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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第七章 C.D.の計略
  うたわれるもの

絶鬼
悪を絶つと、そう自らつけた名。

お前はその名の通りに、敵を、悪鬼どもを滅してきたな。

そして、最後に自らの身すらをも投じて。



イブキの言葉が、絶鬼の耳へと溶け込んでいく。
嗚呼、この上品で、厳かで。しかし嫌みのない言葉は間違いなくあの男のものだ。


だが、しかし。
だからこそ、この言葉には虫唾が走るのだ。


「黙れ・・・貴様は、某を裏切った者・・・悪を絶たんとする我らを追い立て、その後には某の事すら歴史の中から抹消したのだからな・・・!!!」

呟きとも、絶叫とも取れる言葉を漏らす絶鬼。
音撃棒を握る手に、力が籠められる。

だが、イブキはそれに一切臆すことはなかった。



私はな、ゼッキ。友であるお前に、何もしてやることができなかった。
私はな、ゼッキ。お前という友を失いたくなかったのだ。

お前の出した考えは、自らを死地へと向かわせる手段だということを、私は知っていた。
お前はそれでも、断行すべきだと叫んでいたが、私はそれよりも、お前という友を失うことが怖かったのだ。

だからあの夜、お前を見つけ、行かぬように命じた。
たとえお前にどれだけの罵詈雑言を浴びせられようとも、たとえお前が怨もうとも、私はお前を止めたかったのだ。



だが、私はあの夜。
追っ手を振り切ろうと走るお前を見つけ、戻るように踏み出した足は止まってしまった。


お前の顔を見て、私は止まってしまったのだ。
嗚呼、この男は自分を恨んでいると。


私は眺めることしかできなかった。
お前に近づき、お前から罵倒されるのを恐れたのだ。

笑える話であろう。
お前を失わずに済むのなら、どのような言葉でも受け止めようと覚悟したというのに、私はお前を前にしてそれを恐れたのだ。

お前の前に出て、それを言われたら、私の想像は現実になる。
それが何より怖かった。


考えうるお前の拒絶、恨み、罵倒、怒り。
それらを超えるだけの強さが、私になかったのだ。



そうだ。私は弱かった。



あの席で、宗家にあるまじき発言をして弾かれるのが怖かった。
だから、私は何も言えなかった。

あの場で、お前に怒りの感情と恨みの形相で睨まれるのが怖かった。
だから、あの場で見ているしかできなかった。

あの後で、総てを宗家の手柄にすることに、口を出すのが怖かった。
だから、お前の記録を消されてしまった。



全て、私が弱かったせいだ。
私は鬼になりながらも、身体をいくら鍛えたところで、弱いままだったのだ。



私は、あの時すべきだったのは、お前を信じてともに行くことだった。


お前と共にあの地に向かい
お前と共にあの地で戦い
お前と共に、帰るべきだったのだ


今となってはすべてがもう遅い。
お前はすでに、土の下で眠りについてしまっていた。


嗚呼、ゼッキ。
私も数日のうちに、お前の元へと行くはずだ。

そうしたら、謝らせてくれ。
そして、今度こそ私と共にあの音を奏でてくれ。



「・・・・・・・」

一連のイブキの、文を読み上げる言葉を黙って聞く絶鬼。
だが、そこまで聞いて残念そうに笑った。

とてもとても悲しそうに。



「そうだな、イブキ。お主は鬼の宗家のくせに、戦うのを怖がっていたな。いつも、いつもだ。だがな。その文が真実という証拠が、どこにある」

叫ぶ。
お前たちは、多くのことを偽ってきた。

今更そのようなものを信じろと言うのか。
大方保管されていたものを引っ張り出したとか言うのだろうが、それがイブキのものだという証拠だってない。


絶鬼の叫び。
それは大気を叩き、まるで音撃のようにイブキを叩いた。

ビリビリとその振動に文が揺れ、ばさりとイブキの手から落ちる。



風に吹かれ、それが舞って絶鬼の足元へと舞い降りた。


フン、と鼻で笑う。何だこんなもの。
そう思い、踏みつけようと睨みつけた。


だが


少年だったのだ。
私は、昔からずっと。


その文字に、足が止まる。





お前は、私のことを少年のようだと言ったことがあったな。
すでに齢30に近い男に、何を言っているのかと思ったが。



そうだ。私は子供だった。

お前を失いたくないといい。
お前に嫌われたくないという。


そのどちらか片方しかとれぬというのに、私はどちらをも求めて、どちらをも失った莫迦な餓鬼だった。


お前がいなくなってから、総てが無為に感じた。


お前が里に来る前に戻った、などということではない。
それよりもなお、空虚に感じた。


