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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  番外編059話 その頃の技術班 前編

 
前書き
番外編がちょっと長くなったので、今日の分として投稿します。 

 
 時限の狭間にある、ホワイトスター。
 その中でも特に重要区画とされているのは、魔法球が設置されている魔法区画だ。
 広大な部屋の中央部分に魔法球があるだけの部屋なのだが、その部屋の警備はシャドウ、メギロートといったPTサイズの機体がおり、それ以外にも量産型Wやバッタといった人間サイズの者達も常に警備をしている。
 何故なら、魔法球の中にはシャドウミラーがこれだけの勢力を築き、関係している他の世界の盟主的な立場になるに至った最大の理由……技術班が拠点を置いているからだ。
 シャドウミラーが元々持っていた技術を始めとして、ギアス世界、ネギま世界、SEED世界、マクロス世界、マブラヴ世界、門世界、Fate世界、ナデシコ世界。……そして、W世界といった技術が集められてる、まさにシャドウミラーの心臓部と言ってもいい場所だった。

「このゼロシステムとエピオンシステム。これを使えばかなり有利になりそうではあるが、パイロットの消耗が激しいな。その上、暴走する危険性もあるとなれば……ちょっとシャドウミラーで使うのは遠慮したい」
「まあな。幹部陣とかなら暴走する危険性はないだろうが、精霊の卵の連中は……」
「あー、何だったか。ストライクフリーダムと、インフィニットジャスティス、デスティニー、レジェンドの4機だったか。あれがゼロシステムで暴走するとか、ちょっと面白くないよな」
「いや、ちょっとどころじゃありませんから!」

 技術班の男達の会話に、一人の女が割り込む。
 技術班の中でも苦労人として知られる、セシル。
 その技術力は現在シャドウミラーの機体で採用されているエナジーウィングを開発しただけあって、非常に高い。
 だが、同時にロイドという自分以上に能力が高く……それでいて半ば性格が破綻している人物のお守りを任されている人物だ。
 そして今では、ロイド以外にも技術班の面々のお守りをする事も多い。
 そう、今のように。

「そもそも、ザフトとの取引で最新鋭機を入手するという話は聞いていたのに、まさかこんな事になるなんて……」

 溜息を吐きながら、セシルは短く切り揃えられた髪を掻き上げる。
 SEED世界の火星において、ザフトはコロニーを作って生活している。
 既に半ばザフトとは別勢力と化しているのだが、そのコロニーからの要請でテラフォーミング技術を提供して欲しいと、シャドウミラーに打診があったのだ。
 それ自体には、特に不思議はない。
 そもそも、シャドウミラーは様々な世界から技術を収集し、様々な分野で非常に高い技術力を持っているのだから。
 そして実際、幾つかの世界で実際に火星をテラフォーミングし、居住可能にしたという実績もある。
 そんなシャドウミラーに、火星の近くに住んでいる者達がテラフォーミング技術を要求してくるのは当然だろう。
 だが、エザリア率いる政治部門の者達が、簡単にそれを引き受ける筈もない。
 エザリアは自分の出身世界であり、ましてや要求してきた相手もコーディネイターというだけあって、少し思うところがあったのだが……だからといって、私情で仕事に手を加える筈もない。
 その後も色々と交渉したのだが、最終的には結果としてザフトが有するニューミレニアムシリーズのザク、グフ、ドム――ただし、ザクは以前入手済みだが――と、セカンドステージシリーズのアビス、セイバー、カオス、インパルス、ガイア。サードシリーズのデスティニー、レジェンド、そしてエザリアはどこから入手したのか言わなかったが、ストライクフリーダムとインフィニットジャスティスといった機体を入手する事に成功したのだ。
 尚、ミネルバを始めとした運用艦もその中には含まれている。
 ザフトにとっては大きな出費ではあったのだが、SEED世界ではすでにここ暫くの間、戦闘らしい戦闘は殆ど起きていない。
 時々……本当に時々反連合だったり、反ザフトだったり、反オーブだったりといった小さな勢力によって戦闘が起きる事はあるが、戦闘らしい戦闘と言えばその程度だ。
 ましてや、そのような戦闘……いや、テロ行為でも、オーブに駐留しているメギロートやら、最近では対人兵器としてバッタが活躍し、瞬く間に鎮圧してしまう。
 そんな状況で戦闘など起きない以上、高性能な兵器を持っていても意味がないと判断したのだろう。
 勿論戦力を完全にシャドウミラーやオーブに依存するのは、色々と不味い。
 だが、それでもテラフォーミング技術というのは、そのような交換条件を呑んでも、欲しいものだったのだ。
 もっとも、エザリアに変わって交渉を担当したレオンにより、最終的にはテラフォーミング技術をそのまま渡すのではなく、火星をテラフォーミングするという条件に落ち着いたのだが。
 ともあれ、ザフトの主力機や新型艦の設計データを得た技術班は、早速それを改修した。
 一番大きいのは、動力炉を全てブラックホールエンジンにして、テスラ・ドライブを追加した事だろう。
 これにより推進剤は必要なくなり、エネルギー不足にもならなくなったのだ。
 それ以外にもフォールド通信システムを始めとして、色々と追加はされている。
 だが、それらの性能であっても、シャドウミラーの実働班が使っている機体の性能には及ばない。
 だが、そのままにするのも勿体ないという事で、最終的には広範囲殲滅が得意なストライクフリーダム、近接戦闘が得意なインフィニットジャスティス、万能型のデスティニー、ドラグーン特化型のレジェンドといった風に、精霊の卵で運用される事になった。
 結果として、精霊の卵の戦力は大きく上がったのだ。
 実働班を纏めているコーネリアは、元々精霊の卵は実働班に上がる為の修行の場なのだから、強力なMSを与えるのは問題があるのでは? と思わないでもなかったが、それらの機体であっても、実働班が使っている機体より性能が低いのは間違いないという事で、特に不満を口に出しはしなかった。
 ……尚、当然の事だが、精霊の卵が使っている各種MSもシャドウミラーが有する外部武装追加ユニットのファブニールには対応している。
 一応ザフトからはミーティアも手に入れてはいるのだが……ファブニールと比べると圧倒的に性能が低い事もあり、ミーティアは技術班の倉庫で眠る事になっていた。

