ヘタリア大帝国
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17部分:TURN2 連合艦隊司令長官その五
TURN2 連合艦隊司令長官その五
その彼がだ。東郷に対して言うのだった。
「全く。中々身を固めないしな」
「おや、これは長官」
「わしは貴様には目をかけているつもりなのだ」
こう断ってから言う彼だった。
「外務長官として、そしてだ」
「そしてですか」
「海軍の先輩として。この宇垣さくら個人としてもだ」
「私人としてもですか」
「貴様は筋はいい。しかし不真面目に過ぎる」
彼、宇垣さくらも山下達と同じことを言う。
「その性格はどうにかならんのか」
「ははは、性分でして」
「性分でも何でもだ」
宇垣も厳しい顔で言う。
「そうしたことはだ。結婚をして身を固めてだ」
「家庭を持って、ですか」
「そうだ。軍人たる者家庭を持ち妻子も大事にしてこそだ」
「娘ならいますよ」
「だからそれに加えてだ。いいか」
まだ言う宇垣だった。
「新しい細君を迎えてだ。相手はわしが探してやる」
「いやいや、あいつはまだ生きてますよ」
東郷は微笑んでだ。宇垣にこう返した。
「絶対に戻ってきますから」
「そう言うのか」
「はい、ですから待ってるんですよ」
「わかった。ならいい」
宇垣もここで言葉を止めた。
「御前のその考えは尊重する」
「すいません。それじゃあですね」
「そろそろ祖国殿達も来られる」
日本達もこの部屋に来るというのだ。
「そして首相と内相を兼ねておられるあの方だが」
「伊藤さんですね」
「残念だがまだ復帰できん」
「満州のハルビンで撃たれた傷がまだですか」
「全く。馬鹿な奴もいるものだ」
宇垣は苦い顔で述べる。
「閣下は誰よりもだ」
「はい、韓国のことを気にかけておられます」
「あの方は確かに女好きだ」
宇垣はこのことを言う時は東郷を見た。半ば無意識に、半ば意識して。
「だがそれ以上にだ」
「その資質は素晴らしい方です」
「そして公平な方だからな」
「韓国についても御自身が入られて治められていたのですが」
「それで何故テロをする」
宇垣は全く理解できないといった顔で山下に言った。
「全く以て理解不能だ」
「あのテロリストの背後に何者かいたのでしょうか」
「だとすれば誰だ?それは」
「そこまでは。調べきれていません」
山下は申し訳ない顔で宇垣に答える。
「とても」
「ううむ、まことに腹立たしい限りだ」
「単独犯の可能性もありますがね」
東郷もこのことにはだ。態度こそいつもの飄々としたものだがそれでもだ。
話の内容は真剣でだ。こう言ったのだった。
「まあ碌な奴じゃないでしょうね。後ろにいるとすれば」
「ガメリカか?」
山下はまずはこの国の名前を出した。
「あの国の四長官、四姉妹は満州に入りたかっていたからな」
「ああ、大統領の下であの国を実際に動かしている」
「そうだ。貴様にも縁のあるな」
山下はここで東郷のその顔を鋭い目で見て述べた。
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