転生とらぶる
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ペルソナ3
1909話
「美味っ! 何だこれ、美味っ!」
「うわ……これ、マジでアルマーが作ったのかよ」
「肉が少し足りない気がするが、それでも十分に美味い」
三馬鹿トリオが、釜玉うどんを貪るように食う。
最初は全員分のを皿に分けて出そうかと思ったのだが、誰がどのくらい食うのか分からなかったので、巨大なボウルに卵を絡めた状態のうどんを用意し、それをそれぞれ自分の皿に取って、鰹節、長ネギ、ミョウガ、海苔といった薬味を加えて、出汁醤油で味付けをして食べる事にした。
その結果が、現在の三馬鹿トリオの様子だった訳だ。
「前に食べた時も思ったけど、アクセルが作った料理は美味しいわね」
「私は初めて食べたが、あれだけの手間でこれ程の料理が出来るとは」
ゆかりと桐条の2人も、順平達程ではないしろ、十分美味そうに食っている。
「そこまで手が込んだ料理って訳じゃないんだけどな」
調理工程としては、うどんを茹でて、溶いた生卵に絡めて、出汁醤油を掛けただけという……なんともシンプルとしか言いようがない手順だ。
男の料理といった感じの、大ざっぱな料理と言ってもいい。
それこそ、桐条ならパーティとかでもっと手が込んだ料理を幾らでも食べられるだろうし、実際に食べて舌も肥えているだろうに。
何でそこまで驚くのやら。
そう思いながら、俺も自分用に確保した分を口に運ぶ。
うん、美味い。
順平達程に騒ぐような美味さではないと思うが、それでも十分に美味いと思うのは間違いない。
「食い終わったら、どうする? また勉強するのか? それとも、食ったところで解散って形にするか?」
「解散がいいと思いまーす」
即座にそう告げたのは順平。
宮本も出来ればそっちがいいといったような態度だ。
唯一友近だけは、桐条と一緒にいる時間が終わってしまうと、まだ勉強をしたいと反対意見を述べていた。
……お前、叶とか鳥海とかはどうしたんだ、一体。
そう思わないでもないが、元々女好きの友近にしてみれば、近くにいる女に引き寄せられるのだろう。
いやまぁ……友近も、俺には言われたくないだろうけど。
「ふむ、外も暗くなっている。いつまでもアルマーの部屋にいる訳にもいかないだろう。迷惑になる」
「元々1人暮らしなんだから、その辺は別に気にしなくてもいいんだけどな」
普通ならこういう時は、暗くなっているからゆかりや桐条を帰らせるのは物騒だと、そう言ってもおかしくはない。
だが、この場合ゆかりにしろ、桐条にしろ、その辺りの男を全く相手にしないだけの実力がある。
それこそ、何かとち狂って襲い掛かってきたような奴がいても、楽に撃退出来るのは間違いない。
勿論タルタロスで使っている武器を持ち歩いている訳じゃない以上、影時間と同じ戦闘力を発揮出来るとは思わないが。
ただ、最終手段としてはペルソナ召喚という手段もあるしな。
「そういう訳にもいかん。それに……」
一旦言葉を切った桐条だったが、何となくそれが何を意味しているのかは理解出来た。
恐らくこのままここにいれば、影時間での行動に何か悪影響が出ると、そう思ってしまったのだろう。
まぁ、それも間違いって訳じゃないとは思うけど。
「そうだな。寮の門限とかもあるだろうし。じゃあ、これを食い終わったら解散にするか」
その言葉に、友近だけが不服そうな表情を浮かべていた。
もっとも、その気持ちも分からないではない。
友近にとって、桐条と一緒にいられるような機会なんてのはそうそうないのだから。
何しろ、生徒会長にして桐条グループのお嬢様だ。
今でこそ、同じ高校に通っているという共通点があるが、卒業してしまえば友近と桐条の接点らしい接点はなくなってしまう。
……もっとも、それをいうのであれば友近がのめり込んでいる叶や鳥海といった教師だって、高校を卒業すれば接点はなくなってしまうのだが。
ともあれ、友近はもう少し勉強を……といった事を口にしたのだが、結局友近以外の全員が反対という事もあり、食べ終わったら解散となる。
「それにしても、今日1日だけで数日分は勉強した気がする」
「……伊織、君の場合は普段から勉強をしていないから、今更ながらに焦るのだ。勿論事情があるのは理解しているが……」
そこで一旦言葉を切ったのは、この場に友近と宮本という影時間に関係のない2人がいるからだろう。
実際順平は影時間の……そして俺との一件により、色々と複雑な状況になっていたのは間違いない。
だからといって、勉強が疎かになるのはどうかと思うが。
「ふむ、そうだな。分かった。幸い私と伊織は寮も同じだ。これから寮に帰ったら、しっかりと勉強を見てやろう」
「うげ!」