まるで、何もかもが自分をすり抜け、全てが透明になってしまったかのようだった。




私は悩み――――そして、それを放棄した。
周囲の人間の通りに動いたのだ。

言われた通りにすればよい。


宗家として求められてきたことをこなし、そしてそれだけでいいと安堵していたのだ。
そう、まるで親に言われたことをしていればいい、子供のようにだ。




私は、あの時お前とともに旅立つべきだったのだ。

心の振るえる場所で
私しかできないことを求め

あの晴れた日に、お前と胸を張って戦いに向かえばよかったのだ。


宗家イブキではなく。
この私自身の、他の誰でもない自分の生き方で。



「イブキ・・・・なのか・・・・・?」

絶鬼の声から、険が落ちていく。

絶鬼の意識は、完全にこの山から離れていた。
200年の時を遡り、二人は何もかもを排した空間で向き合っていた。


「お前は・・・・私と共に行きたかったのか・・・・?」

「私はお前と共に行くべきだったのだ。行きたかったのだ。しかし、私の弱さが、お前に差し出す手を引かせてしまった」







『ゼッキ。私はいまだ、魔化魍と戦こうたことがない』

『はははは!!それは可笑しなことではないか。鬼を束ねる猛士の宗家たるお主が、あ奴らと戦ったことがないと申すか!』

『茶化すな。私にとっては大事なことなのだ』

『ふ~む。確かに、お主はやたらめったら大事にされておるからな』

『故に、魔化魍の姿も直接見たことがない。皆が命を賭けて戦こうておるのに、私はその力がありながらこうして何もできぬ』


『ぃよし!!あいわかった。某が「決戦」と言える戦いのときには、お主と共に行こう!』

『なに!?そ、そのような大きな戦にか!?』

『応ともよ。大切な戦だからこそ、一番の友に背を守ってもらいたいのだ。だからイブキ。その時までに、その臆病を直しておくがよい』

『お、臆病ではないわ!!実戦がないだけで、私は鬼として中堅以上の実力はある!!』

『ほ~う』


『ではその時が来たら、私はお前に付いて行くからな!』

『ならば、某はお主が付いてこれるようあの屋敷から引っ張り出してやろう』







「イブキ――――!!」

「ゼッキ。すまぬ。私の弱さが、お前を長く暗い土の下に押し込んだのだ」

「違う!!そうなったのは某の望みよ。そも、某こそが、お主を連れ出すべきだったのだ!!そうすれば、お主に死ぬまでこのような――――」

「もういいのだ。ゼッキ。今こうして話している私は、もしかしたらお前の幻想かもしれぬが――――私の心は、ようやっと悔いから覚めた。だからゼッキ。今度はお主も」



何かが、自分の身体を貫いた。
だが痛みはない。

背中から腹へと突き出した刃は、心地よい響きを全身に染み渡らせていき、彼の身体をゆっくりと分解し始めていた。



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イブキが現れ、手にした文を読み始めてから数分。


その手から紙が飛び、絶鬼がそれを見下ろすと彼の五体から力が抜けた。
同時に、段々と響鬼を拘束していた水牢が緩んでいった。


そして、バシャリとそれが解錠された瞬間に、響鬼は装甲声刃・アームドセイバーを取り出してその起動コードを叫んでいた。


「響鬼、装甲」

着地と同時に、響鬼の全身にディスクアニマルが装備されていきかれは装甲響鬼へと変身を遂げた。


そして、着地からそのまま地を蹴って跳躍。
音撃を纏った刃が、絶鬼の背後からその体を貫通させていた。



「ぉお・・・おおお・・・・」

「ハァっ、ハァっ、ハァっ!!!」

感極まったかのような声を漏らす絶鬼。
そしてその背後では、音撃の刃が伸びた装甲声刃を突き出す響鬼が、息を荒げて膝を着いていた。

絶鬼の身体が輝く。
同時に、伸びた音撃の刃が収縮していき、絶鬼の身体から抜けた。


「響鬼殿」

背を向けたまま、絶鬼が口を開く。
くるりと振り返る絶鬼。


だが、響鬼はそれに対して何一つとしてモーションを取らなかった。
とる必要など、感じられなかった。


「ご迷惑をお掛けした様子である。某、ようやっと己の未練を断ち切れそうである」

そう。
彼の怒りは、世に対するもの、人に対するものだけではなかったのだ。

あの時果たせなかった約束。
それを忘れてしまっていた、自分自身。

人は容易く「悪」に落ちると叫んだのは、もしかしたらそれを忘れていた自分のことを指していたのかもしれない。

あの夜、イブキを見つけながらもその顔が邪悪な笑みに見えたのは、自分の中の「鬼」がそう見せていただけのこと。



「ようやっと取り戻せた。響鬼殿には、感謝してしきれぬ。よくぞ某を止め続けてくださり申した」

