在が徐々に薄れてきていた。メシアは間に合ったと思った。自分の力が及ぶことに安堵していた。
が、シャアは左手を翳した途端、周囲が凪のような静けさに戻った。それにメシアは驚愕した。
「な、何故・・・」
「それは困るのだ。世界の総意は滅びにあるのだからな」
メシアはシャアの穢れが最早自分の及ぶ範囲を凌駕していたことに絶望を感じていた。
自分の力ではこれ以上、世界の均衡を保つことができないと。
「世界はバランスで出来ているとね。必ずや私のやることの反作用が出てくると。サイアムの予言だ。それがお前だった」
メシアは後ろに一歩下がる。
「力及ばずですか・・・」
シャアが笑みを浮かべた。
「そのようだな。だが、喜ばしいことだ。反作用で出てきたお前を凌駕する程の力が私にあることを。目的の達成は近い」
シャアがメシアの足元を見ると、メシアを囲うように円が足元に現れた。
「逝くがよい、ララァ」
メシアの足元から緑白い閃光が急流で立ち昇り、メシアを焼き尽くすようだった。
「ああああああああああああああああああああああ!!!!!」
メシアが咆哮を上げた。断末魔だった。シャアが額に手をやった。
「・・・まあ、賭けだったな。ゼウスというハードウェアの増幅が私の追い風となった。当初は充分私を浄化させる力を持ち合わせていたが、私がそれで上回っていた。最も」
シャアは目の前で焼失したメシアの空間を見た。
「外側の私が居る限り内側で消えようが、世界の調律するものが消えて世界が壊れようが、この怨念が既に世界を壊しつつ食い尽くしている」
シャアは立ち上がると、出で立ちが頭から徐々にフロンタルと同じようなマスク付きのノーマルスーツへと変わっていった。
「アムロ・・・お前を感じるぞ」
シャアはここに居る事がアムロの嫌がらせだと長い間考えた末出した結論だった。それはただシャアがそう思っただけで実際のところは不明だった。
本来はアクシズの落下を見届けて、そしてアムロと共に燃え尽きる。それで終わるはずだった。だが、その結末も知らずに昔に戻っている。何をやり直すのかとシャアは困惑していた。
何も知らずにサイアムに調整され、今は世界の怨念をすべてこの身に受けて世界を壊すことが目的となっていた。アムロへの執着は消えていなかったが、ララァに関しての想いが全くなかった。
それがシャアの救えない、壊れた心。
* 戦闘宙域
ジオングのサイコシャード装置の光の波が宙域を濁流のように渦を巻き始めた。それに呼応して傍にある要塞ゼウスも光り輝き、まるで太陽のように一瞬周囲へ発光を出した。
全員が手で目を覆う。その光が落ち着くと、宇宙の色が様々な混濁した色に変化していた。
アムロは周りを見た。シャアのサザビー、ララァのユニコーン、Zとジ・O、それと戦うクシャトリア2機、そして要塞ゼウス、それらは可動していたが、それ以外がまるで時が止まったように動いていない。
アムロは通信でラー・ヤークに連絡を入れたが、不通だった。
「一体どうなっている」
アムロは時計を見た。すると時間を刻んでいなかった。
同時でシャア、ララァ、カミーユ、シロッコと世界が時を止めたことに震撼していた。
カミーユとシロッコだけはそんな余裕もなく、マリオンとクスコとの戦いに集中していた。
ジオングのフロンタルは周囲を見渡し、不思議な想いでいた。
「・・・予想だにしていなことが起きるもんだ。まさか世界が時を刻むのを止めるとは・・・」
フロンタルがそう呟くと、内なる声がフロンタルに話し掛けてきた。
「サイコミュの、人の総意が世界の活動を停止させた。この中で動けるものを排除すればこの世界は永遠に時を刻むことなく次元を彷徨うだろう」
フロンタルはそう聞くと、笑みを浮かべた。
「成程。あとは達成するにアムロらを片づけるだけ」
フロンタルはジオングの全ての砲座をアムロ、シャア、ララァへ向けた。3人共その攻撃に身構えていた。
「あがなえるなら、あがなうがよい」
フロンタルは全方位から間髪なく砲撃を加えた。
アムロはライフルとフィン・ファンネルで応戦しながらも紙一重で避けていた。ララァはサイコフィールドを展開し、フロンタルのファンネルをサーベルで薙ぎ払い、シャアはアムロと同様だった。
しかし3人共、動きと疲労が見え、機体所々に掠り傷が付いてきた。フロンタルは頷いた。
