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緋弾のアリア ~とある武偵の活動録~

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BUTEI killer
  ~criminal~

「ただいまー…」

「お帰りなさい、どこ行ってたの?」

あれ。昨日言ったハズじゃあ…?

「俺、とキンジの実家だ」

「何しに?」

「うーん……里帰り? 」

適当に誤魔化す。今日のことは知られたくないしな。

「何よそれ」

-部屋からドラグノフを持ってきて、ベランダに出る。

「何してるの?」

スコープを覗く。

「見れば分かるだろう。景色を見てるんだよ 」

「だからってドラグノフのスコープで? 」

「…良いだろう、別に」

夕日が綺麗だな……

「ふわぁぁ… アリア、俺はもう寝るぞ。ご飯はコンビニで買ってきな 」

「ええ…?」

6時間もESSを使っていたんだ。その分、大脳にかかる負担が大きくなる。なので、長時間ESSになったときは長時間の眠りを必要とする。そうじゃなくても普段のESSは約10分程度使っているが、使ったあとは…少し眠くなる。

-ガチャっ パタン…

即ベッドにダイブ。

明日の朝までに起きれるかな……?

..................................................

........................................

..............................

....................

..........

「……ん……。ふわぁぁ…」

目が覚めた。さて、今の時刻は…7時……45分……だと…!?

ヤバい。寝過ぎた。ってアリアは……!
…居なかった。なんで起こしてくれなかったんだよ!

すぐに髪を整え、顔を洗い、キッチンでパンを焼く。
その間に、防弾制服に着替える。
焼けたパンにバターをつけて食べ、眠気覚ましのコーヒーを飲む。

現在7時55分。あと3分間のうちに、ベレッタとデザートイーグルの弾倉に弾を籠める。それぞれ4本。

終わった…!

7時57分30秒。銃をホルスターに入れ、靴を履き、ワイヤーで飛び降りる。よりによって雨だ。最悪だな……

スタッ 。と着地するつもりだった。だったのだが.....慌てすぎていたせいで、躓いた。起き上がったときにはもうバスは発車していた。

「デジャブ……まさか寝過ごすとはな。今までそういうこと1回もなかったからな……」

……こりゃ、一時間目には間に合わないな。 ぶわん と、境界から傘を取り、徒歩で武偵高を目指す。

..............................

そろそろ一時間目の授業が始まっている頃だろうな……
そんなことを思っていると、

ピリリリリッ ピリリリリッ。

着信 。 アリアだ。今授業中じゃあないのか……?ていうか何で俺の電話番号知ってるんだよ 。

「……もしもし」

『彩斗、今どこ?』

「んー…強襲科(アサルト)棟の側だが」

『ちょうどいいわ。そこでC装備に着替えて、女子寮の屋上に来なさい。事件よ!』

C装備-TNK製の防弾ベスト。強化プラスチックのフェイスガード付きゴーグル。無線のインカムに、フィンガーレスグローブ。ベルトには、拳銃のホルスターと、
予備弾倉が4本。 SWATやSATにも似たこのC装備とは、
いわゆる『出入り』の際に着込む-攻撃的な装備だ 。

俺は女子寮に向かいつつ、ESSになろうと試みる。今朝そのせいで寝過ごしたばかりだが、事件となっては致し方ない。

-女子寮の屋上に着くと…何やらインカムにがなり立てているアリアと、ドラグノフを抱えて体育座りしているレキがいた。

「お前もアリアに呼ばれたのか」

「はい」

いつもの抑揚の無い声。

「そのヘッドフォン。いつも何聞いてるんだ?」

「風の音です」

…風?

レキがドラグノフを、カチャ… と肩にかける。

「時間切れね」

「……何の事だ?状況は?」

「バスジャックよ。男子寮にも7時58分に停まったハズのヤツ」

……あれか。

「もう1人くらいSランクが欲しかった所だけど、他の事件で出払ってるみたい。3人パーティーで追跡するわよ。火力不足はあたしと彩斗が補う」

「-犯人は、車内に居るのか?」

「多分、居ないでしょうね。そのバスには、爆弾が仕掛けられてあるわ」

-爆弾…! その単語を聞いて、先日の光景が脳内にフラッシュバックする。

それを感じ取ったのかアリアは俺に流し目しつつ、

「そう、これは武偵殺しの仕業よ。恐らく先日と同一犯ね」

「最初の武偵は、バイクを乗っ取られたわ。次に車。
その次があんたの自転車で、今回がバスよ。ヤツは毎回、減速すると爆発する爆弾を仕掛けて、遠隔操作でコントロールしているの。 でもその操作に使う電波にパターンがあってね。あんたの時も、今回も、その電波をキャッチしたわ」

すると バララララ…… と上空から、ヘリのローター音が聞こえる。車輌科(ロジ)のヘリだな。


-インカムで通信科(コネクト)から聞いた話によると、武偵高のバスは いすゞ・エルガミオ。男子寮前からどこの停留所にも停まらずに、暴走を始めたらしい。
定員オーバーの60人を乗せたバスは学園島を1周したあと、青海南橋を渡って台場に入ったと言う。