「いやぁ・・・・・偉大な先輩に、汚名着せ続けるわけにはいかないっしょ」



「ふ・・・・当代のイブキ殿」

「はい」

「お主にも同様以上の感謝を。某が自分を取り戻せたのは、お主のおかげである」

「いやぁ。かなり奥の倉庫から引っ張り出してきましたからね、これ」


もちろん、そんな簡単な話ではないだろう。
だが、イブキは必死になって説得したのだ。

今の世界がこうあるのは、過去の彼の偉業によるものだと。
それを無視していいはずがない。我々は彼に大きな借りがある、と。


「変わったのだな。時代が」

そういって、空を見上げる絶鬼。
太陽はすでに傾き、周囲は明るいがうっすらと月も昇り始めている。

土の下より這い出た時には、あの時とは違い忌々しさを感じた月。
だが、今こうしてみると違った趣として、なかなかいいものだった。



「響鬼殿。去る前に一つ、告げねばならぬ」

「なんでしょーか?」

疲れていても、それを感じさせないライトな感じで聞き返す。
絶鬼は、何か思うところがあるようだ。

口を開く。



「此度の某の復活。何故にして他の異形なる者たちと時を同じにしたのか」

「・・・なんだって?」

「わからぬならそれでもよい、だが聞くのだ。某の復活は、ある存在に・・・・がブォッ!!!」

「な」

「え!?」


絶鬼は、何かを告げようとした。
なにか、大事なことをだ。


だがそれを告げる前に、彼の口からあふれ出した黒い泥がそれを阻んだ。

ただの吐瀉物ではない。
ましてや、このタイミングで音撃による崩壊がピークを迎えたわけでもない。



それは、何かの肉だった。
真っ黒に染まってなんだかわからないが、ウジウジとうごめいている何かの肉片だったのだ。


「絶鬼!!」

「響鬼さん、あれ!!!」


回り込み、響鬼のそばに寄ってきたイブキが、絶鬼を指さして叫ぶ。

そこは、絶鬼の腹部。
響鬼が確かにあけた、音撃刃による傷跡が、きれいさっぱり消えている・・・・



「おい!まだ絶鬼は倒してないのか?」

「ショウ!!」

「ここら辺の魔化魍はすでに倒したぞ・・・どうしたのだ?」

「これで最後です!!っと聖上、ご無事で!!」

「ハクオロさん!!トウカさん!!」


一体、目の前で何が起こっているのか。
状況を理解できない二人の前に、ショウとハクオロ、トウカが魔化魍を撃破して合流してきた。



「何やってんだ?絶鬼は倒したのか?あれ」

「いや、それが・・・・」

「まだなら早くしないとだぞ。一旦全殺ししたとはいえ、魔化魍はまた溢れ出るからな・・・・なにあれ?」

「やっと気づいたのか」

やってきたばかりのショウが、目の前の光景から推測できる程度の内容を放すが、どうやら状況はそれ以上であるらしい。
首を傾げ、絶鬼の様子を眺める。



「げふっ、グァ・・・ぁあああ!!」

「絶鬼!!」

絶鬼はもはや、音撃を喰らった時の心地よさを失っていた。

吐き出したあの黒い肉片は、まだ彼の体内からあふれ出ようとしているのかぼたぼたと落ちていく。
しかも、そこ以外からも溢れ出ようとしているのか、上半身を丸めた絶鬼の背中がぼこぼこと波打つ。


その絶鬼へと駆け寄り、肩を掴んで落ち着かせようとする響鬼。

ガシッ、と両肩を掴んで、何があったのかと叫ぶ。
しかしそこで、ハクオロの声が待ったをかけた。


「ゲァ・・・」

「おい絶鬼!!」

「はな・・・れ・・・・」

「響鬼殿!!ダメだ!!」

「え」

ブンッ、バチィッ!!

「グぁ・・・!!!」


ハクオロの言葉に思わず振り返る響鬼。
すると、振るわれた絶鬼の腕にブォンと身体が浮き、8メートルは吹き飛ばされてしまった。


「あだっ!!」

腰から落ちる響鬼だが、膝立ちになって体勢を戻す。

そしてギョッとする。
絶鬼の腕はすでに人の形にはなく、まるで触腕とでもいうべき細長いものになっていたのだから。


「グ・・・ごごご・・・うごゴゴゴゴがバラゴボゴボ・・・・・」

水中で溺れるような、嘔吐を続けているような。
そんな声を喉から発しながら、絶鬼の身体は徐々に吐き出す黒い肉片に包まれていった。

その中で、さらに背中から飛び出してきたそれが全身を覆う。

そこからの変化は劇的だった。
グチュグチュとそれがうごめいて、一気に膨張していったのだ。



それは元の絶鬼の大きさから、二メートルを超える肉塊と化し、さらに見上げるほどに大きくなった。



「これは・・・・?」

「これは!!!」

まったく同じ発音が二回。
響鬼のものと、ハクオロのものだ。

前者は疑問に満ち、そして後者は確信に満ちていた。

間違いない。
この感覚は間違いない。

あの形が物語っている。


見上げるほどに巨大化した肉塊が、次第次第に整えていくあの姿は、自分の知るアイツに違いない!!!