「限界が見える。そこだな!」
フロンタルはジオングを急発進させてマニュピレーターでユニコーンの左足を捕まえた。
「きゃあ!」
ララァはコックピットの激震に叫んだ。それを見たシャアのサザビーがサーベルでそのジオングの腕に攻撃を仕掛けた。
「させんよ!」
しかしその攻撃はジオングのファンネルによって遮られ、その後ユニコーンの足は脆くも捥がれた。
ララァは少し距離を取り、態勢を立て直す。そのララァは様子を見て危機感を覚えた。
「まずいわね・・・」
ユニコーンにサザビーが寄った。
「大丈夫か、ララァ」
「ええ、やられたのは機体の足。私じゃない」
そう会話ができる若干の余裕があるのは、アムロがフロンタルに猛攻を掛けていたからだった。
2人はその動きを見て、驚いていた。フロンタルの動きのひとつ先を行っている様だった。
「アムロ、彼はスペシャルだ」
シャアがそう言うと、ララァが頷く。
「ええ、元々こちらの人間ではないんですもの。<理>と体感し、体現しているもの」
「彼には自覚がない」
「そうですね。自分の力なんて自分では中々測り知ることができませんから」
「確かにな」
そう2人で話し合っている間も、攻撃に効率的なポイントを探していた。
アムロは今までより更に上にいく動きが出来ていることが戦っているうちに自覚してきたが、理由は考えなかった。今、命のやり取りとしているからに他ならない。
しかし、疲労の限界も感じていた。その為焦りもあった。
「今一歩・・・オレにできることを!」
アムロはガンダムを自分が感じる危険水位のエリアに踏み出して、ジオングに肉薄した。そしてサーベルでジオングの胸元を斬り裂いた。
ジオングの中央が爆破炸裂した。
「やったか!」
アムロが手ごたえを確認した、その気持ちの緩みにフロンタルは見逃さなかった。
ジオングの左腕が伸びて、ガンダムを大きな手で掴み握りしめた。
「しまった!・・・グワッ!」
アムロはコックピット内の激しい振動に悲鳴を上げる。操縦桿を握り直して、握り潰すジオングの手に逆らうようにガンダムの手で反発する。
フロンタルはそれを見て、アムロに嘆息して話し掛けた。
「ふう、もうこれまでだな。アムロ・レイ」
するとガンダムからサイコフレームの共振がさらに起こり、ジオングの手を押しのけようとしていた。
「ふざけるな!こんなものでオレたちの意思が、この世界が潰されてたまるか!」
シャアとララァはその動きをみて感嘆しながらも自身らアムロを救援すべく近寄ろうとしたが、
ジオングの無数のファンネルが往く手を遮っていた。
「お前の力は認めよう、だが」
アムロの力も空しく、また握り潰される作用が勝り始めていた。
「世界の怨念は、お前の<理>よりも上のようだ」
ララァはジオングに流れ込んでくる力を戦いながらも見ていた。ゼウスと呼ばれる球体の要塞から何かがジオングに作用していた。
「シャア、あれが!」
ララァが叫ぶ。シャアもララァが言う、ジオングの力が増幅される根源に気が付いた。
「ああ、だがこの距離であのデカブツを私らでどうにもできん」
そして格闘の末、シャアとララァはアムロへの救援ルートを何とかこじ開けた。
「あの手を2人で斬り裂くぞ」
「はい!」
近寄ろうとする2人をモニターでフロンタルは捕捉していた。
「ふむ」
フロンタルはジオングを自動制御に切り替えて、中央ハッチを開いて、シナンジュで外に飛び出した。
その動きに2人とも虚をつかれた。
「なっ!」
「えっ!」
シャアとララァは真っすぐアムロのガンダムへ近寄っていた為、シナンジュの動き、攻撃に意識がなかった。結果、サザビーのサーベルを持つ右腕とユニコーンのサーベルと持つ左手が一瞬でフロンタルのサーベル捌きで切断された。
その攻撃にシャアとララァは飛びのいた。フロンタルは静かに笑っていた。
「これで想定のことは全て片付いた。元々、こうしておけば確実にアムロを殺れたのだが・・・」
フロンタルはサーベルがアムロのガンダムに向けた。
「こう、お前たちが飛んでくる可能性もあったからな。より、確実にだ」
そうフロンタルが話すと、事態が再び急転した。周囲の妙な雰囲気が一瞬で解けて、通常の宇宙空間に戻っていた。
4人共驚愕していた。その中でフロンタルがいち早く事態を察していた。というよりもフロンタルにしか分からなかった。