踏みつけられた蛙が思い浮かぶような悲鳴を口にする順平だったが、友近の方はそんな順平に対して羨ましそうな視線を向けていた。
友近にしてみれば、順平の待遇はこれ以上ない程に羨ましいのだろう。
「あ、じゃあ桐条先輩。俺も……」
「君は自分の寮に戻らなければならないだろう」
何とか言い募ろうとするものの、あっさりとシャットアウトされてしまう。
友近にクリティカルヒット! とかいう音声がどこかで流れた気がした。
まぁ、実際に友近はショックを受けてるようだから、決してそれは間違いではないのだろうが。
「それにしても……アルマーの作った料理は本当に美味いな」
「そうですね。もっとも、私が知ってる限りだと、アクセルのレパートリーは釜玉うどんくらいしかないですけど」
「それは……本当なのか?」
ゆかりの言葉に確認を求めるように尋ねてくる桐条に、頷きを返す。
「そうだな。もっとも、釜玉うどんは入れる具によってかなり味のバリエーションを作る事が出来る。今日はエリンギと水菜、鶏のササミだったが、レタスの千切りとか、舞茸とか、豚バラの薄切りとかな」
「……それは、栄養的にどうなんだ? この釜玉うどん以外では、どのような物を食べている?」
「あー、基本的には出来合の物が多いな。スーパーで売ってる弁当とか、パンとか、後は冷凍のチャーハンとか。そう言えば、最近の冷凍のチャーハンってかなり美味いんだよな。それこそ、下手な店で食うよりも美味いチャーハンとかあるし」
「そのような物ばかり食べていては、身体に悪いだろう」
どこか呆れたように言ってくる桐条。
まぁ、それは承知している。
俺の食生活は、決してバランスの良い食事という訳ではない。
いや、寧ろバランスが悪いと言い切ってもおかしくないだろう食事だ。
だが、そもそも俺は食事によって栄養を摂取はしていない。
正確には腹の中に入った瞬間に、食べ物は完全に分解されて魔力として身体に吸収されているので、栄養を摂取していないという表現は間違ってるのかもしれないが……ともあれ、そんな感じだ。
つまり、それこそ毎食3杯のラーメンを3食、365日続けても、健康には全く影響はないのだ。
……勿論、健康に影響はなくてもラーメンに飽きてしまうだろうから、そんな真似はしないだろうが。
ともあれ、俺が混沌精霊でそんな体質をしているという事を言う訳にもいかないので……
「ああ、その辺は大丈夫だ。一応サラダとかもきちんと買って食べてるし、サプリとかも飲んでるし」
取りあえず、そう言って誤魔化す事にする。
「いや、だが……分かった。いいだろう。ならば、これからアルマーの食事は私が用意しよう」
何をどう考えたらそうなったのか、急に桐条はそう言って俺の方を見てくる。
これに驚きの声を上げたのは、俺……でもなく、桐条とお近づきになりたい友近……でもなく、何故かゆかりだった。
「ええええええええええええっ! ちょっ、桐条先輩、いきなり何を言ってるんですか!?」
「む? 何か変か? アルマーにはしっかりと栄養を取って貰う必要があるのだが」
「いや、そうじゃなくてですね。その……あの……」
言葉に詰まるゆかりだったが、そんなゆかりをよそに、友近も黙ってはいられない。
「おいおい、アルマー。どうなってるんだ? 桐条先輩が食事を用意してくれるって……いつから桐条先輩の手料理を食べさせて貰えるような関係になったんだよ? この事をファンが知ったら、偉い事になるぞ? そして、俺は思い切り情報を流す気満々なんだが?」
友近にしてみれば、自分が何とかお近づきになろうとしていた桐条を、俺が横から掻っ攫っていった風に見えるのだろう。
どこか恨みがましい視線を俺に向けてくる。
「いや、別にそんなつもりはないんだけどな。……それに、桐条が食事を用意してくれるってのも、別に桐条の手料理って訳じゃないと思うぞ?」
こう言ってはなんだが、釜玉うどんを作っていた時の事を思えば、桐条はそこまで料理が得意なようには見えない。
いや、得意不得意以前に、自分で料理をやったことは殆どないように思える……というのが正直なところか。
そんな桐条が俺に食事を用意すると言っても、それは恐らく誰か他の奴に作らせた食事といったところだろう。
それこそ桐条グループであれば、健康に気を遣った、それでいて美味い料理を作れる料理人の1人や2人がいてもおかしくはない。
だが、そう言っても友近は納得しない。
いや、まさか桐条がそんな事を言うなんて思ってもみなかったんだろうし、それはそこまで不思議じゃないんだが。
「あー、この釜玉うどん美味いなぁ……」
そんな中、宮本は我関せずと釜玉うどんに舌鼓を打っている。
そうか、そこまで喜んで貰えたようで何よりだ。
ただ、出来ればお前の友人をどうにかして欲しいというのが、正直な気持ちなんだがな。
その辺り、どうなんだ?