巨大な足。
まるで骨のような外殻の黒いそれは、前に三本の爪、踵に一本の爪が生えていた。

そこから延びる足首は足の大きさに比べると細く、太ももの黒い外殻を見るとまるで装甲であるかのようにも思えた。

蛹のような背中。
そして、前方に突き出したくちばしのような外殻は、後方に伸びる角まで大きなものだった。


そう、黒いのだ。
ここまでくれば、響鬼も威吹鬼もなんだかわかった。

威吹鬼など、すでに変身を済ませていた。


ただ、自分たちの知るものとは色が違う。

威吹鬼の視線が、ハクオロに向く。
そうだ。彼は白い。だが、奴は黒い。



ウィツァルネミテアとなったハクオロと、色を除けばまったくもって瓜二つの姿をしたそれを見上げて、響鬼も威吹鬼も絶句する。
ショウなど、唇を真一文字にしてそれを睨みつけていたほどだ。


そして、声を荒げ、唾が飛ぶのも憚らず、ハクオロがそれに向かって咆哮した。


「何のつもりだ。なぜ貴様が出てくるのだ!!!我が半身!!!」



現れた巨体は、ウィツァルネミテアであった。
ただ、ハクオロとはもはや別の存在だ。


元より一つの存在だったウィツァルネミテア。
神のごとき力を持ったウィツァルネミテアだが、その力を「恐れた者」と「悦んだ者」の二つの人格に分かれてそれぞれが自我を得た。

そのうちの一人が、「空蝉」ハクオロである。


そして、もう一人。
「半身」と言われるその存在は、ディーというオンカミヤリュー族の青年に憑依し、過去幾度となくハクオロの前に姿を現した。

歪んだ人類愛を持ち、戦いを糧として人間は進化、成長すると説き、散っていく命を仕方のない必要な犠牲として、戦いを求めた男。



戦いの末、彼はハクオロと再び同化し、そして仲間によって封印された。
その後、蒔風と「奴」との戦いの中でハクオロは復活、ディーの肉体は奴に利用されたのである。



そして、その肉体はWORLD LINKによって完全に滅びた―――――はずだった。

にも、関わらず。
今彼らの目の前に、もう一人のウィツァルネミテアが存在していた。


『私・・・は・・・・よみがえった・・・・・』

「ッ!!!!」


意識すら取り戻したのか。
黒いウィツァルネミテアは、口を動かすことなく、周囲にその声を振動させていた。


ついには太陽が沈み、月明かりがその肢体を輝かせる。
月光が、舐めるようにその黒い外殻を舐めていき、宵闇の中で輝く黒を美しく照らし出していた。



『滅ぼされてから、私は彷徨い続けた。この世界は、私の手によって更なる浄化をすべきなのだと。戦いこそが人を進化させる』

「お前は・・・・なおも戦いを振りまく気か!!」

気づけば、ハクオロの身体もまた、ウィツァルネミテアのものへと変貌していた。
遠くから、野鳥の鳴き声が聞こえてくる。



『この男は私とは別の世界の者。だが、一度弱ったところをつついてやれば、その肉体を得ることは容易』

「そのために、貴様はその男を蘇らせたというのか。その男の魂を、利用したのか!!!」

ガゴォ!!!


二対のウィツァルネミテアが取っ組み合う。

その轟音に、大気と大地が振動した。
直接当たったわけでもないのに、響鬼や威吹鬼、トウカはその場に立っていることすら困難なほどだ。


「クッ、聖上・・・まさか、また奴が出てくるとは・・・」

「絶鬼はせっかく気分が晴れたってのに、こんなのに利用されたってのはあんまりだろう!!!」



と、そこに押されて、ハクオロの足が後退してくる。

このままでは踏みつぶされる。
三人はその場から飛びのいて、大地の太鼓の上まで避難した。



押し込まれていたハクオロの腕が、渾身の力を発揮して黒ウィツァルネミテアの腕を引きちぎった。
それを放り棄て、さらに一撃を腹に叩き込む。

お互いに不死と言える存在。
だが、ハクオロが一人間としての寿命を得た今ならば、同位体である黒ウィツァルネミテアも殺すことは可能なはずだ。


しかし、ここで誤算なのは


『無駄だ。お前と私は、もはや違う』

契られた腕が、再生してきた。
見ると、ハクオロの放り棄てた腕が土塊となって分解消滅しているではないか。


そして再生してきた触腕に弾かれ、ハクオロの巨体が大きく飛ばされて地面に倒れる。



「奴の肉体は魔化魍と同じなんだ・・・・」

「あれだけデカいと、音撃で倒すしかないね」

「しかし、あれだけの巨大な身体にできるのですか!?」


問題はそこだ。
先日、強鬼がオトロシを打撃の音撃で撃破していたが、あれは正攻法ではない。

その時にも説明したが、やはり敵の全身にまんべんなく音撃を響かせられるのは管の音撃打と言える。
全身に鬼石を打ち込んで、それを一斉に振動させることで相手の身体に音撃を発動するのだ。