フロンタルはゼウスを一目見て言った。
「・・・マイ・ロード・・・サイアム・ビストが逝ったか」
フロンタルはここに来て苦い顔をした。そして今まで留まっていたゼウスが何故か発進した。
「ゼウスが動く?誰が。いや、どこに?」
フロンタルは方角を見た。地球に向かっているようだった。
「何故、地球に?あんなものが大気圏で燃え尽きない」
そう心配している暇はフロンタルには与えられなかった。通常の空間に戻ってしまったため、世界を混乱させる宇宙潮流はあるものの、世界が再び動き始めた。
その結果、多くの艦船、モビルスーツが動き出し、フロンタルらへ攻撃を仕掛けてきた。
それでもサイコシャード装置は健在で、フロンタルへの攻撃は全て弾かれていた。
アムロはこの状況変化を好転と思い、再び力をガンダムに注いだ。
「これで、どうだ!」
すると今度こそはジオングの手が強引に引き剥がされて、その作用で手が粉々に爆発した。
そして間髪なく、フロンタルのシナンジュへ襲い掛かった。
「フル・フロンタル!」
ガンダムのサーベルがシナンジュへ振り下ろされる。それをシナンジュがサーベルで受け止めていた。
「ぬう!」
フロンタルは力でサーベルをいなした。その後もアムロのサーベルでも猛攻が止まらなかった。
10数合サーベルを交わし、シナンジュが巨大なジオングの機体に押しやられた。そしてガンダムがシナンジュのサーベルを手からはじいて、喉元をサーベルを持たない手で掴んだ。
「これで、終わりだ」
アムロがそう宣言すると、フロンタルが答えた。
「どうかな?」
ガンダムの振りかざすサーベルの持ち手をジオングのファンネルが攻撃してサーベルを粉砕した。
「ぐっ!」
アムロは狙い撃ちにされると思い、距離を取った。そしてフロンタルのシナンジュを見た。
その背後に凄まじいプレッシャーを感じた。それはアムロが知っている宿敵の念だった。
「・・・まさか、シャア!」
通信で聞こえたアムロの声にサザビーのシャアが反応した。それに対してララァが説明を加えた。
「貴方のことではありません。彼の本当の宿敵と呼ばれた男のことです」
シャアはララァの通信を聞いて、ユニコーンを一目見て、そしてアムロを見た。
「そうか、因縁とは凄まじいものだな。私でなくて本当に良かった」
シャアの本音だった。1人の男の念が世界を破壊するような力を得る、シャアは事情は知らないが、アムロが感じる怨念はシャアでもおぞましく、そして破壊的な力と理解した。
フロンタルは分離したジオングをまるでサイコミュユニットの如く操り、カラバ、ロンド・ベル、ネオジオン連合軍へぶつけた。そして当人はアムロへ襲い掛かった。
シナンジュのサーベルをガンダムのサーベルで受ける。それを再び数合重ねた。そしてフロンタルがアムロへ言い放つ。
「ふ・・・フハハハハ、わかるぞ。私には、アムロ・レイへの恨み、怨念が」
シナンジュの出力が増していく。受けるガンダムが後ろへたじろぐ。
「うわっ・・・なんてパワーだ」
「アムロ、貴様には3度も負けるわけにはいかん」
シナンジュのサーベルがガンダムの正中を捉える。しかし、アムロはガンダムを体を鮮やかにずらして、サーベルの打ち下ろしを避ける。その時に、掠めたガンダムの中央部が熱で溶けた。
アムロは一瞬、熱さを感じた。モニターが中心部分だけが焼けて黒くなる。
フロンタルはシナンジュのサーベルを打ち下ろした動きから両手でサーベルを持ちガンダムの胴体部目がけて斬り裂こうとした。
「これでお前を超える!」
「させるかー!」
ガンダムが前面側を急噴射した。その時にシナンジュの肩をガンダムの右手で掴んでいた。
その為、ガンダムがシナンジュの頭上に持ち上がった。しかし、シナンジュの肩を掴んでいた為、
ガンダムの右腕がシナンジュのサーベルの打ち抜きに切断された。
「ちぃ」
フロンタルが手ごたえが右腕一本であったことに悔しがった。その後、フロンタルは敗北を喫した。
アムロはシナンジュの打ち抜きに合わせて予備のサーベルで天頂からシナンジュの持つサーベルの両腕を切断した。
それに驚いたフロンタルはシナンジュを後ろへのけぞった。
「なんと!」
アムロは攻撃を更に続けた。そして精密だった。両足を斬り落とし、ジェネレーターのバックパックのホースを斬り開けた。これでシナンジュは可動不全に陥った。