「とにかく、とにかくだ! SEED世界の技術に比べるとW世界の技術というのはかなり尖ったものが多い。……正直なところ、アクセル代表が持ってるバルジとかもちょっと気になるんだが、今は出来る事からやろう」
「……バルジ、か。手に入れたデータを見る限りでは、そこまで強力な要塞じゃないな。純粋な戦力としても、居住性も、機動力としても、あらゆる面でニヴルヘイムが勝っている。ニヴルヘイムみたいに、空中に浮くといった事も出来なさそうだしな」
「だからこそ、俺達が改造するのに色々と手を入れられるんだろ」
「待て! バルジについては、後回しだ、後回し! まず、ガンダニュウム合金についてだが……精霊の卵が使っているMSはともかく、幹部達の使っているPTを始めとした機体はこのガンダニュウム合金製に変えたいと思うんだが、どう思う?」

 バルジの事になると際限なく話が逸れていきそうなので、会議を仕切っている男は慌ててそう告げる。
 本来であれば、男もバルジについては色々と考えているネタがあるだけに、自分もそっちに話を持っていきたかったのだが……

「そうだな、まぁ、それが無難だろうな」
「あ、でもレモン様とマリューがガンダニュウム合金とか、G元素とかを使って新型のT-LINKフレームを作る相談してたけど?」
「ああ、そう言えば言ってたな。……まぁ、今のニーズヘッグのT-LINKフレームも、かなり前に開発された奴だし、強化したいんじゃないか?」
「あら? でも……」