ならば、威吹鬼なら倒せるか?
答えは否だ。

威吹鬼がその鬼石の射程距離に近づこうものなら、踏みつぶされて終いだろう。
仮に全身に打ち込まれても、全身を一斉に響かせるには威吹鬼の力が足りない。

感じ取るに、あの黒ウィツァルネミテアの肉体の密度は相当なものだ。
通常の巨大魔化魍とは、音撃の浸透率は倍違うだろう。


ならば、響鬼か?
あれの打撃の音撃は、鬼の中でも最も強い。

しかし、爆ぜるのは肉体の四分の一程度だろう。
音撃打は、強い分その一点からある程度の範囲しか作用しない。


だったら




「俺らみんなでやるしかねぇ」

ドォオン!!と倒れながらも、猛攻を続けて行くハクオロの轟音をBGMに、ショウが彼らの前に降り立った。

その背後には、彼の使役獣三匹が。



「響鬼。最後までやり抜けるとしたら、お前しかいない」

そういって、ショウが渡したのは滅びずに残ったのであろう絶鬼の音撃棒と変身音叉。
それを受け取り、眺め、握りしめる響鬼。

そして迷いなく跳び上がり、ケルベロスの背に立つ。


「やるぞ!!!」

「はい!」

「ああ!!」


その言葉に、威吹鬼がサラマンダーに、トウカが迦楼羅に飛び乗った。
そして宙に立つショウが、指を鳴らして息を吐き出す。


「俺の不始末の後始末・・・みんな、すまない」

「なぁに。だからそれはいいっての」

「とにかく、今は倒しましょう」


ああ、とショウが頷き、そして睨む。


その視線に気づいたのか、黒ウィツァルネミテアがそちらを向いた。



『お前には感謝している。お前のおかげで、私はあの封印から抜け出せたのだからな』

そうだ。
俺が昔、ハクオロごとあいつを引っ張り出したんだ。

そして、その肉体を利用した。
だからアイツは今、こうして蘇ったのだ。


『そして今、私はもはや滅びぬ肉体を得た。貴様らでは私に倒せん。それを理解しろ!!!』

ギィィィイイ、ドンッッ!!!


ハクオロを突き飛ばし、口内に溜めた炎を巨大な炎弾として吐き出した黒ウィツァルネミテア。
だが、それに対してショウはゆっくりと魔導八天を取り出して嗤った。


「そうだな。じゃあここはこう返しておく」

ヒュ、シュカン―――――――!!!

「混ざりもんのお前さんに、オレ達を止められるわけないっしょ?」

ドォン!!!



真っ二つに切り裂かれた縁談が、後方に落ちて爆発する。
それを背に受け、ショウは射抜くかのように剣の切っ先を向けて宣言した。

「行くぜ。どうやら、神ってのはどうも俺の敵みたいだからな!!!」



ドッッ!!!



一斉に駆け出す、ショウと三獣。

それに合わせて、ハクオロが炎弾を吐き出して黒ウィツァルネミテアの視界を一瞬封じた。


『ヌゥッ!!』

爆炎の中から現れる黒ウィツァルネミテアは、さしたるダメージはないように見えた。
だが、焦げた顔面が再生していく間に彼は何かを感じ取った。


「ハァっ!!」

ドンドンドン!!と、威吹鬼の音撃管・烈風の先端から、共鳴して音撃を発する鬼石が次々にウィツァルネミテアの身体に埋め込まれていった。
だが、その肉体の大半は堅い外殻に覆われている。


それを切り裂くのは、トウカとショウだ。
次々に切り裂かれていく肉体はその場から再生するが、その間にそこへ鬼石が的確に撃ち込まれ、埋め込まれていく。


様々な部位を次々に斬られるため、黒ウィツァルネミテアは撃ち込まれていることにすら気づかない。
その中で、顔面がようやっと再生した。


ここ一面をまとめて焼くかと、口内に炎があふれてくる。
だが、その口をハクオロが抑えようと伸ばしてきた。

それを止めようと火炎放射を吐き出すも、ハクオロの手は止まらず上顎と下顎を掴み取った。


「閉じてろ!!」

『ぐゥブ!?』

吐き出すはずの炎が押さえつけられ、鼻や目からボシュウ!!と炎が噴き出す黒ウィツァルネミテア。
その肉体は前回以上の再生能力を得た代わりに、元が魔化魍ということもあって炎に弱いという特性まで得てしまっていたのだ。

とはいえ特別弱いわけでもなく、密度が濃いためただの炎ならばこんなにはならない。
だが、ウィツァルネミテアの炎というものは、ハクオロのもので「EARTH」の中で随一の高火力。

それと同等の炎ならば、焼けてしまうのも納得がいく。


黒煙を上げる、黒ウィツァルネミテアの左目と鼻孔。
だが、まだ生きていた右目がハクオロの腕を捉え、噛み千切ろうと顎を開いた。


が、そこに叩き込まれる響鬼の音撃棒。
真上から二本揃って叩き込まれたそれは、ケルベロスの降下速度と、そこから飛び降りた響鬼の速度、そして彼のパワーが重ね合って、一撃で黒ウィツァルネミテアの顎を叩き落とそうと襲い掛かった。


果たして、有効なのか。


響鬼のパワーは、実を言うとかなり高い。

パンチ力20t
キック力40t

この数値は、あくまでも基本的な記録の数値だ。
それも、紅でも装甲でもない、基本形態での。

だが、すでにこの時点で彼のこの力は


「タァッ!!」

ドドォッッ!!