「ちょっと、桐条先輩。だから、人前でそういう誤解されるような行動をするのはですね」
「うん? 誤解? 何かおかしいところがあったか?」
「あー、もう、本当に分かってない。ちょっとアクセル! あんたどうするつもりなのよ!」
桐条と話していたゆかりの視線が、改めてこちらに向けられる。
何か、下手な事を口にした場合、イオが召喚されそうな、そんな雰囲気だ。
「そう言われてもな。俺は別に、特にこれといった事は……」
正確には、食事を用意してくれるというのであれば非常に助かる。
桐条が用意してくれる食事なのだから、基本的に不味いという事はない筈だ。
そういう意味で、食い道楽とでも呼べる俺にとっては問題ない行為なのは間違いなかった。
だが、ゆかりはそんな俺に対して呆れの視線のみを向けてくる。
「あのね、アクセルも知ってるでしょ。桐条先輩は有名人なのよ。そんな人に食事を用意させるなんて真似をしたら、あんた下手したら近いうちにファンクラブの人に狙われかねないわよ」
そう言われると……そうなのか?
もっとも、だからといってそんな相手に狙われてもどうこうするなんて事はないから、問題はないと思うんだが。
「アクセルを襲撃しようものなら、それこそファンクラブの人達が入院して、騒ぎになるでしょ」
「アクセルの事じゃなくて、襲撃した方の心配をしてるのかよ!」
思わずといた様子で順平の突っ込みが入る。
うん、ナイス突っ込みだな。
順平は基本的にボケだと思ってたんだが、突っ込みも十分に出来るらしい。
いやまぁ、順平にしてみれば、そんな事を言われても嬉しくも何ともないだろうが。
「アルマーはそんなに強いのか? いや、運動神経がいいのは分かってたが。あー、でも真田先輩に勝ったんだから、そのくらいの強さはあってもおかしくないのか」
「……普段の行動を見てると、とてもじゃないけどそうは思えないんだがな」
宮本と友近のそんな話が聞こえてくるが、取りあえずそれはスルーしておく。
実際、俺の外見は真田みたいに迫力があったり、荒垣みたいに強面な訳ではないのだから。
そう考えれば、寧ろ友近のような感想を抱くのが一般的だろう。
「あー……取りあえず、このままだと色々と問題ありそうだから、食事の件はいいや」
ゆかりの視線も怖いしというのは、取りあえずその辺に置いておくとする。
「そうか? だが、アルマーの体調はアルマーだけの問題ではないだろう。であれば、多少なりとも助けたいと思うのだが」
「そう言ってくれるのは嬉しいんだけどな。桐条も余計な騒動を起こしたくはないだろ」
「余計な騒動?」
不思議そうに尋ねてくる桐条。
どうやら、自分が原因で嫉妬に狂ったファンクラブの者達が俺にちょっかいを出してくるとは、全く思いもよらないらしい。
いや、そもそも自分が人気のある女だというのも、理解しているのかどうか。
その辺、後でゆかりにしっかりと教えて貰った方がいいかもしれないな。
……色々な意味で。
そんな風に思いながら、取りあえず俺は桐条からの提案を断りつつ、残っている釜玉うどんを食べるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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