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トンビに油揚げ

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第三章

「ですから」
「勧められないか」
「はい、ラブレターを手渡し仲を取り持ってくれる」
「そうした人に働いてもらうか」
「そうしましょう」
「では誰がいいか」
 ここでだ、カニンガンはグラッチスンを見たが。
 すぐにだ、こう言った。
「いや、君はな」
「はい、これはプライベートなお話なので」
 話はしているがというのだ。
「お話は出来ても」
「それでもか」
「はい、実際に動くとなりますと」
「まずいか」
「そうです、ですからここは誰かそうしたことに長けた」
「仲介者に依頼してか」
「仲を取り持ってもらいましょう」
 こう提案したのだった。
「私以上に恋愛に長けた」
「君も結構話してくれたが」
「いえ、私は実は」
「恋愛にはか」
「口では言えますが」
 しかしというのだ。
「それ以上のものはありません」
「恋愛もか」
「はい」
 そうだというのだ。
「残念ながら」
「わかった、ではそうした仲介をしてくれる者にだ」
「雇うかお願いをして」
「そしてな」
「恋の成就をですね」
「果たそう」
 是非にと言ってだ、カニンガンはそうした仲介者のことをグラッチスンに依頼した。そうして来たのは。
「こちらの方です」
「はじめまして」
 長身ですらりとした鼻の高い美男子がそこにいた、ダークブラウンの髪を実に奇麗にセットしている。
「ジョン=クロムウェルです」
「清教徒か」
「国教会です」
 クロムウェルは自分の名前からだと思われるカニンガンのジョークにグレーの目を笑わせて答えた。
「宗教は」
「そうなのか」
「はい、よく言われます」
「そうだろうな」
「こうした仕事を副業でしていますが」
 恋愛の仲介業者をというのだ。
「本業は学生、そして探偵です」
「探偵なのか」
「アイドルに見えますか?」
「むしろ俳優だな」
 今はカニンガンがクロムウェルに返した、クロムウェルの横にはグラッチスンが立っている。
「君の外見は」
「そう言われることは少ないですね」
「アイドルか」
「若しくはサッカー選手だと」
「サッカーか。私は水泳だからな」
 海軍の人間の嗜みとしてずっとしているのだ。
「そちらは詳しくないが」
「そうなのですか」
「しかしサッカー選手と言われると」
 クロムウェルのすらりとした長身を見て言う、脚も長い。
「そうかもな」
「どういたしまして、では」
「これから頼めるか」
「はい、詳しいことをお話してくれますか」
「これからな」 
 こうしてだ、カニンガンはクロムウェルに彼の恋についてグラッチスンと二人で話をした。 
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