『がブォッ!!!?』


仮面ライダークウガのアルティメット系を除き、最上位に位置するものである。



ドォン!!!

大地を震えさせ、顎から落ちていく黒ウィツァルネミテア。
うつ伏せに倒れ、バキバキに砕けた上顎が、下顎とズレて噛みあわされる。



「むぅ・・・こういうのは何ともおかしな感じがするものだが・・・・行くぞ、迦楼羅!!!」

「キュロロロロロロぉぉぉぉォオ!!!」

倒れ伏した黒ウィツァルネミテア。
それを好機とみて、トウカが迦楼羅へと指示を飛ばした。


一気に地面まで急降下し、黒ウィツァルネミテアの左肘へと突っ込んでいった。
そしてとんぼ返りで急上昇。

接したその一瞬で、トウカの斬撃は地面と一緒に黒ウィツァルネミテアの腕を切り落としていた。

ボゾボゾとその傷口から血のように土塊を漏らしていく黒ウィツァルネミテア。
だが、立ち上がった瞬間にショウの投げ放った魔導八天のうちの二本が、ひざ裏に刺さりガクンと地面に付いてしまう。


体勢を崩したそこに、ハクオロが飛び掛かっていって黒ウィツァルネミテアの首を脇で抱えた。
右腕を絡めて抑え込んだ首は逃げることを許されず、左腕の爪で殴られ続けた。

響鬼の一撃でひび割れていた顔面は、さらに砕かれてボロボロになっていく。



だが、逆にその拳に噛みついた黒ウィツァルネミテア。
このままいけば、手首から先を食いちぎれる。

しかしそこに飛び込んできたショウとトウカが、頬の筋肉の左右を切り裂いてダラリと顎が下げた。


ハクオロの拳は、そのだらしなく開いた口に向かって突っ込まれた。
その中で気味の悪い舌を掴み取り、強引に引きちぎって放り棄てた。


『ごぼぉ・・・・!!!』

「威吹鬼ィ!!!」

「はい!!これで・・・・いけます!!!」


サラマンダーに乗り、周囲を駆け巡っていた威吹鬼が黒ウィツァルネミテアの全身に鬼石を打ち込むことに成功。


準備はできたと叫び、響鬼がそれにこたえる。
音撃棒を振り上げ、さあ叩き込もうとした瞬間


『舐めるな!!!』

ドォッ!!と黒ウィツァルネミテアの全身から黒い煙のようなものが噴き出した。
それは実態を持っており、触手のように伸びると、向かってきた響鬼、止めようとしたハクオロ、更にはショウにトウカ、威吹鬼までをも三獣ごと縛り上げて拘束してしまう。


ギチリと締め上げるそれは、次第次第に各人の身体から力を奪っていく。


『私の目的を、邪魔はさせない・・・・今度こそだ。今度、こそ!!!』

ギパァ、と
各人を縛り上げる触手。その根元に口が現れ、その中に炎があふれ始めた。

このままでは全員が直撃だ。
だが、あのショウや響鬼の力をもってしても抜け出せないこの触手からはどうしても――――!!



「クソッ!!今からじゃ間に合わねぇ!!」

「うォォォオオオオお!!」

目の前でチャージされていく炎弾を防ごうと、口内に炎を溜めて吐き出すハクオロ。
だが、今度は自分の口が縛り上げられて閉じてしまい、炎が逆流してダメージを負ってしまう。

