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ドリトル先生と春の花達

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第七幕その十

「人はいいけれど鈍感な先生を持つと哲学者になるのかも」
「それが私達ね」
「全く、先生は鈍感なんだから」
「物凄くいい人なのに」
「ここはどうしたものかしら」
「本当に困るわ」
「どうにも」
 皆で言いますがそれでも気付かないのが先生です、それで皆はやれやれといったお顔で先生に言うのでした。
「まあ何時かはね」
「先生が気付いたらね」
「頑張ってね」
「その時はもう一気だから」
「幸せになれるから」
「そうなってね」
「うん、僕にしても」
 そうしてというのです。
「もっと幸せになれるならなりたいね」
「うん、その為に気付いてね」
「是非共ね」
「僕達も応援してるから」
「そうしてるから」
「何とかね」
「自分でも気付いてくれたら」
 本当に有り難いというのです。
「そうしてね」
「というかこういうこと以前にも何度もあったね」
「絶対にね」
「いつも思うけれど」
「先生の人生においてね」
「僕の人生って。まあ色々あるけれど」 
 先生ご自身が言いますに。
「何度もあったこと?ピンチは多いね」
「うん、そういうのはあるよね」
「これまで色々なピンチがあったね」
「赤毛のアンみたいに色々あったわ」
「けれどそれでもね」
「ピンチじゃないから」
「いいことに気付かなかったのよ」
「というと」
 いいことはとはです、先生は皆にさらに尋ねました。
「何なのかな」
「だからそこは考えてね」
「学問は自分で気付くのは一番いいんでしょ」
「そうでしょ」
「それはね」
 その通りだとです、先生も頷きます。
「そうだけれど、何を気付くのかな」
「いや、それはね」
「それが何かに気付くことも大事だよね」
「学問はそうでしょ」
「勘も必要だよね」
「そう、僕は勘は鈍いけれどね」
 才気煥発かというと先生は決してそうではありません、そうしたところは鈍いのが先生です。
「けれどね」
「隅から隅まで読んで観てだよね」
「調べて気付くんだよね」
「それが先生の学問だね」
「それじゃあだよ」
「気付くことなんだね、今回も」 
 先生はどうにもわからないまま応えました。
「そういうことだね」
「そうそう、気付く為の努力もしてね」
「頼むから」
「先生が一番不得意なことにしても」
「そうしたこともね」
 頑張って欲しいというのです、皆はこう言うのですが。
 先生が気付くのは何時になるのか、皆もそれはかなり先のことだろうとわかっていました、それで先生にこうも言いました。
「けれど気長にね」
「気長にいこうね」
「他にもやること多いし」
「何かとね」
「それはわかってるよ、この論文も書いて」
 そしてというのです。
「そして和歌もね」
「そうそう、和歌会もあるし」
「先生のやることは多いよ」
「だからそっちも頑張ってね」
「何でもね」
「そうするよ、ただ和歌をやるのもいいけれど」
 先生は皆にこうも言いました。
「一つ思うことはね」
「一つ?」
「一つっていうと?」
「英語の詩も書いてみようかな」
 こうも言ったのでした、先生はここでお国の言葉もというのでした。 
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