ドリトル先生と春の花達
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第八幕その十一
「そう思ってお願したし。これからはね」
「急にだね」
「暖かくなったらね」
「嬉しいことだね」
「日本の春は暖かくなるべきだよ」
今みたいに寒いのではなくてです。
「もっとね」
「そうだよね、このままだとね」
「本当に桜が咲かないし」
「遅れたらね」
「悲しいからね」
「日本の春の難しいところだよ」
何といってもというのです。
「桜がその場所のいつもの時間通りに咲かないとね」
「駄目なんだよね」
「日本人的にはね」
「どうしてもね」
「譲れないところだね」
「イギリス人の薔薇への想い以上にね」
それこそというのです。
「強いからね」
「ずっと、だよね」
「日本人って桜あってだからね」
「若し桜がないとね」
「もうどうしようもないよね」
「春って気がしないし」
「一年がはじまったともね」
思えないというのです。
「一年のはじまりはお正月だけれど」
「入学式からはじまる感じあるよね」
「一学期だからね」
「日本は一学期からはじまるから」
「だからね」
「そこは難しいよね」
「どうにも」
「入学式、始業式には桜だよ」
これがないとなのです。
「日本人の中では完全にセットだから」
「若し桜がないと」
「一年もはじまらない」
「特にここは学校だしね」
「学校の桜が始業式の時にはじまらないと」
「だからこのまま寒いと」
「困るね」
「かなりね、どうしたものかな」
本当にと言う先生でした。
「太閤さんと天神さんがお願いを聞いてくれるかな」
「そうあって欲しいね」
「そうだよね」
「そうした急に暖かくもなってね」
「桜も咲くね」
「そうなるよ、あと桜が咲けば」
その時のこともさらに言う先生でした。
「桜の花びらがお酒の赤に入って」
「あっ、それいいね」
「桜酒だね」
「それも日本の楽しみ方だね」
「花鳥風月に親しむ」
「それもいいよね」
「月見酒とね」
それと合わせてというのです。
「雪見酒、そしてね」
「その桜酒」
「秋は月見で冬は雪見で」
「春は桜」
「桜を観ていてその花びらがお酒の中に入る」
「それを飲むんだね」
「日本ならではの風流だよ」
まさにこれこそがというのです。
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