ここまで攻めて、万事休すか。


その炎弾が放たれる。
覚悟した瞬間、ビクンと黒ウィツァルネミテアの身体が停止した。


「なんだ・・・・?」

『ひ・・きどの・・・・響鬼殿!!!』

「その声・・・絶鬼か!?」


聞こえてきたのは、絶鬼の声。
先ほどからの黒ウィツァルネミテアの声のように、空間が振動して彼の声が聞こえてきたのだ。


『響鬼殿!!一瞬これなる化け物を、某が抑えまする!!その隙に、音撃の一撃を!!!』

「・・・・・わかった!!!」

絶鬼の提案に、少しだけ悩んで、しかし響鬼ははっきりと答えた。
その顔には―――はっきりと、絶鬼に対する信頼が表れていた。


『この世に悪在り!!しかして、某はそう。この世に生きる、悪ではない者たちのために悪を斬った!!!』

シュルリと、響鬼をケルベロスごと縛っていた触手がゆるむ。
それを見逃さず弾き、そこから脱出する響鬼とケルベロス。


地面に着地し、そして跳躍して音撃鼓・爆裂火炎鼓を投げ放った。


同時に、ケルベロスが響鬼とは反対側―――上空に向かって駆けた。
そしてグルンと真下を向き、溜めに溜めた炎弾を三つ首から放つ。


中心の炎弾は、黒ウィツァルネミテアの背中の甲羅に命中。
左右の炎弾は、そのまま左右に逸れていった。


だが、ここからだ。

命中した炎弾には、絶鬼の音撃鼓が仕込まれていた。
それは黒ウィツァルネミテアの背中で展開し、巨大化する。

左右にそれたそれぞれの炎弾には、一本ずつ絶鬼の音撃棒。
ロープで音撃鼓とつながれたそれは、グルンと黒ウィツァルネミテアの身体を回って背中で合流する。


『そう、某は人を守りたかったのだ!!そのために悪を斬ったのだ!!響鬼殿!!この世界を、頼みまする!!某の時代に成し得なかったことを、貴殿の代にて達成してくださりませ。そしてこの願いを、未来永劫!!為し続けてくだされ!!!』

『貴様・・・まだ意識が生きていたのか・・・・!!』

『某は鬼!!世の悪を絶つとした者である!!』

『・・・そうか。それも大したことのないものなのだな。貴様の中の憎しみは、その程度で薄まるものなのか』

『薄まってはおらぬよ。悪は許さぬ。その思いは、もはや呪いじみて某の中にある。それ故、某は此度このようなことをしでかしたのだ』

『では、薄まってないというのなら。なぜ奴らに加担するようなことを』



背中に回った音撃棒が、絶鬼の音撃鼓に当たる。
それと同時に、響鬼の音撃棒も、胸部に張り付けた火炎鼓に叩き込まれていき



『フハハハハハ!!完全懲悪。某は亡霊よ。過去より積み上げた怨嗟が滅ぼす。主らを滅ぼすのは、人間自身也!』

『これが・・・人の意志だというのか・・・・!!!』



「おぉぉぉおおお!!音撃打ッ!」

カカンッ!!

「激流爆裂」

グ―――ォッ!!

「強打怒涛の型ァッ!!」

ドゴドガダガンッッ!!!


背からの二撃、腹部からの二撃。

腹からのものは言うに及ばず。
背からの音撃も、ただ遠心力で振られたものだというにもかかわらず、それは雄弁に、その技の名に恥じまい威力を叩き出していた。



その上下真反対側から叩き込まれた二つの音撃が、黒ウィツァルネミテアの体内を反響していく。
さらには、撃ち込まれていた鬼石が音撃打に共鳴して全身で強烈に振動し始める。


肘や膝などの間接。
体中に刻まれまだ再生しきっていない切り傷。

そして、顔面の目から音撃の輝きの迸りを放ちながら、ガクガクと全身を振るわせて黒ウィツァルネミテアが崩壊していく。

その様子は、悪たる存在が消え去るには美しい光を発しており、まさしく浄化という言葉が合うものだった。


『グルゥゥゥああああああ!!!まさか・・・まさか、また再びこの私が負けるとはッ』

こうなれば、再び精神を切り離してまた新たな肉体を探すか。
だが、それをつかんで離さない絶鬼がいた。


『貴様放せ!!このままでは、私が消える。私が消えれば、人類は――――』

『言ったであろう某は亡霊。主は怨霊よ!!ならば光と共に浄化され、天に上り行くのが相応というもの!!』

『うぅぅううううう!!そうはァぁああああ、行くか!!!』


ゴ、ォオ!!!

魔化魍としての肉は音撃で消滅し、それを同化していた「分身」の意識もともに消滅しようとしていた。


だが、それを受け入れられない「分身」

一体それが何になるというのか。
断末魔の叫びとともに彼が襲い掛かったのは、すでに音撃を放ち終え着地した響鬼であった。



『ガぉぉぉおおおおおッ!!』

「アームドセイバー!!」


が、響鬼はそれを察知していたかのように、装甲声刃に自らの咆哮を当てていた。
それはそのままダイレクトに音撃へと変換され、炎のような迸りを以って刃を形成した。


長さにして、15メートルはあろうかという炎の刃となった装甲声刃。
そして、襲いくる黒ウィツァルネミテアに向かって、振り返りざまに刃を振り上げ、その体を逆袈裟に切り裂いた。



『グゥぁあああああ!!』

オォン、オォンオォン、オォン―――――!!!!



巨大な黒ウィツァルネミテアの身体を駆け巡る音撃。
そしてそれがピークに達し、その肉体全てを浸透しきって


「悪鬼、退 散」

ドォン――――――!!!