「・・・また、負けか」
フロンタルは観念した。その声がアムロにも届いた。
「そうだ、お前の負けだ。だから」
「だから、何なんだというのだ」
フロンタルは毅然とした態度を取った。アムロは苛立った。
「お前が仕掛けた状況だろ!元に・・・」
「戻らんよ。誰にも戻せん。これはお前たちが歩んできた道の結果だ」
アムロは愕然とした。
「・・・何だって・・・」
傍で見ていたシャアとララァもフロンタルの言に言葉を失っていた。
アムロは辺りを見渡した。世界を混乱させる、この嫌な感じを解く方法はないのかと。
「全てはサイコミュによる怨念が世界を壊し続けている」
アムロがそう口にした。アムロは動けないシナンジュを見た。
「仮に原因がオレたちにしてもきっかけはお前、そしてパンドラボックスだ」
アムロがそう言うと、フロンタルが肯定した。
「パンドラボックスは怨念を蓄えるに理想なハードディスクだ」
アムロはガンダムの手をシナンジュへ当てた。するとフロンタルのシナンジュのシステムがダウンした。それにフロンタルが驚く。
「何だ、何をしたんだアムロ」
アムロはガンダムを介してシナンジュに内蔵されているパンドラボックスに触れた。
今なら分かる。そのパンドラボックスについて。パンドラボックスは人の思念を集めるに適したハードディスク。その思念を集めるに適した材料。それは・・・
「ここに・・・いたんだな、シャア」
指導者は多くの人から敬意や畏怖、嫌悪の対象として意識される生き物である。
それに耐える人物こそ思念を受ける器として適していた。
アムロはパンドラボックスの力を逆に作用させた。すると、周囲の怨念が少しずつシナンジュへと集まってくるのがわかった。その怨念にアムロは苦い顔をしながら耐えていた。
「まだ少しだというのに・・・これ程とは。流石に壊れるな」
アムロはゆっくりとシナンジュをある方角へ共に向けていった。その行く先は地球だった。
それを見たシャアとララァはアムロを止めようとした。
「アムロ、お前!」
「いけません!それでは貴方は・・・」
アムロはその2人の言葉をある科白で断ち切った。
「・・・これはオレの仕事だ。お前たちには譲らん」
するとガンダムは加速して大気圏突入のコースを取った。
「νガンダムは伊達じゃない!」
そのガンダムの加速に呼応したかのようにパンドラボックスへ集まる怨念の量が一気に増大した。
まるで、天国へ行けなかった迷い子が唯一のルートを見つけたの如く、所謂「蜘蛛の糸」のようだった。
その様子をシャアが、ララァが見て、ララァがこう言った。
「本当は皆、恨みなんて抱きたくなかった」
シャアが続いて言った。
「迷える魂は昇華できる場所を求めて、彷徨っていたのだ」
アムロがシナンジュを押したまま突入した大気圏は七色に輝いていた。
その光をカミーユ、シロッコ、クスコ、マリオンと見ていた。4人共何故か戦いを止めていた。
「想定していた奇跡が起きたな」
シロッコがそう言うと、カミーユが同調した。
「ええ、アムロ中佐にしか成し得なかった」
クスコとマリオンはその光景を見て、フロンタルが敗北したことを悟り、武器を投げた。
「あーあ、マスター。やられちゃったか・・・」
クスコが落ち込む。マリオンも涙を拭っていた。
「そうですね。。。でも、これもマスターが望んでいたことかもしれません」
マリオンの意見にクスコが質問する。
「どういう意味よ?」
「マスターは、滅びを望んでいました。きっとそれはどんな形でも良かったのです」
クスコは複雑な顔をして首を傾げていた。
「ふう~ん。あたしらどうしたもんだろうかねえ~」
そうクスコが言うと、マリオンは少し笑った。
「そうですね。どうしましょうか?」
2人とも苦笑するしかなかった。
既に戦闘は終わっていた。ジオングもフロンタルのシナンジュの活動停止とパンドラボックスとのリンク切れで動かなくなり、ケーラやスレッガー、ジェリドらに撃破されていた。そしてアクシズも合流を果たしていた。
地球に突入するものが2つあった。
1つはジュドー等が乗ったゼウス。
もう1つはアムロとフロンタルのモビルスーツ。
その光景を皆が見つめていた。
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