トンビに油揚げ
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第二章
「ですから」
「そこからだな」
「はい、浮気にはリスクが常にあります」
ばれたその場合のというのだ。
「ですから」
「それは承知している」
カニンガンにしてもだ、そのうした分別はある。もっとも浮気でもと思う位軽率にもなっている。
「私もな」
「ではその様にお気をつけて」
「そしてだな」
「私としての進言はです」
上官としてそして人間として尊敬している彼へのそれは。
「もう普通にです」
「告白か」
「そうされるべきです」
「本人にか」
「ラブレターを送り」
そうしてというのだ。
「そうされるべきです」
「わかった、ではすぐに恋文を書くか」
カニンガンもグラッチスンのその言葉に頷いた。
「これからな」
「それがいいかと。ただ」
「慎重にか」
「はい、やはりです」
「妻にも社会にもだな」
「公になると終わりです」
まさに社会的にというのだ。
「ですから」
「それはわかっている」
「プラトニックで終わらせますか?」
「いや」
ここでまた望みを言ったカニンガンだった。
「どうせならだ」
「そうですね、では」
「余計にだな」
「余計にです」
それならというのだった。
「公にならない様に」
「そこは注意が必要か」
「先を考えたいなら」
大将、そしてその階級に伴う役職と栄誉と名声を望むならというんどあ。
「そうされて下さい」
「厳しいことを言うな」
「現実を言っています」
厳しいことでなく、というのだ。
「私が考える」
「そういうことか」
「はい、何度も申し上げますが」
「公にはならない様にか」
「ご注意を」
「わかった、ではな」
「人の恋愛は自由といいますが」
誰が誰を好きになってもいいというのだ、グラッチスンはカニンガンによく世間で言われる言葉も述べた。
「しかしです」
「既婚者はか」
「しかも相手が年齢がかなり離れていますと」
「どうしてもだな」
「世間の目は厳しいです」
これが現実だというのだ。
「そして公になれば」
「若い愛人だの何だのとな」
「社会から糾弾されます」
「そうした世の中か」
「今は。ですから」
「私もだな」
「そこはお気をつけを」
軽率になっている彼に忠告した、信頼されている部下として。
「私は止めませんが」
「わかった、ではどうして交際まで至るか」
「そうですね、閣下ご自身がラブレターを書かれて」
「私が手渡すか」
「直接ですとそこから噂になるでしょう」
だからだというのだ。
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