バラバラと落ち葉や土塊が降り落ち、触手に捕らわれていたハクオロやショウ、トウカ、威吹鬼が解放される。


カツーン、と
大地の太鼓の上に、絶鬼の音撃棒と音撃鼓が落ちた。


首だけの変身を解く響鬼。
絶鬼の音叉を鳴らし、太鼓の上のそれらと一緒に置いた。


見上げる。
月は綺麗だ。



そう、200年前とは違っているかもしれないけど。




これが、今の俺たちの月。






to be continued







仮面ライダー絶鬼

変身者のコードネームは「絶鬼」
本名を絶之清(ぜつのしん)という、元侍の鬼。

過去に発生した「オロチ現象」を沈めた鬼である。

元々は「勧善懲悪」を地で行く男だった。
だが正義かと言われればそれは違い、相手が悪である以上それが誰であろうと斬るような侍だった。
(盗みを働いた息子の腕を切り落としたこともある)

それを見て、彼の友人は「完全懲悪」などと言っていた。



森を進む中悪漢を斬り捨て、その流れる血の怨嗟から生まれた魔化魍にその場で襲われ瀕死になったところを当時の鬼に救われた。

魔化魍の存在を知った絶之清は、当初こそ人の悪意から生まれる魔化魍を断つにはやはり人を断つしかないという考えに至ったが、当時の公家の鬼「威吹鬼」に諭され、長らくともにいるうちに軟化していった。


今まで斬った人々を弔いながら、自身も魔化魍を倒すための鬼となる。

その実力は当代の鬼の中では最強ともいわれ、さらに上位の力(響鬼における「紅」に当たる)を習得している。



オロチ現象が発生し、以前より思いついていた「大地に音撃を叩き込む」方法を提案。
反対が多い中、一部の者の賛同を得て半ば強引に実行。

反対派の中には友である公家威吹鬼もいたが、彼個人としては賛成していた。
だが当時は戒律に厳しく、公家がそのような個人の意見を出すことは許されず、猛士という組織の代表としての発言しかなかった彼に、賛成意見を述べることはできなかった。


そして彼は少数で行ったにもかかわらず、自分以外の犠牲を出すことなくこれを鎮める。
後世に残る「オロチを鎮めるには公家の血の者が必要」とされるのは、元一介の侍であった男に救われたなどと伝えられては、公家の存在意義への疑問と権力の弱体化を恐れてのこと。

※現に、現代でのオロチ現象は公家ではない響鬼主導で沈めることができた。


大地の太鼓の外から、そしてそれだけではなく中からも音撃を響かせ、そのまま埋もれていき自身を音撃の塊として自分ごと封印。オロチ現象を鎮める。

だが数百年にわたる悪意の蓄積で、その人格が染まっていった。
そもそも悪寄りであった彼の正義感は、更生したとしても残っていたのである。

そして、短期間に大地の太鼓を刺激されたため、目覚め、数年間の眠りを経て復活。

使用音撃は打撃。属性は、鬼としては珍しい「水」。
火炎鼓を用いた音撃の型は「剛撃一破」「無想連打」「水波剛滅」「激流怒涛」

彼がオロチ現象を沈められたのは、地下水脈に音撃を叩き込むことができたから。



「某は絶鬼と申す者。貴殿も鬼であるか」

「人々の悪意は消えぬ。ならば、某はそれを断絶する」

「人は救いきれぬ・・・・悪は断じて許されぬ!!」


はたして、彼は悪鬼になってしまったのか。
人を滅ぼすという彼の眼には、悪意よりも哀れみの色が強かった。



「完全懲悪。某は亡霊よ。過去より積み上げた怨嗟が滅ぼす。主らを滅ぼすのは、人間自身也!」


 
 

 
後書き
響鬼編、終了!!!
うたわれるものとのコラボが、響鬼でどうしてもしたかった!!

にしてもしつこすぎるウィツァルネミテア(分身)
でもこれでやっと完全に消滅したはずです。



撃破された絶鬼。
しかし、その肉体を借りてウィツァルネミテアの半身「分身」が再生してしまった。

肉体を持たず、かつてはディーという青年の身体をのっとっていたそれにとって、悪意という弾いつの感情で構成された肉体は、乗っ取り操るのにまたとない獲物だったのだ。

途方もない「人類愛」で、今度こそすべてを浄化させようとする「分身」


しかし、魔化魍による悪気満ちたる肉体から解放され本来の人格を取りもどした絶鬼は、分身をその精神力で抑え込み、その隙に音撃とともに浄化するよう響鬼に頼んだ。


響鬼は絶鬼の音撃棒を利用して全力での一撃を叩き込む。
それによって、ついに分身ごと絶鬼は消滅。

世の憂いを解消し、光は天に、肉体は泥となって地面に溶けて消えた。


第一章で「奴」に利用されたウィツァルネミテア「分身」だが、あくまでも利用されたのは「肉体」のみ。
WORLD LINKの効果でそれは完全に消滅したものの、精神体は抜けだして(追い出されて)いたために消滅を免れていたのだ。







さて、次のライダーは!?



天道
「次回。その時に起こっていた、オレ達の事件」

ではまた次回
 
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