「武偵局と警察はどうしてる」

上昇するヘリの轟音の中で、アリアとインカムを通じて話す。

『動いてる。でも相手は走るバスよ?それなりの準備が必要だわ』

「じゃあ俺らが一番乗りか」

『当然でしょ。ヤツの電波を掴んで、通報より先に準備を始めたんだもの 』

フン、と鼻を鳴らしたアリアは愛用の2丁拳銃のチェックを行っていた。銀と黒の拳銃は色違いなだけで同じものらしい。
あれは-ガバメントをベースにしたカスタムガンだろう。あの銃は既に諸々の特許が切れているから、結構自由に改造がきく。
目立つのはグリップについているピンク(コンクシェル)のカメオで、そこに浮き彫りにされた女性の顔は、
どことなくアリアに似ている美人だ。

『見えました』

レキの声に、俺とアリアは揃って防弾窓に顔を寄せた。
右側の窓から、台場の建物と湾岸道路、りんかい線が見える。..........いた。あれか。

「見えた。ホテル日航の前を右折してるバスだろ?」

ESSの視力で捉えた。視力も上がるんだな、今気付いたよ。

『はい。窓に武偵高の生徒が見えます』

『よ、よく分かるわね。あんた達視力いくつよ』

『左右共に6.0です』

「よく分からないが…推定で、左右共に5.5だな」

さらっと超人的な数字を言った俺たちに、アリアが絶句している。

レキが言ったあたりに、ヘリの運転手が降下していく。

バスは他の車を追い越しながら、テレビ局の前を走る。
ヘリでそれを追うと、人々が局の中からカメラで撮影しているのが見える。

『空中からバスの屋上に移るわよ。あたしは外側をチェックする。彩斗は車内で状況を確認、連絡して。
レキはヘリでバスを追跡しながら待機』

強襲用パラシュートを使いつつ、俺とアリアはほとんど自由落下するような速度でバスの屋根に転がった。
久々の空挺(エアボーン)だったな。そして、屋根にベルトのワイヤーを打ち込み、振り落とされないようにする。

アリアは自分もワイヤーを使って、リペリングの要領でバスの背面に体を落としていった。
俺は犯人が中にいた場合の為に、伸縮棒付のミラーで車内を確認する-が、そのような人影は見当たらない。

生徒に窓を開けてもらい、ワイヤーを切り離して車内に入った。元々大混乱だった生徒たちは、俺が入ってきたのを見て一斉に騒ぎ立てる。言葉が交錯しESSでも何を言っているのか聞き取れない。ただ、その中で聞き慣れた声がした。

「彩斗!」

キンジと武藤だ。

「あれだ。あの子」

武藤が指を指す。その先は、運転席の傍らに立つメガネの少女だった。

「き、如月先輩っ!助けてっ」

中等部の後輩だ。

「どうした?」

「い、いい、いつの間にか私の携帯がすり替わってたんですっ。そ、それが喋りだして 」

速度を 落とすと 爆発 しやがります

「なるほど..........」

そういうことか。確かに、アリアの言う同一犯と一緒だな。

『彩斗、どう!?状況説明(ブリーフィング)しなさい! 』

「アリアの言った通りだよ、このバスは遠隔操作されてる。そっちはどうだ」

『-爆弾らしい物があるわ!』

どうやら逆さ吊りになって、車体の下を覗いているようだ。

『カジンスキーβ型のcomposition4、武偵殺しの十八番よ。見えるだけでも-炸薬の量は、3500立法センチはあるわ!』

3500..........!? 異常すぎる。爆発すれば、電車やバスなんて簡単に吹っ飛ぶ。

『潜り込んで解体を試み-あっ!』

悲鳴と同時に、ドン!という振動がバスを襲う。後ろの窓を見ると-追突した1台のオープンカーが、バスから距離を取っている所だった。

「アリア!大丈夫か!?アリア!」

応答が無い。今の追突でやられたのか……!

ウォン!というエンジン音に振り向けば、後ろにいたハズのオープンカー-真っ赤なルノー・スポール ・スパイダーだ-が横に回り込んで来ていた。
誰も居ない運転席には、代わりにUZIが搭載されている。銃口が、こっちに狙いを-!

「皆伏せろっ!!」

-バリバリバリバリッ!!

無数の銃弾が、バスの窓を前から後ろまで粉々にする。

ぐらっ。バスが変な揺れかたをしたので、運転席を見ると-運転手が肩に被弾していた。運転のために、頭を下げられなかったのか……!

バスは左車線にどんどんはみ出していき、接触した対向車が ガリガリガリッ! 火花を散らしてガードレールと接触事故を起こした。

有明 コロシアム の前を 右折 しやがれ です

転んだ女子生徒が落とした携帯から、ボイスロイドの声がする。 さらにマズイ事に、バスが-速度を落としはじめている…!

「武藤、お前が運転しろ!減速させるな!」

「い、いいけどよ!」

さて…どうするか。

~Please to the next time!
 
 

 
後書き
どうも。レミリアですっ!最近ちょっと、1話あたりの文字数が少ないかなーって思い始めてます。

更新ペースが遅いが、長めの話。
更新ペースが速いが、ちょっと短め。 どっちがいいんでしょう?私としては後者ですかね。

さて、今日はここまでで。ついでに評価と感想をくれれば、私が喜んで投稿ペースが上がるかもしれません。

あと、この話をお気に入りしてくれた人がいるみたいです。ありがとうございます!これからも面白い話に出来るように頑張ります!

それではノシ 
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