 技術者達の話し合いの監督を任されていたセシルだったが、そんな話し合いにふと気になる事があった。

「アクセル代表のニーズヘッグは、Fate世界で宝具化? されたと聞きますけど? 凛さんが言ってましたよね?」

 そう、アクセルが消えたのと前後するような時に入ってきた、魔法使い……否、魔術師の遠坂凛と以前話した時に、その辺りの事情を聞いた事があったのだ。
 ちなみに凛は、この魔法球がどのような物なのかを知った瞬間、『どーなってるのよーっ!』と周囲に響き渡る大声で叫んでいたが。
 アクセルの恋人達には素の性格を見せていた凛だったが、技術班の前でそれまで被っていた猫を盛大に脱いでしまった形だ。
 魔術師的な常識によれば、この魔法球という存在は色々と常識外の存在だったらしい。
 尚、凛と共にシャドウミラーに所属する事になった綾子の方は、本人が半サーヴァントという存在で、凛と共にロンドンを始めとして様々な場所で魔術師にどっぷりと浸っていたのだが、ゲーム好きという事もあってそれなりにあっさりとこの状況を受け入れていた。
 勿論ホワイトスターに関しては、前もってアクセルから話を聞いていたというのも大きいだろうが。
 ともあれ、色々な意味で凛と綾子の度肝を抜いたホワイトスターだったが、今はその2人も大人しくシャドウミラーの一員として活動している。
 凛は政治班を主としながら、生身の実働班として、綾子は純正の実働班として。
 ……尚、凛はシャドウミラーで生身の訓練をしているエヴァと遭遇した時に吸血鬼だと知って、当然のように驚いたのだが……Fate世界の吸血鬼とはかなり違うという事もあり、今ではそれなりに友好的な関係らしい。
 生身での戦いの訓練でも、キブツを使って宝石を好きなように生み出せると聞いて歓喜したのは、何人ものに見かけられた光景だった。
 勿論キブツで生み出された宝石は、本当の意味で凛が切り札とするような、歴史のある宝石といったものではないが、それでも十分に嬉しかったのだろう。
 ともあれ、そんな凛から聞かされた、ニーズヘッグの宝具化。
 これを考えれば、迂闊に装甲を現状の物から新たなT-LINKフレームに変えてもいいのかという疑問を技術班の者達が抱くのは当然だった。

「多分大丈夫だって遠坂さんが言ってたから、問題ないと思うけどねー」

 技術者の1人の言葉に、魔術の第一人者がそう言うのであれば、と皆が納得する。
 もっとも、魔術の第一人者とは言っても、実際にホワイトスターには魔術に詳しい人物は凛しかいないので、自然と第一人者になってしまったというのが正しいのだが。
 ただ、実際に凛はFate世界においても魔術については世界でも最高峰の位置にいた人物であるのは間違いない。
 本人の高い資質と、努力を惜しまない性質、アクセルという存在をサーヴァントとして召喚した事によって得た経験。成り行きとはいえ、半サーヴァントとなった綾子を相棒とした事。そしてロンドンに留学して遭遇した、自分と同じくらいの才能と実力を持つライバル。
 また、ロンドンで魔術師として活動する上で幾度もの戦いを潜り抜けた凛は、間違いなくFate世界でも最高峰の魔術師である事に変わりはないのだ。
 実際、半ば偶然とはいえ魔法の1つである平行世界間の移動すらやってのけたのだから、Fate世界の魔術師であっても凛が世界でも最高峰の魔術師であるという事を否定出来る者は殆どいないだろう。
 勿論、嫉妬からそれを認めたくないと思う者は多いだろうが。
 ともあれ、凛の魔術師としての実力は間違いないのだ。
 それだけに、凛が大丈夫だと言ってるのであればと、他の者達も納得する。

「で、他にW世界の技術は……MDか?」
「いや、けど……MDって無人機の制御システムだろ? しかもメギロートとバッタと違って、かなり融通の利かない」
「ああ。けど、その代わりに純粋に戦力として考えれば、そこそこいいらしい。……問題なのは、それを指揮する人員が必要だって事だが」
「無人機なのに、指揮する人員って……」
「まぁ、うちの場合は量産型Wを使えば、ある程度何とかなるだろうけど」
「寧ろ量産型Wをパイロットとして使った方が、戦力的には上だと思うけどな」
「とにかく、MDについてはメギロートやバッタとかと違う方面からのアプローチなんだから、多少なりとも何か改修出来るアイディアはあるかもしれないだろ」
「……そうか? まぁ、それなら多少なりとも見てみるけど」

 メギロートのようなAI制御の無人機は、シャドウミラーにとって要と言える存在だ。
 それだけに、少しでもその性能を上げられるのであれば、と他の技術者達も納得したように頷く。
 まぁ、それぞれが個人所有のメギロートやバッタを持っているので、その性能を少しでも上げる事が出来れば、というのが正直なところなのだろうが。

「さて……じゃあ、本番だ。アクセル代表がわざわざ手に入れた、エピオンに対して」

 その言葉に、技術者達の意識は今まで以上に真剣なものになるのだった。 
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